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米南部の巨大竜巻 スーパーセル発生か

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
NOAA(アメリカ海洋大気局)のHPより

20日午後(現地時間)、米南部オクラホマ州で発生した巨大な竜巻。

現地からのニュースによると、竜巻の直径は3キロ以上、風速は70~90メートルで、巨大竜巻が直撃した住宅や学校、樹木、車、あらゆるものが粉々に吹き飛んでいます。

今回は丈夫な住宅が吹き飛び、コンクリートの学校が破壊されていることから、竜巻の強さは最大級(F4クラス)だったと思われます。昨年、つくば市で発生した竜巻はF3でした。日本ではF4クラスの竜巻は発生していません。

米中部は世界で最も竜巻が発生する場所で、年間で1000個ともいわれています。日本では20個程度ですから、その違いに驚きますが、アメリカは日本の25倍の面積があるので、面積あたりの竜巻数はそれほど変わりません。

とくに、アメリカのなかでも、ここオクラホマ州は竜巻銀座で、カナダからやってくる冷たい空気と、メキシコ湾から流れ込む暖かく湿った空気が、ちょうどこのあたりで活発な積乱雲を発生させます。

少し専門的になりますが、20日の気象状態は

SSI(ショワルター指数)はマイナス2.5

CAPE(対流有効位置エネルギー)は2000J/kg

大気の状態は非常に不安定であったことがわかります。

また、竜巻の直径は3キロ以上との報道があり、もしも本当ならば、巨大どころか、超巨大、日本では発生することのない大きさでしょう。昨年5月のつくばの竜巻では、被害幅約500メートルでしたし、日本最大級といわれる1990年千葉県茂原市の竜巻は、幅約1200メートルでした。

このありえない大きさの竜巻は、巨大な積乱雲、スーパーセルにともなって発生したと思います。

アメリカ海洋大気局(NOAA)

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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