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解散IZ*ONE 宮脇咲良はなぜ韓国で評価されるのか 「彼女こそ典型的日本美女」説も

IZ*ONE公式サイトよりキャプチャ

「28日の夜12時が過ぎ去りました。PRODUCE48というオーディション放送を通じて結成されたIZ*ONEは2018年10月29日にデビューし、2021年4月28日夜12時に当初の予定通り2年半の活動期間を終え活動を終了します」

宮脇咲良の日本のラジオ番組での言葉を、29日に韓国メディア「newsen」が報じた。期間限定だったグループ「IZ*ONE」の活動終了を宣言したのだ。

4月28日をもって解散した日韓合同K-POPグループでの彼女は韓国でどう評価されてきたのか。

筆者自身、韓国の友人からこういう話を幾度か聞いてきた。

「咲良は、韓国人が想像する日本のかわいい子のイメージにピッタリとハマるんだよね」「初めて見たときには本当に驚いた」

コロナ時代前、韓国に度々渡っていた頃には食事の席でも彼女の話になった。筆者の友人の40代中盤の男性は「書いてもいいけど奥さんにバレると深刻だから、絶対に匿名で頼む」と言いながら、「ランチに弁当を作って渡してくれそうな感じがする」と言った。

2011年からのHKT48、AKB48での活動を経て、2018年に日韓合同オーディション番組「PRODUCE 48」に参加。日本人参加者最高の全体2位の成績でIZ*ONEのメンバー入りを果たした。

韓国で高評価を受ける彼女の人気の背景はどこにあるのか。話を聞いていくと「K-POPグループで活動する日本人メンバーとしては、TWICEのサナと並ぶ人気」との声も出てきた。

(後出のキム・ヨナン氏によると、韓国ではこの動画から人気に火が着いたという)

「彼女のネコ系の顔は魅力的」

90年代から韓国関連の取材を続けてきて、幾度も韓国の男性から聞き続けてきた「日本女性のイメージ」がある。「優しい」「謙虚」だ。強いイメージもある韓国女性とはまた違った魅力がある、と。また近年では、日本の女性を絶賛する際に「まるで日本のアニメから出てきたよう」といった形容も聞く。ふわっと柔らかいイメージだ。

いっぽう伝統的に韓国では「西洋系でホリの深い顔」の人気が高い。濃い、薄いで言えば「濃い」。ミスコリアを見ていても多くがそのイメージに寄せているのがわかる。日本の女優でいえば、韓国でも活動してきた女優の藤井美菜は「ぴったりイメージにハマる」という話を韓国で幾度も聞く。

では、宮脇咲良はどうなのか。彼女は韓国人のイメージする「典型的な日本の美女」なのだろうか。韓国の「スポーツ京郷」芸能担当記者で、日本にも留学経験のあるイ・ユジン記者は言う。

「確かに典型的な日本の美人だ、といえるでしょうね。ネコ系とでもいいましょうか。顔の印象は濃いのですが、顔のパーツがすっきりとしていますよね。外見だけだと近寄りがたいほどの美しさなのに、性格もよく”男前”なところもある。ファンは熱狂するわけですよ」

いっぽうでK-POPファン歴20年、ソウル郊外の出版社代表キム・ヨナンさんは少し違う意見も口にした。

「韓国の男性が考える日本女性のイメージは『可愛らしい』『愛嬌があふれる』『男性を立ててくれる』といったところです。しかし咲良はちょっと違う印象も感じますよね。

『可愛らしい』というのは確か。それでいてステージで気高く、グループを輝かせる強さがある。またそれ以外の気さくさ、努力も知られている。咲良は韓国での評価が本当に高い。他の韓国の事務所に移っても注目を集めるでしょう」

顔のパーツがすっきりとしている点が、日本っぽさ。いっぽうで決して「薄い」系ではない。内面では強さも優しさも併せ持つ。新しい韓国での日本女性像を彼女が生み出している、というところか。

この動画も韓国で人気を集めたという。音楽番組M-net公式アカウントより

弱点もストロングポイントでカバー

一方で韓国での活動では、越えなくてはならない壁もあった。韓国のレベルの高い「パフォーマンス」と「韓国語」だ。

この点、韓国では「努力」と「ストロングポイント」でカバーしている、という印象を植え付けている。

前出のキム・ヨナンさんはこういった印象を口にした。

「歌、ダンスといった実力面の話の以前に経験が多いからか、カメラ目線が卓越している印象。だからステージ上で魅力を発揮することができる」

日本での芸能活動を通じての経験値は他のメンバーよりも豊富。この点を生かした点は、「スポーツ京郷」のイ・ユジン記者も「表現力が豊か」と認めるところだ。

「彼女が出演したバラエティ番組を見ると、確かに『日本での経験のある芸能人』という一面がうかがえます。単独で出演したバラエティ『すべてのキッチン』を見ても韓国語が完璧ではない状況で、他の韓国のパネラーとの関係性が良く、余裕があるからこそ出てくるコメント力が非常に印象的でした」

”ギャップ萌え”でも魅せる

もうひとつ、彼女が韓国で見せ続けてきたストロングポイントは「ギャップ」だ。この点は今回韓国で話を聞いた、コアなファンとメディアの両氏の共通するところだった。

「プデュ48(PRODUCE 48) 初回で見せてくれたステージでは『しっかりしていて度胸もある野心あふれる少女』『冷たい美女』の表情を見せました。パフォーマンスも努力により成長の跡を見せました。いっぽうでステージの外では『弱さ』も見せた。非常にかわいい性格で、ファンたちはそのギャップに相当魅力を感じているようです。だから韓国のファンたちはステージ上の彼女を「宮脇咲良」、ステージの外では「クラ」(愛称)と呼んでいます」(「スポーツ京郷新聞」イ・ユジン記者)

「実力はトップクラスとは言えませんが、デビュー前と比べれば飛躍的に発展しました。その努力は認められるべき部分でしょう。そして美人であり礼儀もあって誠実。またゲームを好み、それを楽しむ姿も韓国の男性のネットユーザーには大きな人気要素です。何よりも韓国でのアイドル活動を愛する印象が感じられ、韓国のポップカルチャーもオタク的に好む。韓国人としては好感を抱くよりほかないですね」(出版社代表で20年来のK-POPファンキム・ヨナン氏)

4月上旬に一度は事務所側から否定された「BTS事務所(Big Hit Entertainment)への移籍説」は、その後大きな続報はない。あるとすれば29日に大手経済紙「毎日経済」系の芸能媒体「スタートトゥデイ」は、「咲良Big Hit行き、チェ・イェナはバラエティ系に? 解散IZ*ONE今後の行き先は?」と見出しを打ったくらい。肝心の内容は「両者は交渉中と伝えられている」と弱めの報道だったのだ。

29日には韓国から日本に帰国。ともにグループで活動した本田仁美、矢吹奈子と韓国の空港から出国する姿は韓国芸能系メディアに大きく報じられた。

そのうち「WIKITREE」は見出しにこんなフレーズを入れた。

「必ず、また来いよ」

(了)

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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