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【K-POP論】”晩夏のLOVELYZ来日”を「ちょっとK-POPに関心あり」の方にお薦めしたい理由

今年8月のソウルでの公演の様子。写真 Woollim Entertainment

K-POPグループのLOVELYZが来日する。9月12日から23日まで、福岡・北九州、大阪、東京でリリースイベントとコンサートを行うのだ。

【おじさんのためのK-POP研究】と銘打ってきた本連載にとっても、大いなる研究対象がやってくる。「どハマりする人はとんでもなくハマる」グループだ。2014年デビューの8人組。ビジュアルはもちろん「オリジナルの音楽観」が特徴。ベイビーソウル、ジエ、ジス、ミジュ、Kei、Jin、スジョン、イェイン。27歳から21歳までのメンバーで構成される。2019年1月以来の来日だ。

写真 Woollim Entertainment
写真 Woollim Entertainment

この機会を通じ、「ちょっとK-POPに関心あり」という方にぜひ現場でK-POPに触れてみることをお薦めしたい。その理由は2つある。

安心してください。「おじさん」も楽しめるコンテンツです

日本でのK-POPガールズグループ会場の楽しみのひとつは、「おじさんと若い女性が同じものを見て、楽しいと思える」ことにある。大げさに言えば、性別間、世代間の融合。だからもちろん、LOVELYZの会場にも女性の熱烈ファンがいる。今年1月の同グループ来日時もリリースイベントに幾度も顔を出していた女性がいた。好きなメンバーのうちわを持ち、涙を流しながら応援する女性ファンの姿も。

いっぽうでLOVEYZのリーダー、ベイビーソウルは言う。「幅広い年齢層の方々が楽しめるグループ」だと。

本稿では、同世代の男性寄りのプレゼンテーションをしてみたい。

LOVELYZというグループ、筆者の周囲を見ても「どハマリする人は徹底的にハマる」という特徴がある。アラフォーの男性では同世代の「好きになりすぎるのが怖いから、見るのを自制している」とすら言う人もいる。筆者自身も「なんだか聞いていて心地よい」と感じる。

写真 Woollim Entertainment
写真 Woollim Entertainment

今年5月に取材した韓国での新曲発表会で、MCはこう言った。

「ポップ、ロック、ジャズ、クラシックといった音楽ジャンルがありますが、私は”LOVELYZ”というジャンルも存在すると思います」

それほどに、オリジナルの音楽性を重要視しているのだ。

これが何なのか。幾度かこの連載でも引用しているが、今年1月に本人たちにインタビューした際、リーダーのベイビーソウルがこんな話をしていた。

(今のK-POPシーンでは)最近のトレンドに乗った楽曲はすごく多いと思います。印象的なパートを繰り返したり、あるいは爽快感を強く強調したり。音楽的な要素が洗練されたものだったり。いっぽう、私達の音楽はデビュー当時から、昔からの感性が込められていますよね。だからこそ、多くの年齢層のファンがいてくださるのかなと思います。そしてただかわいらしいだけ、ということではなく、そこにはかなさも込められている。そういった点も私達だけの特徴ではないかと思います。

つまり、「少し懐かしい感じ」もするのだ。「どこか80年代の日本のアイドルっぽい」という人もいる。だからといってクラシカルということはない。これらを今風のものすごい歌唱力とダンスで表現する。きゃぴきゃぴなのにキレキレ。なかなか見られないものだ。

2017年発表の”Twinkle”。キレキレ感もよく表現されている。

韓国だと、ファンの男性比率がかなり高い。筆者は今年5月の新曲発表会(ショーケース)を韓国で取材したが、かなり驚いた。開演前から男性ファンたちのボルテージは上がりっぱなし。会場で流れた過去のヒット曲と一緒に全員が大合唱。叫ぶような歓声でメンバーを迎えると、童顔で知られるメンバー、ジエが挨拶の際にポツリと呟いた。

「ファンのみなさん……怖いです!」

それくらいすごい熱狂だったということだ。LOVELYZとは、「おじさんのことも考えてくれているグループ」。そういうことが言える。

今回の来日の目玉。最新曲の「Beautiful Days」。過去の恋愛を振り返る、はかない感情を表す楽曲だ。

「ハイブリッド日程」で「まずは軽く眺め、その後じっくり」と!

