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コロナ禍で住みたい・働きたい街「横浜」への憧れは変化したのか?コロナ禍で横浜に転職する若者の今。

佐藤裕はたらクリエイティブディレクター
住みたい街、働きたい街ランキングの常連「横浜」(写真:アフロ)

2020年から続くコロナ禍は、企業のビジネスモデルだけでなくオフィス環境や雇用の考え方に変革が起こり、それによって人々の働き方、暮らし方など「価値観」に大きな影響を与えています。そして、Post|Afterコロナでは日本社会の変革はまだまだ起こると想定されています。

そんな中、コロナ禍で「働く環境」に対しての人々の価値観はどう変化しているのか。「住みたい街」ではNO.1を獲得し「働きたい街ランキング」でも常に上位に位置する「横浜」を事例に洞察してみたい。

オフィス不要論が飛び出したコロナ禍

コロナ禍で変化した人々の「オフィス」に対しての考え方は「オフィス不要論」が出るほど振れ幅は大きい。電通の本社ビル売却が大きなニュースとなったり、オフィスの分散、テレワーク・リモートワークの導入、オンライン会議への切り替えなど、仕事をする場所への注目は大きい。

一方でコロナ禍ではオフィスで働くことに拘る会社もあり、多様な価値観が広がっている。

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社会人1年目の半分は休業をしていた

今回話を聞かせてくれたのは、2020年4月に社会人デビューをしたものの入社した会社は新型コロナウイルスの影響を受け、1年で休業期間が半年近くもありほぼリモートワークで過ごし、思い描く社会人生活が出来なかったことがきっかけで転職活動をして、憧れていた「横浜」で働くことを選択した株式会社GFDの岡本明穂さん。

株式会社GFD人事広報担当の岡本明穂さん(写真提供:ご本人)
株式会社GFD人事広報担当の岡本明穂さん(写真提供:ご本人)

――1年の半分近くが休業だった社会人1年目を振り返ると?

正直、研修期間も踏まえると半年ほどしか1年目は働けていなかったように思います。コロナ禍で致し方ない点も多く休業中は営業のアルバイトなど、社会人に慣れることを意識した活動をしていました。コロナ禍でなければ転職はしていないと思います。

転職をきっかけに横浜で住む・働くことを決意

――転職をきっかけに横浜で働くことを決意したのはなぜ?

社会人になって、横浜も都心と同じくらいビジネスが活発だと気づけたからです。

「東京で働く」という目標をもって学生時代は就職活動をしていましたが、実際社会人になってみると東京にこだわっていた意味って何だろうと感じるようになりました。

地元の群馬県にいたころは「都会」へのあこがれが強く、東京に行けば圧倒的な情報量や人との出会いで刺激を受け、自分をもっと成長させることができると思い込んでいました。しかし実際に東京で働いてみると、東京のお客様と同じくらい横浜のお客様との関わりが多く、「横浜=観光地」のイメージだったのが、社会人1年目で「横浜=ビジネス」のイメージを持つようになりました。

もちろん観光のイメージがなくなったわけではなかったので、「観光」も「ビジネス」も兼ね備えた横浜に対しての憧れが、学生時代から抱いていた東京への憧れよりも強くなっていきました。

それもあって転職活動の際は、横浜も候補に入れて企業探しをしたところ自分のやりたいことができ、さらに憧れの地「横浜」で働ける現職の求人を見つけ、入社することを決めました。

観光地でありながら多くのビジネスが集まる横浜みなとみらい
観光地でありながら多くのビジネスが集まる横浜みなとみらい写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート

在宅ワーク時代だからこそ横浜の魅力はある

――テレワーク・リモートワークが進む中、横浜は味わえていますか?

