【コラム】”平成最後のJリーグの週末”幕開けの前に。直前のACLで感じた”新時代の岐路”

アジアチャンピオンズリーグで激しく戦う両国の”ビッグクラブ”浦和と全北の選手。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

この週末に起きる出来事は、あらゆる場所で”平成最後”と形容されるのだろうか。

Jリーグも”平成最後”の開催節を迎える。27日、28日の週末でJ1、J2、J3で全29試合が開催されるのだ。

これに先立ち、今週水曜日(24日)に行われたアジアチャンピオンズリーグ(ACL)を現場で取材した。日韓それぞれ4チームが出場するなか、両国のチームが対戦する”日韓対決シリーズ”だった。全てを取材することは叶わなかったが、24日に鹿嶋で行われた鹿島アントラー慶南FC戦、さらに4月4日には埼玉で行われた浦和レッズー全北現代モータース戦を取材した。

どちらも”いい勝負”はしたが、負けた。

浦和レッズ、鹿島アントラーズがKリーグ勢相手にホームで0-1と敗れる試合を目にすることになった。”平成最後”を前に、感じるところがあった。

Jリーグはこの平成の時代に、超ビッグクラブを作ってこなかった。あるいは作れなかった。

この点については考えてみる必要がある。かつては「バブル」「大物外国人が多く流入」と言われた時代もあったが、結局そういった存在は現れなかった。

なにせ、日本でそういった存在であるべき浦和と鹿島がホームで東アジアの覇権を争うべき韓国のチーム相手に勝てなかったのだ。特に鹿島アントラーズの相手だった慶南は一昨年まで2部にいた。昨年のリーグ戦での躍進で2位に入り、出場権を得たチーム。いくら先に行われたアウェーゲームで3-2の大逆転勝利を挙げたとはいえ、ホームでの失態は看過できない。

鹿島の大岩剛監督。24日の慶南戦の前日には日本メディアから「レギュラーのセンターバックの欠場」についての質問が相次いだ
鹿島の大岩剛監督。24日の慶南戦の前日には日本メディアから「レギュラーのセンターバックの欠場」についての質問が相次いだ

93年(平成5年)のスタート時、バブルの残り香があると思いきや、「Jリーグは社会主義風」と言われたことがあった。突出した「富めるクラブ」をつくらない。テレビの放映権料、グッズ収益をリーグ一括管理にし、分配する方法を取った。クラブ名に企業の名前を入れなかった。そして首都・東京にクラブを置くことを認めなかった。超ビッグクラブとは、作ろうとしてできるものではないかもしれないが、少なくとも「作ろうとしない」時代があったことは確かだ。

25年経ち、最初の10クラブ時代のように”均等に”とはいかない。55もクラブがあると、当然のごとく”格差”は生まれる。サラリーの高いクラブに好選手が集まる傾向がより強まった。資本主義社会では当然の流れでもある。

しかしいっぽうで。25年という時間がありながら「毎年必ず優勝争い」「アジアでも上位常連」は生まれなかった。浦和レッズはそうあるべき格を持つが、なかなか成績が安定しない。鹿島アントラーズは国内の成績では資格十分だが、アジアでの実績がもっと必要だ。

ヨーロッパでも「伝統」とは別に、財力によってビッグクラブの座を手にする傾向が出ている。チェルシーにマンチェスター・シティ。そしてパリ・サンジェルマンはその道中にある。かつては「クラブのステイタスはなかなか動くものではない」と思われたものだが、変化する時代でもある。

韓国では、1994年設立の全北現代が2006年のACL初優勝を皮切りに、親会社からの絶大なサポートを受けられるようになった。今日ではレギュラー格はほぼ韓国代表、外国人選手は東アジア最高クラスというメンバーを揃え、「毎年の優勝争い、ACL上位進出」がノルマと見られている。12年でこのステイタスを確立したのだ。当然、国際競争力の安定性もある。考えさせられるところだ。

全北は今季から、かつてモウリーニョの下でコーチを務めたジョゼ・モライス(ポルトガル)を監督に迎えた
全北は今季から、かつてモウリーニョの下でコーチを務めたジョゼ・モライス(ポルトガル)を監督に迎えた

この”超ビッグクラブ”の存在、確かに功罪はある。4日の浦和ー全北戦では、韓国から取材に来た記者がこんなことを口にしていた。

「韓国はなんたって、全北だけだよ。しっかりと勝てそうなのは」

Kリーグでは2010年代に入って以降、8年で5度優勝した(うち2016年も本来の勝ち点では優勝だったが、Kリーグでの審判買収問題が発覚し勝ち点を剥奪され準優勝)。もちろんすべてのシーズンで優勝争いに絡んでいる。またACLにも2017年大会以外すべてに出場(同年は前出の問題のためAFCから出場停止処分が下された)。この大会では2012年以外すべてで決勝トーナメントに出場している。

もちろん、一極集中は優勝への興味を削ぐ。しかしいっぽうで、実績も風格もある「横綱」がホームにやってくると大きな盛り上がりを見せる。そうやってリーグ全体の興味をリードしていくのだ。わかりやすく言えば「昭和の読売巨人軍」。

リーグ全体のステイタスを上げ、結果強いクラブが多くなることが理想だろう。Jリーグもその点を目指しているように感じる。しかし世界でこれに成功しているのは、イングランド・プレミアリーグくらいではないか? 先日、ヨーロッパチャンピオンズリーグでトッテナムが自国の強大クラブマンチェスター・シティーを下してみせた。他の欧州5大リーグとて、超ビッグクラブがリードする状況ではないか。

Jリーグでもそうやって戦い、「横綱」に似た役回りを演じる存在が出てくるか。はたまた群雄割拠こそがJリーグのスタイルか。変わるのか、貫くのか。新時代の大いなる課題だ。平成最後のJリーグ開催日に、ちょっとした別の視点を。

本稿写真 筆者撮影。