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夏の甲子園! 大阪桐蔭Vなら3度目の春夏、智弁和歌山なら7校目の夏連覇

楊順行スポーツライター
昨夏優勝の智弁和歌山。コロナ禍での開催を考慮して、マウンドでの歓喜の輪は控えた(写真:アフロ)

 8月6日、甲子園で開幕予定の第104回全国高校野球選手権の組み合わせが決まった。49チーム中14チームに優勝経験があるという、豪華な顔ぶれとなった。

 ダントツの優勝候補は、なんといってもセンバツで優勝した大阪桐蔭。もし春夏連覇を達成すれば、破天荒な3度目の偉業となる。前年夏に優勝し、史上7校目の夏連覇を目ざす智弁和歌山は第8日第3試合と、不利といわれる49番目のしんがり登場だが、実は昨夏も、初戦の対戦相手がコロナ禍で辞退したため、実質の出番はしんがりだった。

 抽選では、ベスト8までの組み合わせが決まるが、死のゾーンと噂なのが第3日第3試合からの8チーム。敦賀気比、興南、横浜、日大三、三重と、全国制覇経験組5校が集中しているのだ。ベスト8進出は、そこからわずか1校……。

 独断で8強の顔ぶれを予想すると、決定順から仙台育英/高松商/京都国際/天理/下関国際/智弁和歌山/横浜/大阪桐蔭あたりかなぁ……。

 ちなみに大阪桐蔭は春夏、智弁和歌山は夏連覇に挑むが、センバツと夏の甲子園で、どちらかの大会を2年続けて優勝するのが春連覇、夏連覇。同一年に春と夏を優勝するのが春夏連覇で、夏と翌年の春を優勝すれば夏春連覇だ。

 過去に達成された回数を目安にすると、新年度でチームがまるっきり入れ替わる春連覇の難易度が高いか。夏春連覇も似たような事情だが、年度は替わるにしても、達成チームには夏優勝の主力がそのまま残ったケースが多い。

過去の各連覇達成例

■夏連覇

1921〜22年 和歌山中(現桐蔭)

1929〜30年 広島商

1931〜33年 中京商(現中京大中京・愛知)※3連覇

1939〜40年 海草中(現向陽、和歌山)

1947〜48年 小倉中・小倉(福岡)

2004〜05年 駒大苫小牧(南北海道)

■春連覇

1929〜30年 第一神港商(現神港橘・兵庫)

1981〜82年 PL学園(大阪)

2017〜18年 大阪桐蔭

■夏春連覇

1930〜31年 広島商

1937〜38年 中京商

1960〜61年 法政二(神奈川)

1982〜83年 池田(徳島)

■春夏連覇

1962年 作新学院(栃木)

1966年 中京商

1979年 箕島(和歌山)

1987年 PL学園(大阪)

1998年 横浜(神奈川)

2010年 興南(沖縄)

2012年 大阪桐蔭

2018年 大阪桐蔭

 根尾昂(現中日)らがいた大阪桐蔭は、史上初の同一校による2度目の春夏連覇を達成したわけだが、それから間もないのに、今度は3度目の挑戦権を手にしているとは……。

 また、こちらも史上唯一なのが、上でもふれている1931〜33年、中京商の夏3連覇だ。惜しいケースはある。和歌山中は連覇後の23年、決勝で敗退。49年の小倉北(小倉から一時改称)は準々決勝で敗れ、06年の駒大苫小牧も決勝引き分けと3連覇寸前まで手が届きながら、再試合で敗れている。

 いまだに達成されていないのが春夏春、あるいは夏春夏という3季連続優勝だ。社会人野球なら2012〜13年のJX-ENEOS(現ENEOS)が、都市対抗〜日本選手権〜都市対抗という、夏秋夏の3連覇を達成している。社会人チームの場合、引退はあるにしても、主力選手の"卒業"が少ないからね。

 高校野球ではそもそも、3季連続で出場すること自体が大変で、春夏連覇のあと翌年センバツに出場したのは99年の横浜と13年の大阪桐蔭があるが、横浜は初戦敗退、大阪桐蔭は3回戦で敗れた。また、「夏春夏」に挑戦したのも過去わずか2校。61年の法政二と83年の池田で、ともに準決勝まで進んだから惜しかった。

 ちなみに大阪桐蔭は、昨年秋の神宮大会を制している。神宮大会が現行のような日本一決定戦になったのは97年あたりで、「秋春」連覇は3校目のことだ。大阪桐蔭がさらに夏も優勝すると、松坂世代の横浜以来、史上2校目の「秋春夏」制覇となるが、果たして……。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は63回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて54季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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