入社して4か月ですが、コロナ禍でもかなり味わえています。

現在は基本的リモートワークで、会社には週に1回程度出社しています。日々リモートワークばかりなので、出社の時くらいは気分転換に「絶対に美味しいものを食べるぞ!」という私の中に強い思いがあり、お昼には横浜駅周辺を散策して、気になったお店に入ってランチをしたりしています。

「横浜 ランチ」と調べるとSNSでもたくさんの情報が出てくるので、出社のたびにどこに行こうか楽しみにしています。

お昼だけではなく仕事終わりも楽しんでします。仕事終わりには、駅ビルで買い物をしたり、最近だと横浜駅付近のサロンに寄って帰ったりもしています。

横浜駅周辺は何でも揃っているので、「行きたい」「欲しい」と思ったらすぐに叶えられるのが魅力だと思っています。

前職の際はオフィス街だったこともあり、会社付近にショッピングを楽しむ場所がなかったので、仕事終わりに行くとなるとお店の営業時間に間に合わないことが多くて平日の余暇は諦めていました。

それに比べて今は横浜駅から徒歩3分で会社に着くので、仕事終わりでも時間に余裕を持って自分のやりたいことができるので、出社時が私にとって気分転換になっています。

ただ、私はもっと横浜の魅力を味わいたいと思っているので、年内中に横浜市に引っ越す予定です。それくらい私はこの4か月で横浜に魅了されています。

仕事帰りでも観光を味わえる横浜(写真提供:岡本明穂さん)
仕事帰りでも観光を味わえる横浜(写真提供:岡本明穂さん)

――実際に横浜で働いて分かったことはありますか?

 

働いて改めて何でも揃っている便利な場所だと感じています。観光地としてはレジャースポットが多く家族連れや友達同士など幅広い世代が楽しむことができますし、ビジネスでは企業数が多く働く場所の多さやアクセスの良さで働きやすい環境だと思います。

それだけではなくオフの時間を楽しむにも最適な場所だと思っています。仕事終わりや休日、少し時間があるときに横浜を散歩してみると、おしゃれな街並みや工場の夜景、山下公園の海沿いなど、歩いているだけ気分転換になります。

必要なものが揃っているのはもちろん、自分の気持ちをリフレッシュさせることができるサードプレイス的な場所がいくつもあるのが横浜で働いてみて分かった魅力です。

そして横浜在中の人や横浜で働く人たちの横浜への強い愛は痛感しています。

株式会社GFDの社員には横浜出身者が多く、社員の半数は横浜在中ということもあり、横浜愛がかなり強いです。

最初は他人事としてその様子を見ていましたが、今ではすっかり私もその仲間入りです。もっと横浜を元気にしたい、もっと横浜の魅力を広めたいという想いで会社のInstagramでは横浜のグルメやおすすめスポットを載せているくらいです。

私がそうだったように、横浜のことを知らない人はまだまだたくさんいると思います。その方たちに今度は私が横浜の魅力を伝えていきたいと思っています。

今後は横浜で働く人代表として、住んでいる人だけではなく、働いている人にも好まれる横浜の魅力を、私自身もっと発見し、発信していきたいと思っています。

コロナ禍でさらに強くなる横浜の魅力

コロナ禍でオフィスで働く時間が減ったことで「横浜」で働く意味がなくなったのではなく、逆に計画出勤の際に在宅で溜まったストレスを発散したり、諸々の気分転換に横浜の街並みは有効のようだ。

これまで気付けなかった街の魅力にコロナ禍だからこそ気付く、そしてそれが新しい街の文化に繋がる。特に横浜はオフィス街から少し歩けば海があり、緑も沢山あるのでビジネス×観光の融合が進んだ魅力ある街。

いよいよ社会の動きにも明るい兆しが見えて来ましたが、安心して観光が出来るようになった際には「横浜」を味わってみては如何でしょうか。

はたらくを楽しもう。

【取材協力を頂きました企業について】

設立13年横浜に根ずき、技術力に定評のある株式会社GFD

岡本明穂さんと横浜の活性化について議論したい方はこちら

はたらクリエイティブディレクター

はたらクリエイティブディレクター パーソルホールディングス|グループ新卒採用統括責任者、キャリア教育支援プロジェクトCAMP|キャプテン、ベネッセi-キャリア|特任研究員、パーソル総合研究所|客員研究員、関西学院大学|フェロー、名城大学|「Bridge」スーパーバイザー、SVOLTA|代表取締役社長、国際教育プログラムCAMPUS Asia Program|外部評価委員などを歴任。現在は成城大学|外部評価委員、iU情報経営イノベーション専門職大学|客員教授、デジタルハリウッド大学|客員教員などを務める。 ※2019年にはハーバード大学にて特別講義を実施。新刊「新しい就活」(河出書房新社)

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