都内の一流ホテルでバー/中国料理/日本料理/ステーキ/フレンチを回ってもたった2万5千円のワケ
いくつものレストラン&バーを体験
小さいホテルでは、オールデイダイニングがひとつだけということもありますが、大きなホテルになるといくつものレストランを擁しています。和洋中とレストランが揃っていると、選択肢が多いので嬉しい反面、どのレストランを選ぼうかと迷うかもしれません。
そのような時には、色々なレストランで料理を少しずつ食べてみたいと思うことでしょう。実は、いくつものレストランを回れるという夢のような機会があります。
それはANAインターコンチネンタルホテル東京で、2022年4月15日から8月27日にかけての金曜日と土曜日の夜に行われている「美食探訪」(25,000円、税・サ込)。
美食のANAインターコンチネンタルホテル東京が誇る5つのレストランとバーを巡るというダイニング体験ツアーになっています。
「美食探訪」で巡る施設
巡る施設と料理は次の通りです。
・食前酒とアミューズブーシュ
「シャンパン・バー by テルモン」(3F)
・前菜
中国料理「花梨」(3F)
・海鮮料理
日本料理「雲海」(3F)
・メインディッシュ(肉料理)
「ザ・ステーキハウス」(3F)
・デザート
「ピエール・ガニェール」
※提供場所はクラブインターコンチネンタルラウンジ(35F)
最初にロビーでお出迎えがあり、「シャンパン・バー by テルモン」へと案内されます。以降は、食べ終える頃になると、次に訪れる施設のレセプショニストが迎えに来てくれるという流れ。
シェフソムリエである佐藤雄介氏が厳選したペアリングドリンクも付いています。アルコールとノンアルコールのどちらとも用意されているのが嬉しいところ。
では、それぞれ詳しく紹介していきましょう。
シャンパン・バー by テルモン
最初はバーで食前酒とアミューズブーシュを楽しめます。
ANAインターコンチネンタルホテル東京が、昨秋「テルモン」ブランドの冠店として提供し始めたシャンパーニュ「テルモン レゼルヴ ブリュット」を堪能。ドサージュは6.7/Lと、辛口のブリュットの中でも糖分が少なく、シャープな酸味があるので最初に飲むのには最適です。
シャンパーニュのお供となるアミューズブーシュは「パルメザングリッシーニ」と「フォアグラと黒トリュフのタルト」の2品。前者はパルメザン風味でサクサクとしており、後者は、タルトにフォアグラのクリームと香り高い黒トリュフのスライスがのせられています。いずれとも辛口のテルモンとの相性は抜群です。
中国料理「花梨」
前菜は、大久保武志氏が料理長を務める中国料理「花梨」でいただきます。
「釜焼きもち豚チャーシュー」と「国産香鶏の冷菜」が提供されてから、セイロが運ばれてきます。その中にあるのは「小龍包」「ニラと海老入り蒸し餃子」「天然大海老のXOソース炒め」。最後は目の前で「北京ダック」が巻かれて供されるという充実した内容です。
「釜焼きもち豚チャーシュー」は脂の旨味が凝縮されており、ピーナッツの飴炊きも癖になります。「国産香鶏の冷菜」は蒸した鶏肉にネギソースを合わせてさっぱりと。
「小龍包」は熱々スープの風味が秀抜で、「ニラと海老入り蒸し餃子」はニラが香ばしいです。「天然大海老のXOソース炒め」は海老の妙味やスパイシーさが感じられます。
「北京ダック」は皮がパリパリっとしており、脂の旨味もたっぷり。餅皮には、イチゴとイチゴジャムが入れられており、爽やかな味わいです。
まろやかな「陳年紹興酒8年熟成」は、「花梨」のシグネチャーメニューのおいしさを引き出します。
最後にサプライズのメニューもありますが、当日のお楽しみということで、紹介を控えておきましょう。
日本料理「雲海」
吉安健氏が料理長を務める日本料理「雲海」では海鮮料理に舌鼓を打てます。
「苺椀吉野仕立て 鮑 人参 南瓜 独活 九条葱」は、アワビとウニのいちご煮をアレンジした贅沢なお椀。アワビの出汁と雲海の出汁をミックスさせているので、滋味が深くなっています。漆器の美しさと調和する逸品です。
「まながつお西京杉板焼き はじかみ 酢橘」は、旬のマナガツオに、京都の白味噌に他の味噌を合わせて2日ほど発酵させた独自の味噌で西京焼きにし、杉板で爽やかな香味をまとわせました。陶芸家、川瀬竹春氏作の白磁器によって、吉安氏の優美な盛り付けがより映えます。
「竹下本店 KAKEYA 特別純米オリジナルラベル」は、最初は冷で、次はぬる燗でと、2度もペアリングされるのが嬉しいです。
ザ・ステーキハウス
メインディッシュは、宮崎・ブラスザック・トーマス氏がシェフを務める「ザ・ステーキハウス」で堪能できます。
