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ひとり旅が楽しくなる!「ソロ温泉」の宿選びで失敗しない4つのポイント

高橋一喜温泉ライター/編集者

ひとりでの温泉旅(ソロ温泉)に出かける際、多くの人にとっていちばん悩ましい問題が「どの宿に泊まるか」ではないだろうか。

特にひとり旅の初心者は、数ある温泉宿の中からどこを選べばよいか悩むようだ。

ひと口に「温泉宿」といっても、その特徴はそれぞれ異なる。また、昔ながらの湯治宿からラグジュアリーな高級旅館まで、料金もピンキリである。

そこで、ソロ温泉の宿選びで重視すべき点を4つのポイントから考えてみたい。

①「温泉の質」がよいか

温泉の質は、ソロ温泉ではきわめて重要である。ソロ温泉は入浴が中心の旅なので、温泉の質によって満足度が大きく左右される。

具体的にいえば、湯の鮮度が高い温泉が好ましい。つまり、循環ろ過によって個性を失った温泉ではなく、源泉かけ流しでいきいきとした湯を堪能したい。

ストレスなく温泉でリラックスできるかどうかは、ソロ温泉のコンセプトに照らし合わせると、決して軽視できない。

宿泊候補となる旅館の温泉の質は、インターネットやSNSをチェックすると、ある程度把握できるはずだ。

②「静かな環境」かどうか

ソロ温泉は、忙しない日常から距離を置き、非日常の時間を得ることが目的である。仕事はもちろん、SNSや人間関係を一時的に断ち、ひたすら温泉でゆっくりすることにより、心身のリフレッシュを図るのだ。いわば「空白の時間」を体験するための旅である。

それゆえに、観光客が多い有名温泉地や家族やカップルでにぎわう大型旅館・ホテルは、ソロ温泉には向かない。まわりに人が多いと、非日常感にどっぷりつかることが難しくなる。また、楽しそうに過ごしている人たちに囲まれていると、孤独を感じてしまう恐れもある。

したがって、観光客は少ないけれど、昔ながらの湯治場の雰囲気を残す温泉地、あるいは中・小規模の温泉宿がソロ温泉には適している。

③食事で「孤独」を感じないか

ひとり旅を躊躇する人の意見としてよく聞かれるのが「ひとりで食事をとるのはさびしい」という孤食問題である。ひとりで食べることに慣れていないと、まわりの目が気になってしまうし、おいしい料理に出合ったときの感動を分かち合う相手がいないことに寂しさを覚える人も多いだろう。

いちばん気まずいのは、大広間などに宿泊客が一堂に会して食事をとるスタイル。意外とまわりの人は気にしていないものだが、本人は孤独を覚えるシチュエーションだ。孤独や恥ずかしさが先に立つと、どんなにおいしい料理でも味気なく感じてしまうものだ。

だが、近年ではひとり客に配慮してくれる宿も増えている。部屋まで食事を運んでくれたり、客室以外の個室を用意してくれたりすることも。広間や食堂での食事だとしても、まわりの目が気にならない席や衝立などの目隠しを用意してくれる宿もある。

あとは本人の慣れの問題が大きいが、初心者のうちは事前に食事の提供方法を確認しておくとよいだろう。宿泊プランやホームページに明示されていなければ、宿に問い合わせてもよいだろう。

どうしてもひとりでの食事を避けたい、あまり料理は重視していない、という人であれば、素泊まりで予約して外で食事を調達するという技もある。いずれにしても、自分自身が食事で不快な思いをしないよう、できるかぎりの対策を講じることが大事になる。

④「居心地」がよいかどうか

これについては判断が難しい。先述した①~③についてはインターネットの情報などから大方見当がつく。だが、居心地のよさは、人によって印象が異なるし、実際に宿泊してみないとわからない部分が多い。

いわゆるハイクラスに分類される人気宿にひとりで宿泊したときのこと。宿泊料金は2万円台。温泉の質や環境、設備、料理も申し分なかったが、宿泊客は若いカップルが多く、至るところで写メのシャッター音が聞こえるなど、どこかフワフワと落ち着かない雰囲気があった。

反対に、1泊2食付きで1万円を切る小さな宿に泊まったときは、田舎の実家に帰ってきたような居心地の良さを感じた。建物は古く、トイレは共用だが、温泉の質がすばらしく、女将さん手づくりの料理は豪華さはないけれど、地元の食材を活かしたもので、記憶に残る味だった。

また、接客の距離感もちょうどよく、過度な干渉はしないけれど、こちらの要望や質問には的確に応えてくれる。ストレスを感じることなく、温泉に集中できた。

もちろん、高級旅館のほうが居心地がいいという人もいれば、筆者のように少々鄙びた宿のほうが居心地がいいという人もいる。その点は、人それぞれの好みが大きく影響するので正解はない。高いお金を払ったからといって、必ずしも高い満足度を得られるとはかぎらないのだ。

大切なのは、自分にとって、どんな傾向の宿が心地よく感じられるか、を把握することだ。自分の好みの傾向がつかめれば、ソロ温泉の宿を探すときに、ぐっと選択肢を絞りやすくなる。

あとは、実際に足を運び、「居心地のよさ」を確認するほかない。お気に入りの温泉が見つかったら、定宿にしてもいいだろう。思いつきでふらっとソロ温泉に出かけたくなったとき、定宿があると心強い。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3800超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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