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渋谷に現れた『#就活の真実』で考える就職活動に潜む落とし穴。「解釈と事実」の区別で勝負が決まるワケ

佐藤裕はたらクリエイティブディレクター
渋谷109に突如現れた巨大看板には号外|就活生新聞が自由に取れる仕掛けが。

就活ルールは形骸化され「ナビサイト離れ」が囁かれる中、本日各社のナビサイトが予定通りにオープンしている。昨年のリクナビ個人情報問題で就活生は何を信じて良いのか?「不安」な状態のまま就活が本格化した。

#就活の真実 公開中。号外|就活生新聞

そんな中、突如渋谷のど真ん中に巨大な看板が登場した。

月間100万人が利用する就活口コミサイト「ONE CAREER」を運営する株式会社ワンキャリアが、30万件の学生の声から制作した号外「就活生新聞」がラックに詰まった巨大な看板はインパクトが大きく、既に数百部が取られておりスタッフが補充をする姿も。

不透明な就活を透明化するために

依然として日本の就職活動市場は不透明で企業と大学、そして学生の距離がある。さらには地域間の情報格差も存在する。

ナビサイト離れをして早期に内定獲得をする学生もいれば、3月1日ナビサイト解禁を就活のスタート日にする学生もいるように「情報」次第で行動が変わってしまう。だからこそ本当にこれで良いのか?という「不安」が募る。

そして新型コロナウイルスの影響により就活の先行き不透明さは増して大混乱を引き起こしている。

ワンキャリアが発刊した号外新聞は、そんな市場の中で就活生の「不安」を少しでも解消するきっかけになりそうだ。

号外|就活生新聞(画像提供:ワンキャリア)
号外|就活生新聞(画像提供:ワンキャリア)

本当の就活スケジュールってどうなってるの?

学生から良く出る質問は、

「まだ説明会を開催していない企業で知り合いが内定を持ってるのはなぜ?」

これは正確に言うと「内定」ではなく「内々定または内定約束」ということでしょう。

経団連や国主導の就活ルールが「企業の広報解禁3月、選考解禁6月」とされているのは表であり、裏側や水面下では企業は学生と接点を持ち、カフェなどで面談を繰り返して6月に内定を出す学生を決めているケースが増加している。もはやそれは就活生にも認識されている。

インターンシップは就業体験?

分かりやすいのは夏のインターンシップだ。本来の意味では「就業体験」だがその体を成しているインターンシップはほとんどなくなってしまっている。つまり「選考型インターンシップ」が横行しており、そこで企業は学生の見極めを実施して本選考へ移行させる。

水面下採用の実態

6月解禁まで待っていると外資系や就活ルールとは距離のある企業が先に内定承諾を獲得してしまうので、就活ルールに縛られている大手・ブランド企業も水面下で暗黙の約束を取り付ける必要が出てきているのだ。

その暗黙を就活生は友人や後輩に軽やかに共有するケースが多いので、SNSなどで裏側・水面下採用が可視化されて周囲の学生が発見して上記のような疑問となるのだ。

締め切り漏れを防げ

#就活の真実で注目して欲しいのは、学生からのリアルな情報をもとに作成されている『人気業界網羅!就活スケジュール』だ。

就活生からすると「え?その企業まだ始まってないはず」が実際は違うという現実が当たり前の世界になっているのが就活市場です。情報を持っているか否かで企業との出会いや可能性の幅が変わって来るのだ。まさに不透明。

リアルな就活スケジュールが今後も可視化されていくことで学生の動きが変わる。つまり可能性を広げることが出来る、

何より本来必要のない「就活への不安」を少しでも取り除ける意味で「就活生新聞」は価値あるツールになりそうだ。

人気企業の本当の就活スケジュールが可視化されている興味深いデータ(画像提供:ワンキャリア)
人気企業の本当の就活スケジュールが可視化されている興味深いデータ(画像提供:ワンキャリア)

就活市場に潜む落とし穴

入社後のリアリティ・ショックや早期離職、就活後悔は当然就活に原因がある。そしてその原因の大半が情報と言える。

・先輩からの情報で「自己分析就活」をやってしまう

・面接対策は「ガクチカと強み・弱みと志望理由」

・嘘でも第一志望と言う

・社風はOBOG訪問でチェックする

などなど、就活最前線では全く通用しない情報で多くの就活生が「当たり前」になっている。就活最前線を知らない人の就活支援を受けていても気づかない。

解釈と事実の区別が出来れば勝てる

当社は「急成長している」「業界NO.1」「楽しく仕事できる環境」「成長できる」「若くして裁量権がある」

リクルーターや面接官、若手社員から良く出て来るフレーズですが、これは『解釈?事実?』でいうと、勿論すべて『解釈』です。

事実は、客観的なデータを元に「急成長、業界NO.1」であるという定量情報が必要です。実際の社員のリアルな体験があって且つ組織として定量的にエビデンスがあって「楽しい、成長」であり、「若くして裁量権」というマジックワードもその会社の中での度合いであり、他企業との比較の中でどうなのか?事実確認が必要になる。

つまり、就活市場では先輩や人事、企業の社員は『その人の解釈』で説明しているケースが多々ある。中でも「成長・やりがい・裁量権」はマジックワードで解釈だけで就活生は心を動かされてしまう。その人の解釈と事実の区別を付けて必要な定量情報を獲得することが重要になるのです。

解釈と事実の区別とは

服を選んでいて定員さんが「それセールで安いですよ!」と声をかけて来て「あ、安いなら買おう」とはならないですよね?

それはその定員さんの解釈でありPRです。自分が値札をチェックして自分の価値観の中で「安い」と判断すれば良いのです。それが事実確認です。就活も同じで、特に重要なポイントなのです。

就活は不透明だからこそ自分の目で判断を

本日登場した #就活の真実 はまさに今の就活市場にある学生の「不安」をクリーンヒットしている企画だ。

どうしても利害が大きく渦巻く就活市場だから学生は不透明に感じることが多いはず。

そんな時は今見ているものは『誰かの解釈なのか?事実なのか?』の区別を付けるように意識することで「不安」がクリアになります。事実情報を沢山集める事で見える景色が変わると思いますし、その時が本当に正しい決断が出来る時だと思います。

はたらくを楽しもう

はたらクリエイティブディレクター

はたらクリエイティブディレクター パーソルホールディングス|グループ新卒採用統括責任者、キャリア教育支援プロジェクトCAMP|キャプテン、ベネッセi-キャリア|特任研究員、パーソル総合研究所|客員研究員、関西学院大学|フェロー、名城大学|「Bridge」スーパーバイザー、SVOLTA|代表取締役社長、国際教育プログラムCAMPUS Asia Program|外部評価委員などを歴任。現在は成城大学|外部評価委員、iU情報経営イノベーション専門職大学|客員教授、デジタルハリウッド大学|客員教員などを務める。 ※2019年にはハーバード大学にて特別講義を実施。新刊「新しい就活」(河出書房新社)

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