このLOVELYZ、今回の来日日程がものすごい。その魅力を堪能し尽せるものとなっている。

リリースイベント(リリイベ)+コンサート※のハイブリッド型。

※所属事務所側が「ライブ」ではなく、ややクラシカルな響きの「コンサート」と呼ぶ! 2019年8月にソウルで行った「LOVELYZ ALWAYS 2」の日本バージョン。

これのどこが「ハイブリッド」なのかというと、こういうことが可能なのだ。

まずはリリイベで本人たちを見る→その後コンサートでより深く楽しむ。

重要なことは、リリイベで披露されるミニライブは無料で観られるということ。首都圏、関西圏にお住まいの方は、近くでK-POPアイドルの実物を目にできるのだ。

歌手の場合の「リリースイベント」とは、通常「アルバム発売を記念して、ミニライブや握手会やサイン会などを行うこと」だ。LOVELYZの場合、今回のリリースイベントの正式名称は、「LOVELYZ 6th Mini Album『Once Upon A Time』発売記念リリースイベント」。今年5月に韓国で発売されたミニアルバムを日本でも販売しつつ、イベントをしようというもの。全20回近い公演のうち、多くで2曲前後を披露する。

「リリイベ」公式イメージポスター/LOVELYZ日本ファンクラブ提供
「リリイベ」公式イメージポスター/LOVELYZ日本ファンクラブ提供

この無料ミニライブを見て魅力的だな、と思えばCDなどを購入し(現場で売り切れていなければ)、握手会などに参加できる。まあ初めての場合、ファンの列に並ぶのは少しハードルが高いだろうから、まずは「無料で観られる」という点をやっぱりオススメしたい。

さらに今回はこの後にコンサートで多くの楽曲を聴くことだって可能。「リリイベでチラ見して、コンサートでじっくり鑑賞」が可能なのだ。

今回は、大阪と東京の2ヶ所でこれが楽しめる。ざっくり言うと、12日に福岡・北九州でイベントを行った後からその日程は始まる。

<大阪>

 13日、14日と大阪でリリイベ。

 15日にコンサートを2回公演で行う。

 今年8月のソウルでの同タイトル公演の様子。写真 Woollim Entertainment
 今年8月のソウルでの同タイトル公演の様子。写真 Woollim Entertainment

 16日に再び大阪でリリイベ。

<東京>

 17日からは首都圏に移り、同日に柏でリリイベ。

 19日に赤坂でコンサート(2回公演)。

今年8月のソウルでの同タイトル公演の様子。写真 Woollim Entertainment
今年8月のソウルでの同タイトル公演の様子。写真 Woollim Entertainment

 20日から23日までは再び都内でリリイベ。

「リリイベ」日程詳細。日本ファンクラブより

「コンサート」日程詳細。同。

日程が多様なため、都合に合わせ様々な組み合わせが可能でもある。組み方によっては「先コンサート後リリイベ」も可能。この機会に「K-POPの現場体験」をぜひ! 

コンサートイメージポスター。提供/LOVELYZ日本ファンクラブ
コンサートイメージポスター。提供/LOVELYZ日本ファンクラブ

「本人たちを観た」という余韻を日常へ。YouTubeを通じて。

最終的に何を提唱したいのかと言うと。

来日時に「本人たちを直接観た」というインパクトを自分の脳みそに刻み込む。なんなら握手したり写真を撮ったりして、より深く刻み込む。さらにコンサートを観て、もっと強く、深くインパクトを刻む。余韻を徹底的に楽しむ。こういうスタイルを提唱したい。

その後、日本の日常のなかでYouTubeで彼女たちの動画を鑑賞していく。午前、午後、夜と折に触れて。日々のアクセントにするのだ。テンションを上げたい時はこの曲、落ち着けたい時はこの曲、といったふうに。

2016年発表の「Destiny」。”あなたは私の地球。一日の中心”と一途な愛を歌う。

その際は、「掘り出す」という感覚でやることがお薦め。「LOVELYZ」と英語で打てば、YouTubeの世界から無尽蔵の動画が出てくるからだ。

ここからお気に入りを発掘するのだ。個人的な話で恐縮だが、筆者自身、30代中盤で結婚しそびれて以来この作業を繰り返してきた。すごく楽しい。すごいパフォーマンスを見せる、日本の発想からは想像できないものが次々と出てくことが楽しいのだ。これをいくつかのグループでやっていけば、どんどん世界が広がる。そのきっかけとしても、ぜひLOVELYZを。

さらにもう一つ言いたい。まだまだ、夏の楽しみは残っています! 2019年夏、最後のイベントとしても、ぜひ!