「ビーフショートリブの煮込み ステーキライス」は、目の前でショートリブとパエリアを取り分けてもらえるので、臨場感がたっぷり。脂の旨味を携えたショートリブは備長炭で香ばしく焼いてから、48時間低温調理して、しっとりやわらかく仕上げています。
コンディメントも豊富。イギリスのマルドン塩(シーソルト・スモークソルト)、マルタのレモン塩、イカスミ入り白ワインの塩、赤ワインの塩、イタリア・ピエモンテ州の黒トリュフ塩が提供されるので、食べ比べてみましょう。
肉用ナイフが選べるのも楽しいところ。イタリアのサンボネ、ドイツのヴォストフ、フランスのライヨール・クロウド・ド・ゾルムとフォルジュ・ド・ライヨール、新潟県燕三条の藤次郎と、ステーキハウスならではの品揃えです。
「ウッドワード キャニオン ネルムズ ロード カベルネ ソーヴィニョン 2017」は、肉の妙妙たる味わいにぴったりと寄り添うような、しっかりとしたボディ。
ピエール・ガニェール
最後はシェフパティシエのルカス・デュマルスキ氏による「ピエール・ガニェール」のデザートを35階のクラブラウンジでゆったりと食べられます。
デザートは3品。右下はストロベリーとホワイトチョコレートでコーティングしたビスキュイ、酒粕のフォーム、アーモンドクランチ、ストロベリーウォーターでマリネしたストロベリーのデザートで、優しくて爽やか。左下のパルフェはカルダモンが効いたパンナコッタ、ジンが香るメロン、抹茶メレンゲ、カラマンシーのムースといった構成で、抑揚のある食味になっています。上は51%のサンビラーノチョコレートのクリームにラズベリーのコンフィ、オパリーヌ、ホワイトバルサミコのソルベ、カカオのシュトロイゼルを使ったグランデセールで、力強くもさっぱりとした後口。
「ローリー ガスマン ピノ グリ セレクション ド グラン ノーブル 2003」はフランス・アルザス地方の名門が造る稀少な貴腐ワインで、とろっとした甘味がデザートにぴったりです。
小菓子も3種類あります。左上はレモンとライムのパルフェグラッセ、右上はホワイトチョコレートとシャルトリューズのジュレ、キュウリ、青リンゴ、キウイ、下はカレーの香りを添えたパッションフルーツのコンフィを閉じ込めたマンゴームースのタルトレット。最後まで色々な味わいが楽しめます。
企画された背景
ANAインターコンチネンタルホテル東京が誇るレストラン&バーの素晴らしさを体験できるコースでしたが、どのようにして企画されたのでしょうか。
コロナ禍が2年以上続き、館内のレストラン&バーは休業や営業短縮を余儀なくされ、ゲストの足も遠のいていました。そこで、改めて各レストランを再認知してもらえるようにと、主な施設が連携する形の新しいディナープランが考案されたのです。
「美食探訪」を打診すると、料理長たちは少し驚きながらも、ホテルだからこそできる企画ということで、協力しあい、ゲストに喜んでもらえる独自メニューになるよう取り組みました。
参画する施設
では、参画するレストラン&バーはどのようにして決まったのでしょうか。
まず食前酒を嗜むのにぴったりな「シャンパン&バー by テルモン」が、そして和洋中の主力レストランである「花梨」「雲海」「ザ・ステーキハウス」も決まります。いずれとも同じ3階にあって移動しやすいので、今回のプランに最適です。
最後のデザートはミシュランガイドで二つ星に輝く「ピエール・ガニェール」のデザートですが、場所は熟慮しました。
せっかく館内の施設を巡るということで、レストラン利用のゲストには体験する機会が少ない宿泊客専用ラウンジ「クラブインターコンチネンタルラウンジ」が選ばれます。高層階にあり、きらめく夜景を眺めながら、ディナーの余韻に浸れるので、よい選択であったといえるでしょう。
苦労したのは全体の調整
各レストランの料理に合わせたドリンクのセレクションは、食事を楽しむためには不可欠ということで、ソムリエが選んだペアリングが提供されることになりました。
企画の実現にあたって最も苦労したことは、メニュー全体を通して使用する食材のバランスとボリューム。それぞれの料理長が調整を重ね、コースを食べ終えた時、ゲストにぴったりな分量に仕上げたといいます。
好評のため期間延長に
他にはないコラボレーションであるだけに、順調に予約も入り、体験したゲストからのフィードバックも好評であることから、当初は2022年4月15日から6月25日までの約2ヶ月の予定でしたが、約2ヶ月延長して8月27日までとなりました。
ANAインターコンチネンタルホテル東京が誇る5つのレストラン&バーで美食を探訪できる貴重な機会なので、是非とも体験してみてください。