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年々増加するSNS犯罪被害 -ニュースをきっかけに家庭で子どもと話し合いの機会を-

五十嵐悠紀お茶の水女子大学 理学部 准教授
(写真:アフロ)

大阪の小学6年生女児が保護された事件では、Twitterのダイレクトメッセージを利用して知り合ったとの報道がありました。

子どももスマートフォンやSNSを使う時代。SNSを利用した犯罪や被害は年々増加しています。

小学校・中学校などでは、子どものためのリテラシー教育はすでに始まっています。

我が子の通う小学校でもインターネットやゲームとの付き合い方の学習がつい先日行われました。

インターネットでつながっている人は約39億人といわれています。

この中には、いろいろな考えや目的を持った人がおり、名前もハンドルネームや匿名、性別も本当かどうかわかりません。

被害者になるかもしれない

そして、自分自身が加害者になるかもしれない、といった意識が必要です。

ニュースについて家族で話し合いの機会を

今回の事件は親子で話し合うのにちょうど良い事例になっていると思います。

なぜ、このような事件が起きたのか。自分でも危ないと思ったことはないか。自分ならどうするか……。

SNSやスマートフォンにまつわるニュースをご家庭で子どもがいるときに話題に出すことで、我が子とのスマートフォン等の使い方を見直すきっかけになるでしょう。

もちろん、スマートフォンをお持ちのご家庭は、購入するときなどに、利用するにあたって各ご家庭でいろいろな話し合いをしていることと思います。『ペアレンタルコントロール機能』を利用して、使用する時間や使用可能なアプリなどを制限しているご家庭もあるでしょう。けれど、こういった制限は初期設定を行って終わり、ではなく、日々の見直しも必要です。

(設定が面倒と思うかもしれませんが、何も設定していないご家庭は是非、設定の見直しをしてみてください。)

例えば、Apple社のiOS12以降のiPhone,iPadなどの機器では「コンテンツとプライバシーの制限」といったペアレンタルコントロールがついており、これを使えば特定のアプリや機能を使えないようにしたり、使用制限を設けたりすることができます。

1日にスマートフォンを手に取る回数やアプリ別の利用時間を集計する機能も備わっており、親は子どもの利用時間を知ることができたり、管理したり、特定のアプリに使用制限をかけたりできるようになりました。

ルールは一度決めたら終わりではない。見直しが必要。

判断能力や自制力、責任能力がある程度身につかないと、子どもが自分自身で使用方法を制御することは難しいのが現実です。使用時間などは親がこっそり見るのではなく、子どもと一緒に、今週はどのくらいの時間を使ったのかなど確認をすると良いでしょう。

「このアプリの使用を許可してほしい」と言われたら、なぜそれが必要なのか、などを話し合うきっかけにもなります。

ルールは最初は厳しいくらいで十分でしょう。

けれども、子どもの使い方や年齢、成長に応じて、徐々にフィルターやルールを弱めていき、子ども自身に考える力や自制心を身につけさせていく、ということも必要です。

面と向かって、子どもに「あなた、大丈夫でしょうね?!」と話題をふっても、思春期の子どもたちは反論することも多いです。

そこで、時事ニュースをきっかけに話題をふってみてはいかがでしょうか。

SNSに関しては子どものほうが詳しくて、教えてくれることも多いかもしれません。

お茶の水女子大学 理学部 准教授

東京大学大学院工学系研究科博士課程修了.博士(工学).日本学術振興会特別研究員PD, RPD(筑波大学), 明治大学総合数理学部 専任講師,専任准教授を経て,現職.未踏ITのPM兼任.専門はヒューマンコンピュータインタラクションおよびコンピュータグラフィックス.子ども向けにITを使ったワークショップを行うなどアウトリーチ活動も行う.著書に「AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55」(河出書房新書),「スマホに振り回される子 スマホを使いこなす子 (ネット社会の子育て)」(ジアース教育新社),「縫うコンピュータグラフィックス」(オーム社)ほか.

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