筆者自身「掘り出す」作業をやっていて発見したLOVELYZのドはまり動画。02年の韓国での楽曲のカバー。

代表曲のひとつ「A Choo」を、番組企画でこんなかたちでも披露した。動画タイトルに「レジェンド動画」の表現も。

最後に、メンバー紹介で締めくくります。

写真 Woollim Entertainment
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ベイビーソウル  Baby Soul(本名 イ・スジョン)

LEADER & Main Vocal / 1992.07.06 / Type O

天才。まずリーダーとして頭の回転がとても早い。今年1月にインタビューした際は、こちらが投げた質問に対し「じゃあ、これはジスが答えて」というように、メンバーの中から指名してくれました。また、他のメンバーの話を深める情報をサッと織り込んでくれたりして。まるで「第2司会」。ボーカルの部分でも圧倒的声量から出てくる甘い声で引っ張る。サビの部分でグッと前面に出てきます。ご注目を。

写真 Woollim Entertainment
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ジエ  Yoo Ji-Ae (ユ・ジエ)

SUB VOCAL / 1993.05.21 / Type A

上から2番めの年齢ながら、めちゃ童顔。このギャップにメロメロになります。特徴的な上目づかいの視線がこちらと一瞬でも合ったなら、もうメロメロ。ぜひともサイン会や写真撮影会で直接この体験を!

写真 Woollim Entertainment
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ジス  Seo Ji-Soo(ソ・ジス)

SUB VOCAL, MAIN DANCER / 1994.02.11 / Type O

彼女は常にオモロいことを考えているような気がします。動きが面白い。それでいて時折見せる、グッと引き締まった表情にまたメロメロ。漫画、アニメを始めとした日本文化にも興味津々です。

写真 Woollim Entertainment
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ミジュ  Lee Mi-Joo(イ・ミジュ)

SUB VOCAL, MAIN DANCER / 1994.09.23 / Type O

性格の比喩として、「竹を割ったよう」というのがありますが、女子アイドルながらにこれが似合います。今年1月の来日時には、メンバーの自己紹介で「LOVELYZのお花、ミジュです」と言った。なんと別のメンバー(Kei)のキャッチフレーズを先に言っちゃうといういたずら。ツンツンしているのかと思いきや、取材の合間に「ミジュさん、あのコメントすごくよかったですよ」などと声をかけると素直に嬉しそうな表情をする。本当におもいっきり。結論的にはとてもかわいらしい人です。

写真 Woollim Entertainment
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Kei (ケイ 本名 キム・ジヨン)

MAIN VOCAL / 1995.03.20 / Type O

本当に優しい人。こんなに穏やかで、落ち着いた人がいるんでしょうか。取材の際、スタッフに自分の弁当を少し分けている姿を目にしたことがあります。かと思いきや、ステージではボーカルの軸の一人として堂々と振る舞う。ギャップにまたメロメロ。結局メロメロ。

写真 Woollim Entertainment
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JIN (ジン 本名 パク・ミョンウン)

MAIN VOCAL / 1996.06.12 / Type B

年齢が上のお姉さんたちの個性が強烈。同じく下の妹2人も強烈。彼女を観ていて感じるのは、「真ん中の子が頑張るかわいらしさ」。これがグループの中でじつによく効いている。バランスが保たれていると感じます。今年1月のインタビューの際には、「JINさんにお聞きしましょう」と話を振ると、本当に嬉しそうに答えてくれました。そうでありながら、彼女もまたメインボーカルの一人として重要なパートで前に出てくる。高音ボイスが魅力です。現場では本名の「ミョンウン」と声をかけてもまた、嬉しそうに反応してくれるでしょう。

写真 Woollim Entertainment
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スジョン Ryu Su-Jeong (リュ・スジョン)

LEAD VOCAL / 1997.11.19 / Type B

堂々たるリードボーカル。最近急にグッと大人になりました。ちょっと前まで前髪パッツンの、丸々ほっぺでかわいらしく歌っていたのに、最新曲の「Beautiful days」の公式MVでは大人びた表情でもファンはメロメロに。近頃韓国で発表になった「一緒に映画を観に行きたい女性アイドルランキング」で上位入り。ボーカルで見せる奥深い感性がそう思わせるのでしょう。

写真 Woollim Entertainment
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イェイン  Jeong Ye-In(チョン・イェイン)

SUB VOCAL / 1998.06.04 / Type B

最年少メンバー。多くの楽曲で最初のパートを歌う「トップバッター」の重責を担う。グループ内ナンバーワンの俊足、というのも事実で、韓国のアイドル陸上大会60m走で4大会連続決勝進出の実績も。一方でビジュアル面では「クリーンアップ」。顔立ちは大人っぽいですが、時折幼い表情も見せるため、このギャップにまたしても、どうやったってメロメロになる。

【ご参考までに】

前回来日時の「リリイベ」の様子。筆者による。

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吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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