『令和の虎』に非難殺到、流行の「オーディションバラエティ」は不愉快と紙一重 #専門家のまとめ
YouTubeチャンネル『令和の虎CHANNEL』の7月15日更新回に対する疑問の声が日を追うごとに多くなっている。
同チャンネルは、2004年まで放送された番組『¥マネーの虎』(日本テレビ系)をモチーフにしたもの。事業などの立ち上げを目指す「志願者」が、金銭の支援を得るため、「虎」と呼ばれる社長らにプレゼンテーションする内容だ。
ところがこの7月15日更新回では、「革新的なフロントホックブラを製造・販売したい」という志願者に対する、主宰・岩井良明社長らの行き過ぎとも思える言動が目立った。どういったところが問題点だったのか。そして『令和の虎』の根幹とも言える岩井社長の考え方、さらに同チャンネルの方向性を、さまざまな関連記事をまとめながら分析したい。
ココがポイント
▼74歳志願者のプレゼンを岩井社長が「地獄」と表現。しかし男性社長たちも女性の下着の脱がし方で盛り上がる「地獄」の展開に
▼岩井社長はなぜ志願者に厳しい態度をとるのか。その理由は「どんどん失敗すべるべき」という寛容な風潮への違和感?
・マネ虎・岩井良明社長「若者よ、就職することは恥じゃない」(NEWSポストセブン)
▼74歳志願者を「数合わせ」と言い放った岩井社長。かつては勇気を持って挑戦する人の存在が社会を元気にすると発言していたが…
・“教育の虎”から“令和の虎”へ。1本の電話で人生が大きく変わった岩井良明の半生と今後の挑戦(The Keyperson)
▼同チャンネルは炎上演出で再生回数を上げるのが狙い?奇抜な志願者、罵倒…。過去回の「若者を潰して楽しいか」はネットミーム化
・岩井社長が「早く帰れボケェ!」とブチギレ、志願者が途中退出…受験生版「令和の虎」が大荒れ(モデルプレス)
▼「公開いじめ」「ハラスメント」と非難続出。岩井社長の背景にある昭和的な価値観が、視聴者を不愉快にさせている可能性も
・『令和の虎』の主宰者に聞く!株式会社MONOLITH Japan代表取締役・岩井良明さんのミライ(カイフクナビ)
エキスパートの補足・見解
『令和の虎』のもとになった『¥マネーの虎』の栗原甚プロデューサーは、2023年10月27日掲載「TV LIFE WEB」のインタビューで、「『¥マネーの虎』だってオーディション番組と言えばオーディション番組です」と語っている。
1990年代から2000年代にかけ、『マネーの虎』や『ガチンコ!』(TBS系)など、なんらかの夢を追う者たちを集めた「オーディションバラエティ」が流行した。どちらも、出演者が誰かを煽ったり、煽られたりする刺激的な演出が特徴的。オーディションなどで常に揉めごとを発生させ、視聴者の興味をひきつけた。両番組の方向性や影響は、『令和の虎』だけでなく、朝倉未来主宰の格闘技『BreakingDown』など、現在のYouTubeチャンネルの企画からも感じ取れる。
こういった「オーディションバラエティ」は、オーディション参加者を使いながらいかに内容をおもしろく見せるかが鍵である。そのため、制作側・レギュラー出演者側が扇動性を意識し、内心を抉るような展開を仕掛けていく。
テレビ番組以上にはっきり数字が見える、YouTubeの世界。それだけに関係者らが、インパクトが強い展開を求めてしまうのは頷ける。ただ今回の騒動を見ると、そういった企画内容は「不愉快と紙一重である」とあらためて思える。