北朝鮮が新年公演で盛大に「K-POPパクリ」 韓国ネット民「見るなと言うくせに」「訴訟できない~」
北朝鮮が当局の主催する新年公演で盛大に「K-POPパクリ事件」を起こした。
韓国のネット上で話題になった後、韓国の地上波テレビ局MBCなどがこの出来事を報じている。疑いをかけられているのが、平壌で行われた「新年慶祝大公演」で披露された「私達を羨め(ウリルル プロウォハラ)」。
楽曲の内容は「社会主義体制において首領である元帥様に仕えて暮らす我々を羨ましがれ」というものだ。
もともとは青峰(チョンボン)楽団(2015年結成)が歌った有名曲。楽団は金正恩氏が「ひときわ高まる人民の志向と文化情緒的な欲求を深く考慮し、芸術部門の停滞と不振を終わらせる先頭を切る役割を遂行する新しい楽団が必要」として結成された。
2023年の新年公演では新人歌手のチョン・ホンランがこの「私達を羨め(ウリルル プロウォハラ)」を歌った。このなかの特別アレンジと見られるパートが、韓国のある曲のパクリだとされた。
「FINGERTIP」
K-POPガールズグループ「GFRIEND」が2017年に発表した楽曲だ(以下の動画の0分35秒あたりが該当部分)。
韓国内で大ヒットとはいかなかったが、2021年5月に解散するまで超人気グループだった「GFRIEND」の楽曲だけにYouTube再生回数は2860万回を数える。公式楽曲解説は以下のとおりだ。
GFRIEND4作目のミニアルバムのタイトル曲「FINGERTIP」は、GFRIENDのプロデューサーイ・ギョンべの楽曲で、「愛する人の心を操る」という、自然でかつ主体的な少女たちの愛し方を表現した曲だ。ファンキーなディスコジャンルにGFRIENDスタイルのロックサウンドを加味したダンス曲。イントロから始まるヴォコーダーと、リスナーの肩を揺り動かすようなブラスサウンドが印象的で、これまで見せてこなかったGFRIENDの成長と新しい姿を見ることができるだろう。
ちなみにこの「GFRIEND」は、現在はBTSと同系列のレーベル「SOURCE MUSIC」所属だった。宮脇咲良の所属する「ルセラフィム」の先輩格と言える存在だ。
韓国の専門家は「韓国音楽のブームを止められないのでは?」
韓国国内の北朝鮮専門家は、この話題を見逃さなかった。
東亜大(韓国)のカン・ドンウァン教授(政治外交)がYouTubeで丹念な分析を敢行。自ら音楽の専門家に取材を行い、両パートの「音名がほぼ一致」したことにより「パクリ」と断定した。さらに「なんでこんなことが起きたのか」という点について自らの見解を口にする。
(1)北朝鮮でのリメイクブーム
「北朝鮮当局は2020年12月に『反動的思想・文化排撃法』という法を作り韓国から流入する音楽に厳しい統制を行ってきた」
「しかし北朝鮮の住民たちが韓国の音楽にハマる流れは止められない状況。当局もなんとかコントロールは出来ているが、ずっとこれが続けられるとも限らないと見ている証では?」
「2022年9月の建国記念日にすでに韓国スタイルの編曲(R&B風のバラード)を施した楽曲を披露。これに対し金正恩が『歴史的な公演だった。かなりよい編曲があり、画期的な変化だった』と絶賛している。この他新年の公演でも『原曲が何か分からないほどのアレンジ』があった」
(2)韓国の音楽が流行る事情
「当局自らの言う"主体的変化”において、韓国より優れた音楽を作れ、という指示を受けた結果、韓国の音楽要素を採り入れる流れになっているのではないか」
「特に第4世代の北朝鮮住民がK-POPにハマる理由は、北の音楽の大部分が軍歌の形式で『金正恩のために命を懸けよう』という内容であるため。韓国の音楽では愛や人が生きていく姿が描かれている。つまり北では思想だけを歌い、南では愛も歌われているからハマらないわけにはいかない」
”元帥様に仕える誇りを歌う”楽曲に、韓国風の”ファンキーなディスコジャンル”のアレンジ。韓国ではネット民によりこれが発見され、話題になるや各コミュニティ(掲示板)で大盛りあがりだ。
「パクリで訴訟を起こすこともできず…ああ…」
「南朝鮮をチラ見もするなと言っておきながらベタなパクリ?」
などとコメントが書き込まれている。