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『6/1』から本格的なハイブリッド就活がスタート。21就活、22卒インターンシップのリアルとは。

佐藤裕はたらクリエイティブディレクター
6/1からハイブリッド就活が本格的にスタートするも課題は山積みで市場は大混乱。(写真:アフロ)

ここ数年は6月1日から大手・ブランド企業の選考解禁、大学3年生、大学院1年生向けのインターンシップ解禁の日として世の中の共通認識になりつつあった。そして今年は「東京オリンピック」が予定されていたことで企業の新卒採用計画は超前倒しだったことに加えて、新型コロナウイルスの影響が大きくなり就活市場は大混乱となっている。

そんな中迎えた6月1日は21卒、22卒学生にとってどんな日になるのか

想定外の炎上からスタートする6/1

マイナビは以前から22卒学生向けのPRとして「#マイナビ就活仲間」などSNS上で仕掛けをしている。その流れで6月1日に解禁されたインターンシップサイトのPRを含めて22卒学生向け(大学3年生、大学院1年生)に「#就活生にエールを」をTwitterキャンペーンとして展開した。

マイナビとしてはリクナビへの対抗施策として22卒学生を囲い込むビジネス的視点と厳しい市場になることが予測される22卒学生への大人からのメッセージだったと思うが、強く反応したのは想定外の21卒就活に奮闘中の就活生だ。

「まだ21就活は終わってない、むしろ状態は悪化しているのに22卒の応援にシフトした」

「インターンシップ解禁とはいえ、実質22卒就活がスタートしたということで4年生は焦りを感じる」

本来6月1日は大手・ブランド企業の選考解禁とは言え、内定出しの日になっていたり多くの学生が内定または選考最終フェーズに近づいているが、今年は新型コロナの影響でGW後から就活の進捗が鈍化していることもあり、大学4年生、大学院2年生達は勝負期の真っ只中かつ不安は拡大している。

そんな中でのマイナビのハッシュタグで不安や怒りを煽った形になるが、こんなところにも新型コロナの影響が出ているということに驚きだ。

インターンの実施はどうなるのか

例年夏のインターンシップが「就活スタート」という状況になっていたが、今年はどうなるのか?と学生の中で不安が高まっている。企業の取材から地域や企業ごとの考え方が見えてきた。

大手通信会社の新卒採用責任者は「当初のリアルで実施するインターシップをコロナ禍でオンラインに何とかシフト出来たので実施する。ただ、多くの学生に出会うというよりも厳選でオンラインで企画を運営していく予定」と話す。

毎年1000名ほどの学生を採用する大手IT企業は夏のインターンシップが母集団形成の機会として採用戦略上、非常に大きな意味があったがオンライン化が追い付かない、21卒向けの遅延、そもそもの採用計画の見直しなどの背景で夏のインターンシップを中止する判断をしている。

学生から人気のあるベンチャー企業は企業を理解してもらうことが目的になっているプログラムはオンラインで。選考要素が強く選抜型のプログラムは3密を避けながらリアルで実施したいと意気込んでいる。

北海道の老舗企業では東京や大阪での21卒向け就活の状況が落ち着かないと4年生向けの採用が終わらない。3年生向けはその後に検討になるのが現状と新型コロナの影響が大きく出ている。

他にも多くの人事からの情報をまとめると、2020年夏のインターンシップは地域、業界、企業ごとに置かれている状態や考え方が異なるのでプログラムの実施そのものから判断が異なるというのがリアル。

完全オンラインで実施する、オンラインとリアルの掛け算、例年通りのリアル、検討中、中止という中で新型コロナの2波がない限り、インターンシップの実施が継続されるのであればオンラインとリアルのハイブリッド型と捉えて学生は準備、そして企業ごとの情報収集を進めることが求められる。

21卒向け就活はオンライン派とリアル派が徐々に可視化

5月後半でトヨタ社など大手が21卒就活は内定出し含めてオンラインで完結するという発表をした一方で、6月1日からの面接を対面で実施すると三菱商社など動いた。

全体的に最終フェーズまではオンラインで対応をして、最終面接は業界、企業ごとにオンライン、対面の判断をするので学生は正しい情報収集を心がけて欲しい。「主流」がなく、個社ごとの違いという前提で活動することで常に情報への意識が高まるでしょう。

