キャッシュレス手数料が利益を圧迫 個人飲食店がすべき唯一のこととは?
キャッシュレス決済の普及が個人飲食店に打撃?
飲食店などでのキャッシュレス決済の利用が急速に進んでいる。クレジットカードはもちろん、以前より『Suica』『PASMO』などの「交通系IC」による決済手段はあったが、2018年頃より『PayPay』『LINE Pay』などの「QRコード」決済がスタート。2023年には『PayPay』の登録ユーザー数が6,000万人を突破した(出典:PayPay株式会社プレスリリース)。
キャッシュレス決済手段は消費者にとっては素早く会計が出来るほか、現金を持ち歩かなくて済む利点があり、店側にとっても会計の手間やお釣りの準備が軽減されたり、締め作業の簡略化や盗難防止など売上管理の面でもメリットが大きい。消費者側も店側もメリットがあるキャッシュレス決済だが、店側に負担となってくるのがキャッシュレス決済の「手数料」だ。
決済手段や契約によって細かな料率は異なるが、概ねキャッシュレス決済による売上の1〜3%程度が手数料としてサービス側に支払われる。一般的に薄利多売のビジネスモデルにとって売上の3%が引かれるのは大きい。「このままでは店が潰れる」「キャッシュレス決済をやめるしかない」など、SNSでは個人経営の飲食店による悲鳴が後を絶たない(参考記事:ABEMA TIMES 2024年4月9日)。
メリットを享受するにはコストがかかる
メリットを享受するのにはコストがかかる。例えばラーメン店などの飲食店で「券売機」を導入しているところが、券売機のリース代やランニングコストがかかるのは当然のこと。その代わり会計がスムーズになり、そこに人手が取られることがなく調理やサービスに集中出来るメリットがある。キャッシュレス導入についても考え方は同じことだ。
これまで現金対応しかしていなかった店が、そのままキャッシュレスを導入すれば当然のことながら手数料分の利益は減る。これはキャッシュレスの手数料に限った話ではなく、原材料費や人件費、水道光熱費を含めてコストが上がるのであれば売価に反映させない限り利益は減る。ならば上昇した分を価格に転嫁するか、コスト全体の見直しをしない限りこれまでの利益が確保出来ないのは当然だ。
キャッシュレス決済を導入して利益を維持する唯一の方法
手数料を払うのは店側であり客側に求めることはルール上出来ないと考えている経営者もいるが、それは現金での売価とキャッシュレス決済での売価に差がある場合。電気代や水道代もコストとして計算しているように、決済手数料もコストとして計算をして売価を決めれば良いだけのこと。繰り返すがコストが増えるのに売価を見直さなければ利益は減るのは当たり前のことだ。
人間は便利なものを使うと不便なものには戻れない。電車に乗るのに現金で切符を買っている人がどれだけいるか。スマートフォンネイティヴの若者たちは切符の買い方すら知らない。間違いなくこれから先キャッシュレス決済はますます浸透していく。飲食店においてキャッシュレス決済の導入は不可避。ならばこれまでの利益を維持出来るようにコストと売価のバランスを見直すしかないのだ。
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