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子どもの好奇心を育てるためのヒントにつながるイベント「IPSJ KIDS」とは

五十嵐悠紀お茶の水女子大学 理学部 准教授
(写真:イメージマート)

プログラミング、ものづくり、研究……。最近は小学生が活躍する場が広がってます。小学生向けのコンテストも増加しましたし、中高生に混ざって小学生がコンテストで受賞することも珍しくなくなってきました。SNSなどの場を通じて世界に自身の作品や研究を発表することもできます。そんな活躍する小学生は、日頃どのようなことを考え、何がきっかけで取り組み、世界が広がっていったのでしょうか。

情報処理学会の第85回全国大会が2023年3月2日(木)~4日(土)に電気通信大学とオンラインのハイブリッドで開催されます。たくさんの「イベント企画セッション」が用意されていますが、小学生に焦点を当てたイベント「IPSJ KIDS」(3月4日(土) 13:20-15:20から第4イベント会場&オンライン配信)に注目してみたいと思います。

IPSJ KIDSとは

「IPSJ KIDS (アイピーエスジェー・キッズ)」とは、情報処理学会(Information Processing Society of Japan) が主催している、研究をしている小学生が集まり、自身の研究について発表・ディスカッションを行うセッションです。

もともと、IPSJ-ONEという、情報処理学会に属する40を超える研究会から推薦されてきた選りすぐりの若手研究者が登壇して最先端の研究を5分でわかりやすく発表する人気セッションがあり、「IPSJ-ONEの小学生版をやりたい」といった情報処理学会会誌編集委員会からの企画で2022年3月の第84回全国大会の中でIPSJ KIDSの初回が開催されました。初回の様子はこちらから視聴可能です。

講演者は様々なフィールドを研究する小学生たち

IPSJ KIDSの講演者は、プログラミングやものづくり、昆虫などに興味をもつ小学生たちが、自らの研究について語ります。今回発表してくださるのは、情報処理学会編集委員会が見つけてきた3名の小学生。

講演者の一人、小林都央さんは国内最大の小学生プログラミングコンテスト「Tech Kids Grand Prix(テックキッズグランプリ)」で、昨年3,122件のエントリーからTOP10のファイナリストとして決勝進出した経歴など、輝かしいキャリアをすでに持つ小学生で、ABEMAニュースなどでも取り上げられているので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。

参考:【天才少年】IQ154の”天才クリエーター”小林都央(10)が描く未来とは(ABEMAニュース)

次の講演者、長岡翼さんは夏休みの自由研究にランドセルとリサイクル部品を使ったパソコンを作った小学生。「お小遣いの範囲でパソコンを作りたい!」と家にあるものやリサイクルショップに出向いてパーツを揃えて作ったそうです。Twitterに投稿したら56000件の「いいね」と世界中からたくさんのメッセージをいただきうれしかったと言います。当日は実物を持参しての発表をしてくださいます。

参考:『21GB/s超のSSD RAID、小学生が作ったランドセル型MOD PCにやられた日』(2022年11月13日 ASCII)

3人目の講演者は、国内3例目のトゲナナフシのオスを発見したという森下泰成さん。小学1年で参加した昆虫キャンプで偶然手に入れたトゲナナフシのメス。みんなが標本にしてしまう中、トゲナナフシがメスだけで繁殖を行う単為生殖であると知った森下さんは、育てることを決め、累代飼育を6年間続けてきたという。そのような中で昨年の夏、日本で3例目となる非常に珍しいオスを発見したのだそう。

参考: 『田原福江小の森下さんが国内で3例目の大発見で市長表敬』(08月28日(日)東愛知新聞)

発想・好奇心をどのように育んできたかを知りたい

それぞれ3人の研究するフィールドは、大きく異なりますが、事前顔合わせと当日のプレゼン内容を聞いたお互いは、すでに聞きたいことがいっぱいと興味津々。当日は、小学生たちがプレゼンテーションをして大人が質問をするといっただけでなく、後半にはディスカッションの時間を設け、子ども同士がお互いに興味を持ったことを聞いてみる時間も設ける。

情報処理学会会誌副編集長で、同イベントでは司会進行を務める福地健太郎先生(明治大学総合数理学部・教授)は、

「彼らの好奇心の強さに応えるためにディスカッション時間を急遽加えました。私自身も、彼らの取り組みそのものに加えて、彼らがその発想や好奇心をどのように育ててきたのかにも興味があります。やりたいことが見つからない、何にも興味を持てないといった悩みを抱える若者も多くいる中で、好奇心を失わずにいかに育んでいったのか。教育に関わる者として、また小学生の子供を育てる親として、ぜひ聞いてみたい。ディスカッションには私も混ぜてもらってその辺りを議論してみたいと思っています。」と話す。

天才発明王のエジソンも好奇心旺盛で聞きたがりの少年で、様々な実験をしては失敗を繰り返すも、母親が大らかに受け止めていたという。どんなところにアイデアのたねが転がっているのかに加えて、子どもがどうしてすくすくと好奇心を伸ばしてこられたのか、そんな環境も垣間見ることができるようなセッションになりそうです。小学生や初等中等教育に携わる教育界隈の方だけでなく、子育て世代の親御さんにも是非ご興味を持っていただけるのではないでしょうか。

イベント参加は無料

情報処理学会の第85回全国大会の聴講参加には、以下の2種類のチケットがありますが、IPSJ KIDSはイベント企画ですので、情報処理学会会員・非会員を問わず、どなた様も無料で参加申し込みが可能です。

・「特別講演/招待講演/イベント企画」のみを聴講・ご覧になる場合 は「イベント企画限定聴講参加」(無料)

・「特別講演/招待講演/イベント企画」に加え「一般セッション/学生セッション」を聴講する場合

※学生は無料ですので、「大会共通聴講参加」でお申し込みください 「大会共通聴講参加」

https://www.ipsj.or.jp/event/taikai/85/participate.html

同日直後のイベントセッションで行われる、各研究会から推薦された選りすぐりの若手研究者が登壇して最先端の研究を5分でわかりやすく発表する「IPSJ-ONE」も是非。

お茶の水女子大学 理学部 准教授

東京大学大学院工学系研究科博士課程修了.博士(工学).日本学術振興会特別研究員PD, RPD(筑波大学), 明治大学総合数理学部 専任講師,専任准教授を経て,現職.未踏ITのPM兼任.専門はヒューマンコンピュータインタラクションおよびコンピュータグラフィックス.子ども向けにITを使ったワークショップを行うなどアウトリーチ活動も行う.著書に「AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55」(河出書房新書),「スマホに振り回される子 スマホを使いこなす子 (ネット社会の子育て)」(ジアース教育新社),「縫うコンピュータグラフィックス」(オーム社)ほか.

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