ハイブリッド型就活の中で学生が意識すべきコト

新型コロナの影響が落ち着くまでは、インターンシップも就活もオンラインとリアルのハイブリッド型になるので、学生はいくつか意識、そしてスキルを高めていく必要がある。

1、「新しい就活」へ切り替える

新型コロナの影響で生活が変わり、学生自身も新時代|ニューノーマルというような世の中の変化に対して3月までの文化や価値観を貫いて生活はしていないはず。むしろ、新しい環境に如何に適応するかを前向きに進めているはずです。それと同じように就活も新時代|ニューノーマルを自分で理解をして適応していくために意識や行動を変えることが必要になる。

2、新型コロナの影響で変化している市場、企業を理解する

未だに市場の変化を理解せずに、19年度の大きな赤字公表、解雇、負債、採用停止などの情報がメディアに流れているような業界を第一志望のままにしていたり、「古い就活」の典型である「自己分析就活」で業界、企業を選定している就活生が多いままだ。新型コロナの出現より前から、いわゆる「優秀層」はナビサイトも使用せず、自己分析就活もせずに大手・ブランド企業、ベンチャーの内定を勝ち取っている。つまり、社会で起きている事、ビジネス全般の知識が高まれば未来を予測ができる。そこに自分で問いを立てて、「やりたい」ことではなく「やるべき」ことを明確にして決め打ちして就活に勝っている。企業の評価も当然、その方が高くなる。

3、ガクチカなどの経験PRから能力把握とプレゼンテーション

厳選採用になる可能性を前提に就活、インターンシップは意識する必要がある。つまり、企業が就職氷河期、買い手市場、厳選採用下では学生をどのように評価するのか?何を求めているのかを理解すること。

企業は就活生として優秀を求めているわけではなく、入社して活躍するイメージを優秀としています。厳選になればより活躍イメージ、つまり現時点での価値観の多様化、社会人基礎力を含めたポテンシャルが重要になってくる。それは、ガクチカをどれだけ綺麗に整理して伝えても面接官には届かない。面接官に届く、刺さるのは「活躍イメージ」です。それが伝わる為に何を話すべきか?人柄をどう表現するのかを準備すること。特にオンライン面接では非言語情報が少なくなるため、背景やファッションなど工夫できる部分はフルに使いたい。

事実と解釈の見極めと「新しい就活」が勝負のカギ

学生が抱える「不安」は正しい情報がないから生まれてくる感情です。良いも悪いも正しいリアルな情報があれば、焦ることもあれば前に進めるのかの一歩が可視化される。

特に就活市場は情報が錯そうします。事実と解釈を混在してしまうことで真実を見間違えるということが多い。誰が正しい情報を持っているのか?どのツールが正しい情報を提供しているのか?より慎重に判断して欲しい。

そして、これまでの「当たり前」を疑ってみること。自己分析でキャリアを決めることがどれだけ怖いことかは冷静になれば必ず分かることなので、このタイミングだからこそ新しい生活、時代の中の「就活」として捉えて意識や行動を変えることをお勧めしたい。

正しい情報を持って一歩踏み出せば、見える景色は必ず変わります。

はたらくを楽しもう。

【参考動画】

WEB面接に対しての企業のホンネとリアル対策について

【参考書籍】

「新しい就活」

【学生の就活|キャリア相談はこちら】

YU_EnjoyWork

はたらクリエイティブディレクター

はたらクリエイティブディレクター パーソルホールディングス|グループ新卒採用統括責任者、キャリア教育支援プロジェクトCAMP|キャプテン、ベネッセi-キャリア|特任研究員、パーソル総合研究所|客員研究員、関西学院大学|フェロー、名城大学|「Bridge」スーパーバイザー、SVOLTA|代表取締役社長、国際教育プログラムCAMPUS Asia Program|外部評価委員などを歴任。現在は成城大学|外部評価委員、iU情報経営イノベーション専門職大学|客員教授、デジタルハリウッド大学|客員教員などを務める。 ※2019年にはハーバード大学にて特別講義を実施。新刊「新しい就活」(河出書房新社)

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