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空梅雨列島 今後は?

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
最近20日間の降水量は西・東日本の広い範囲で平年を大幅に下回っている

今年の梅雨は全国的に空梅雨となっている。今後は梅雨前線の活動が活発になるとみられ、空梅雨が一転、大雨となる所がありそうだ。太平洋高気圧の動向が鍵を握る。

雨量は平年の半分

22日は沖縄で梅雨が明けました。太平洋高気圧(夏の高気圧)が沖縄付近で強まったため、梅雨前線は今後、本州付近に停滞するでしょう。梅雨の後半、大雨シーズンの到来です。

今後を考える前に、これまでの雨の状況を振り返ってみましょう。

こちらは15日(右下)と23日(左上)の梅雨前線の雲の様子を比べたものです。

梅雨前線の雲を比べたもの(15日と23日,ひまわり8号)
梅雨前線の雲を比べたもの(15日と23日,ひまわり8号)

帯のように見える雲が梅雨前線の雲です。この一週間で雲の様子が大きく変わりました。15日は沖縄がすっぽりと梅雨前線の雲の中でしたが、23日になると雲の帯が北上し、沖縄が雲からのぞいています。

沖縄では2度にわたり大雨に見舞われ、那覇では平年の2倍近い687ミリの雨が降りました。

こちらの図(表紙と同じ)は最近20日間の雨量を平年と比べたものです。黄色は平年の6割以下、茶色は平年の3割以下の都府県です。

最近20日間の降水量(平年比):6月4日-23日
最近20日間の降水量(平年比):6月4日-23日

雨量が全国で最も少ないのは福岡県で平年の19%、次いで佐賀県の26%、福井県の28%です。日本海側の地域で雨が極端に少なくなっていることがわかります。

これは梅雨前線が沖縄付近に停滞する期間が長く、その分、本州付近は高気圧に覆われる日が多かったからです。

今後、雨の降り方はどのように変わるのでしょうか?

梅雨の後半は西日本と東日本で雨量が多くなる見通し(模式図)
梅雨の後半は西日本と東日本で雨量が多くなる見通し(模式図)

24日(土)以降、梅雨前線は西日本に停滞し、断続的に雨が強まります。さらに、最新の3か月予報によると、来月は西日本と東日本で雨量が多くなる予想です。太平洋高気圧が平年よりも強く、高気圧の縁を流れる非常に湿った空気の影響を受けやすいとみられます。

太平洋高気圧がさらに強まれば、梅雨前線は日本海側まで北上します。先日の和歌山県や静岡県のような大雨が次はどこで起こるのか、さまざまな状況を思い描きながら天気図を見ています。

【参考資料】

沖縄気象台:梅雨の時期に関する沖縄地方気象情報 第2号,2017年6月22日

気象庁:全般季節予報支援資料3か月予報(予報期間2017年7月-2017年9月),2017年6月23日

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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