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何とファンの95%が球団売却を支持!今や拭い去れそうにないエンジェルス・オーナーに向けられる不信感

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
モレノ氏がオーナー就任以降エンジェルスは下降線の一途を辿っている(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【エンジェルス番記者がファン対象にアンケートを実施】

 日本では、各メディアがキャンプインした大谷翔平選手の動向を争うかのように報道合戦を繰り広げている。個人的にやや食傷気味になっている面を否めないが、SNS等を通じて大谷選手がシーズン開幕に向け順調に準備を進めている姿を確認できるのは実に喜ばしいことだ。

 ところで、昨年まで大谷選手が所属していたエンジェルスが、この週末からキャンプインする。大谷選手を失った後も今オフは大型補強を行うことなくキャンプインを迎えそうなエンジェルスに対し、すでに多くの日本人が関心を失っているのではないだろうか。

 だが大谷選手の有無にかかわらず、エンジェルスを応援するファンが今も日本に存在しているはずだ。果たして彼らはどんな心境で今シーズンを迎えようとしているのだろうか。

 そんなエンジェルス・ファンの心情を推し量れるような記事が公開されている。スポーツ専門サイト「The Athletic」でエンジェルスを担当しているサム・ブラム記者がアンケート調査を実施し、その結果を記事にまとめている。

【圧倒的多数がモレノ・オーナーにマイナス評価】

 この記事によれば、ブラム記者が行ったアンケート調査に対し1979人が回答を寄せている。過去2年間も同様の調査を行っているようだが、今回の回答者が最多だという。

 同サイトは有料なので、本欄ですべてのアンケート結果を紹介してしまうのはルール的に問題がある。だが現在のエンジェルス・ファンがチームに抱いている感情を理解してもらう上で、この記事のキモだと考えるアルテ・モレノ・オーナーに関するアンケート結果を紹介したい。

 まず「オーナーとしての仕事ぶりをどう評価する?」という質問だが、これについては回答者の91.1%がマイナス評価を下している。さらに「モレノはチームを売却すべきか?」という質問については、何と95.0%がすべきだと賛成しているのだ。

 この結果を見ても、エンジェルス・ファンの大多数がモレノ・オーナーに多大な不信感を抱いているのが理解できるだろう。

【チーム買収後は下降線の一途を辿るエンジェルス】

 昨年12月に大谷選手のドジャース移籍が決まった後、エンジェルスを待ち受ける暗黒時代について考察する記事を公開しているが、エンジェルス・ファンもまさに同様の不安を感じ取っているようだ。

 だが彼らが抱く不信感は、今オフに大谷選手を失ったという1つの事象だけに向けられたものではないはずだ。

 1961年にエンジェルスが誕生して以降、大谷選手のみならず、ノーラン・ライアン投手、ブラディミール・ゲレロ選手、アルバート・プホルス選手、マイク・トラウト選手等々、球界を代表するスター選手が所属してきたが、ワールドシリーズを制覇できたのは2002年の一度だけであり、今もこれが球団史上最大のハイライトになっている。

 だが、ワールドシリーズ制覇直後の2003年にモレノ・オーナーがチームを買収してからというもの、チームは間違いなく下降線の一途を辿り、今や誰の目からも健全なチーム運営がなされていない。

 つい先日、衛星ラジオ番組のインタビューに応じたペリー・ミナシアンGMが、昨シーズン終了直後の発言同様に「我々は勝ちたい。9月に意味のある戦いを演じたい」と前向きな発言をしているが、投打にわたって大谷選手の穴を埋められていないチーム状況では、ミナシアンGMの言葉を鵜呑みにするエンジェルス・ファンは存在しないだろう。

 しかも過去の報道で、編成人事に介入し元GMたちと軋轢を生んだ過去や、ぜいたく税の限度額を超えることを忌み嫌うモレノ・オーナーの実態が明るみになっているのだから、彼を信頼しろというのがどだい無理な話だ。

 今回ブラム記者が実施したアンケート結果は、まさにそうした事情を如実に示していると考えていいだろう。

 ファンの信頼を完全に失ったモレノ・オーナーは、今後どのようにエンジェルスを導いていくつもりなのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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