渋谷PARCO 写真展 「はじめての、牛腸茂雄。」【東京都渋谷区】
渋谷PARCOで開催中の牛腸茂雄展へ。
今展のタイトル通り、100点にもぶ牛腸作品が一堂に会する写真展が開催されるのは初めてだそう。
写真展のナビゲーターはギャグマンガ家の和田ラヂヲさん。ポスターやチラシをはじめ、写真展会場入り口に下がったのれんにも和田さん独特のゆるい絵が描かれていてほっこり。
のれんをくぐると、和田ラヂヲさんによる
牛腸写真のおもしろさを語る映像が。
会場には、牛腸さんのメモや書簡に遺された言葉が随所にあり、その言霊のひとつひとつが胸に沁みました。
ネガフィルムの貴重なベタ焼きには、牛腸さん自身のセルフポートレイトも。
3歳で胸椎カリエスを患い、36歳の若さで亡くなるまで、生きるあかしとして写真を撮り続けた牛腸さんの、熱く醒めた、まっすぐな眼差し。
あの有名な双子の女の子のアザーカットが映ったベタ焼きも展示されていました。
前後の写真からこの写真が撮られた状況が見え、自分もこの時ここに居たようなふしぎな気持ちに…。
会場には牛腸さんのカラーリバーサルフィルムの一部がライトボックスの上に置かれており、ルーペで自由に見られるという素敵なコーナーも!
<見慣れた街の中で>のオリジナルフィルムをルーペで覗きながら、牛腸さんの自身のまなざしを体感…。
1978年~1980年の東京の街の中を活写した<見慣れた街の中で>。決して狙い定めた構図ではない、なにげないスナップ。なのに、雑踏のざわめきが聞こえてくるような臨場感。
写真家・三浦和人が今回の写真展のために新たにプリントしたという写真の美しさも今回のみどころ。中でも、子どもをとらえたモノクロームのプリントが素晴らしく。
子どものまっすぐなまなざしは、牛腸さんのまっすぐまなざしのうつし鏡のよう。
特に心惹かれた写真を幾つか。
一瞬に凝縮された子どものビッグバン。
この写真の少女も、写真展に来場したそうです。
約半世紀を経て、どんなことを思われたのでしょうか。
どんなに時を経ても色褪せない傑作ですよね。
私が特に心震えたのは、霧の彼方に駆けていくこどもたち(ひとりだけ、こっちに向かってきている)の写真。会期中に発売された『牛腸茂雄全集 作品編』の表紙にもこの写真が使われています。
会場には、牛腸さんの蔵書や愛用品、書き残したノートなども展示。
「回想」ノートには非常に丁寧な文字で病弱だった幼少期のことがびっしりと。
牛腸さんが愛用していたカメラのひとつCANON AE1は、私が大学時代に授業で写真家・大辻清司先生の授業をとっていた時に初めて購入したカメラでもあります。牛腸さんに写真をすすめたのも大辻先生だったそうなので、なんだか不思議なご縁を感じます。
そうそう、会場でいただける和田ラヂヲさんによる牛腸さんの写真をモチーフにした4コマ漫画に笑いました。このセンス、大好き。牛腸さんが見たら、きっと爆笑したことでしょう!
この写真展をみて、猛烈な牛腸茂雄ファンになりました。
ぜひぜひおすすめです。
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写真展 はじめての、牛腸茂雄。
期間2022年10月7日~11月13日(日)
場所ほぼ日曜日(渋谷PARCO8階)
時間11:00〜20:00
入場料600円(税込)
入場特典:和田ラヂヲさんの描きおろしマンガ付き小冊子