もっと多くの女子学生がソフトウェア分野に興味を持つためには

マイクロソフト社のホームページにあるこの動画をご存じでしょうか。

この動画は、IT分野やソフトウェア分野における女性が直面している課題をよく表しています。

小学校では75%の女子が科学(Science), テクノロジー(Technology), 工学 (Engineering)、数学(Math)といったSTEMの分野に興味を持っているのに対して、高校生になるとほんの0.4%しかコンピュータサイエンスの道を選ばないと言います。「STEM教育」という言葉が重要視されてきている現代、この問題意識を共有しているIT分野、ソフトウェア分野の方々も増えていることと思います。

アメリカのIT分野の女性リーダーのひとり、ビクトリア A. エスピネル氏の来日にともない、『「女性リーダーに学ぶ」トークイベント』が、3月15日(火)に日本マイクロソフト株式会社とNPO法人CANVASの共催で行われました。

「女性リーダーに学ぶ」トークイベントの様子。
「女性リーダーに学ぶ」トークイベントの様子。

対象は主に学生とのことでしたが、参加者は学生だけでなく、ワークショップ講師やこの分野でリーダーシップを発揮されている方々など多岐に渡りました。私もこのイベントに女性大学教員として参加してきました。

ビクトリア A. エスピネル氏とは

イベントで講演いただいた、ビクトリア A. エスピネル (Victoria A. Espinel)氏とは、BSA | ザ・ソフトウェア・アライアンスのプレジデント兼最高経営責任者(CEO)であり、技術革新、グローバル市場、公共政策が交差する分野において尊敬を集めるオーソリティです。10年以上、米国ホワイトハウスで勤められており、エスピネル氏は、初代知的財産執行調整官(Intellectual Property Enforcement Coordinator)として、極めて重要な知的財産課題についてオバマ大統領に助言するなど、活躍されています。また、ロースクールで教鞭もとっていらっしゃいます。

イベントでは、IT分野やソフトウェアの分野における女性にどのような機会があるのかについてお話してくださいました。

女性がソフトウェア業界に入ることでの恩恵

「もっと多くの女性、女の子がソフトウェアの分野で働いて欲しい。ソフトウェア業界は多くの変化があり、エキサイティングでワクワクする分野である。」とエスピネル氏はおっしゃいます。

そして、「ソフトウェア業界に女性が増えることが重要という理由は2つある。」とおっしゃいました。

1つは、次世代につなぐ人材の問題です。コーディングをしたり、ソフトウェアのエンジニアであったりするような、この分野の人材はまだまだ足りていません。なので、男女問わずもっと若い人材が必要です。グローバルな声、ダイバーシティを重要視するという観点からも、男性だけでなく、女性にももっと関わって欲しい。そうおっしゃっていました。

もう1つは、女性がこの分野にくることで、ソフトウェアはもっと良いものになるとおっしゃいます。「女性はクリエイティブ(創造的)だから、よりイノベイティブ(革新的)、よりセキュア(安全)になる。」と。そもそも人類の半分は女性なのだから、女性が関わっていないと強い業界にならないと強く主張されていました。

STEM分野に女子学生が興味を持つために行われている具体的な策

「ソフトウェア業界ではこのことをすでに意識しており、女性をもっとコードを書く分野に進んでもらうような取り組みをしている。」とおっしゃるエスピネル氏。

エスピネル氏自身も、科学・テクノロジー・工学・数学分野のキャリアを目指す若い女性を支援する「Girls who Code」に創設時から現在まで継続して携わってきていらっしゃいます。

「14~17歳のそれまでコードを書いたこともなかったような子が、7週間でアプリを作ったり、ロボットにダンスをさせたりできるようになった。それだけでなく、『プログラミングは怖いものではない。』と自信をつけることができた。」と言います。

Hour of Code(アワーオブコード)」という小学生から始められる世界的なプログラミング入門教育キャンペーンもあります。1時間から学習できる教材をオンラインで無料提供しており、いつでも誰でも始めることができます。アメリカでは、老若男女を問わず「誰でもプログラミングを学べる」という意識を持たせるのを大きな目標として、『コンピュータサイエンス教育週間(Computer Science Education Week: CSEdWeek)』があり、この期間には、数多くのプログラミングやコンピュータサイエンスに関する無料のワークショップやイベントが行われています。

「大事なことは、すべての生徒にコンピュータサイエンスを学ぶ機会があるべきということ。なぜなら、プログラミングを学ぶことで、問題解決のスキルや、論理的思考、そして創造性の育成に役立つからです。そして、始める年齢は早ければ早いほど良い」とエスピネル氏はおっしゃっていました。

そして、多くのソフトウェア会社が、若い女性にソフトウェア業界に来てもらえるような取り組みをしています。例えば、日本マイクロソフトでは、レゴエデュケーションと『ロボット x クラウド』プログラミング教育カリキュラムの提供で連携したり、Autodeskでは、学生の活動を支援するために、ソフトウェアの無償提供を始めました。

そして、こういった取り組みは、「企業や学校だけでなく、政府に対しても、『若いころからコーディングをする機会を作る』ように働きかけをすることが大事だ」とおっしゃっていました。

ロールモデルがもっと必要

「もっと多くの女性がテクノロジーの分野にいけば、後進が続くはず。ロールモデルがもっと必要なのです。」とエスピネル氏はおっしゃいます。キャリアを考える上でいろいろな意見を耳にすると思いますが、必要のない意見は「シャットアウトすればいい」と。

最後に、女子学生さんへのメッセージとして、

「女性が部屋に2人いれば、3人目を連れてくるのは簡単。3人いれば4人目を連れてくるのはもっと簡単。しかし、1人しかいないと大変。そして、その部屋にたった1人、というのは不安や懸念がたくさんある。しかし、そんな不安や懸念を取っ払って、1人で部屋に入ってみてください。」

と、締めくくられました。

イベントの質疑応答でもたくさんの質問が飛び交いました。また、イベント終了後では、「こんなアイデアがある」、「こんなアイデアはどう思うか」、「起業したいと思うがどうか」、などたくさんの方がご相談に行かれていました。そういった様子にエスピネルさんは、「ぜひその精神を積極的に活かして、その道に進んでみてください」とおっしゃられました。

最近では、子ども向けのプログラミング教育に力を入れる親御さんも増えてきたように思います。ぜひ、老若男女問わず、プログラミングに少しでも興味のある方は、機会を作ってみてはいかがでしょうか。