Jリーグ終盤戦のキーマンにも。海外からの”復帰組”最強イレブン
2024年のJリーグも佳境を迎えています。ここ数年、選手の海外移籍が増加して、一部でタレントの空洞化も危惧されていますが、海外で実績と経験を積んだ選手がJリーグに復帰して、経験を還元しているのも事実。今回は現在進行形で、Jリーグ復帰組の最強イレブンを筆者目線で考えてみました。
GKは川島永嗣(ジュビロ磐田)でしょう。かつて大宮、名古屋、川崎に在籍し、ベルギーやスコットランド、フランスで奮闘してきた日本人GKのパイオニアは40歳で磐田に加入。「日本に帰ってくるというよりは磐田に移籍してきた感覚」とフレッシュな気持ちで新天地での戦いに臨んでいますが、経験値はもちろん質の高いセービングで磐田のゴールマウスを守っています。
最終ラインは酒井高徳(ヴィッセル神戸)、植田直通(鹿島アントラーズ)、昌子源(FC町田ゼルビア)、長友佑都(FC東京)の4人。新潟育ちの酒井はドイツから帰国して神戸で6年目になりますが、まさしく海外での経験をJリーグに還元してくれている代表的な選手の一人で、2019年の天皇杯、昨年にリーグ優勝と二つのタイトルを神戸にもたらしています。
センターバックは植田と昌子という二枚ですが、植田はベルギーとフランスでそれぞれ3シーズン戦い、鹿島に再びタイトルをもたらすべく昨年帰ってきました。現在は関川郁万と鉄壁のディフェンスを形成しており、上位争いを支えています。昌子は鹿島で2018年のACL制覇に貢献したのち、フランスに渡り、トゥールーズで一時レギュラーに定着する活躍を見せましたが、度重なる負傷により帰国。ガンバ大阪で3年プレーした後、鹿島に戻ってきました。しかし、十分に出番を得ることができず、J1に昇格した町田で再出発。新加入でキャプテンを任され、頼れるディフェンスリーダーとして、ここまでリーグ最小失点を支えています。
左サイドバックは日本代表の長友でしょう。セリエAの名門インテルなど、12年に渡り欧州で活躍し、古巣の東京に復帰。スタメンとしてはもちろん、途中からチームを引き締めるなど、多様な仕事ぶりが目に付きます。同ポジションでは安西幸輝(鹿島アントラーズ)などの奮闘も見逃せません。中山雄太(FC町田ゼルビア)はチーム事情でここまでセンターバックの起用がメインで、現在負傷中ということで、今後の活躍に期待したいところです。
ボランチは川辺駿(サンフレッチェ広島)と原口元気(浦和レッズ)です。川辺はスイスの名門グラスホッパーで、コンスタントに得点とアシストを量産、新天地のリエージュでも主力として輝きを放ちましたが、広島のラブコールに応えて今夏に復帰。強度の高いプレーで新外国人のアルスランと共に、終盤戦で優勝争いをリードする立役者となっています。まだ欧州で十分にステップアップが狙える状態で、Jリーグに舞い戻ってきた価値は非常に高いものがあります。
原口はドイツで一時代を築き、10年ぶりの浦和復帰となりました。ここまで2試合は終盤の投入ですが、すでに存在感は特別なものがあり、リーダーシップも含めて浦和のバンディエラになっていくことを予感させます。そのほか三竿健斗(鹿島アントラーズ)や昨シーズン復帰した香川真司(セレッソ大阪)など、やはり中盤は多くの実力者がいますが、期待値の高さも加味して原口を選びました。
セカンドアタッカーは武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)、宇佐美貴史(ガンバ大阪)、原大智(京都サンガ)の3人。昨年のリーグ優勝に大きく貢献した武藤は文句なしでしょう。宇佐美はドイツからガンバに復帰して6年目になりますが、キャプテンとしての自覚が高まり、個人のパフォーマンスもキャリアハイに近いものがあります。
原はFC東京のアカデミー出身ですが、若くしてクロアチア、ベルギー、スペインを経験。昨年から京都の前線で攻撃を引っ張っています。恵まれた体格からセンターフォワードのイメージも強いですが、現在は左ウイングが主戦場に。サイドからのダイナミックな飛び出しやアクロバティックなフィニッシュなど、圧倒的な存在感で新外国人のラファエル・エリアスと共に、強度の逆襲を牽引しています。
1トップは大迫勇也(ヴィッセル神戸)でしょう。昨年のJリーグMVPであり、今シーズンも序盤こそ苦しんだものの、徐々に得点力を発揮して、リーグ連覇とアジア制覇を目指す神戸に力強さをもたらしています。もう一人、鈴木優磨(鹿島アントラーズ)の名前をあげない訳にはいきませんが、編成上の都合で今回は次点としました。もし、鹿島では獅子奮迅の働きを見せているだけに、ここから広島、町田、神戸を抜いて悲願の逆転優勝を果たせば、評価を改めたいと思います。