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高校野球・神宮大会は札幌大谷が優勝。ベスト9を私的に選んでみた

楊順行スポーツライター
松井秀喜のいた1991年以来の優勝を目ざした星稜は準優勝(写真:山田真市/アフロ)

投手は奥川で文句なし

【投手】奥川恭伸(星稜)

これは文句なし。春夏の甲子園を経験し、世代ナンバーワンの呼び声高い右腕は、神宮大会3試合、15回3分の1を投げて奪った三振が26、自責0で防御率は0・00だ。最速150キロのストレートはもちろん、変化球のキレ、精度とも抜群で、広陵戦では139キロのフォークで奪ったものなど、7回11三振を記録した。敗れた広陵・中井哲之監督の言葉がいい。「ウチの選手が見たこともない球。われわれの時代なら、まっすぐが130キロ台でも好投手ですよ。それが、フォークで130何キロ……(笑)」

【捕手】飯田柊哉(札幌大谷)

エースの西原健太ら、登板した4投手を巧みにリードしたキャプテン。筑陽学園との準決勝では、最速120キロ台の右横手投げ・太田流星の緩急をうまく使い、8回まで無安打。星稜との決勝は、西原の直球を生かして1安打完投を導いた。

【一塁手】立岩知樹(高松商)

八戸学院光星戦では9回、相手を突き放す3ランを右翼へ。四番に抜擢されたのは県大会の途中からで、「9回のあの場面は、代打のつもりが目を見たら行けそうな感じで(笑)。つまってもええから、逆方向へと指示したら、そのとおり。よく飛びました」(長尾健司監督)。これが、公式戦初ホームラン。ただし、守備には目をつぶるそうだ。

【二塁手】蒲萢大司(札幌大谷)

深い守備位置で堅守を見せる、札幌大谷の守備の要。冷静な守備で何度もピンチを救い、打っても15打数8安打と好調だった。

【三塁手】北本壮一朗(札幌大谷)

本来遊撃手だが、北海道大会で脱臼して出場が微妙で二ケタ背番号だったため、三塁にさせてもらった。一番として、国士舘戦は5打席全出塁。星稜との決勝では、7回2死二、三塁から逆転タイムリーを放ったが、マウンド上は奥川ではなく、「世代ナンバーワンの球を見てみたかった」。

武岡は坂本2世になれるか

【遊撃手】武岡龍世(八戸学院光星)

2試合で10打数4安打、1本塁打の斬り込み隊長。県外出身者が多いチームだが、野球部史上初の徳島県出身だ。「四国初だと思います。(OBの)坂本勇人選手みたいになりたいと思って光星にきました」。1年春から先発出場し、この夏の甲子園では、明石商との初戦で2安打2打点。巧みなバットコントロールと俊足が持ち味だ。

【外野手】福岡大真(筑陽学園)

1994年夏の甲子園の準優勝投手、樟南・福岡真一郎さんのジュニア。桐蔭学園戦では右翼へのホームランなど、3安打でコールド勝ちに貢献した。真一郎さんは現在、同校のトレーナーを務めている。また1年生ながら一番を打つ中村敢晴遊撃手は、92年夏の甲子園優勝の西日本短大付でキャプテンを務めていた、中村壽博・現日本文理大監督のジュニア。送球ミスが目立ったが、こちらも将来に期待だ。

石鳥 亮(札幌大谷)

国士舘戦で二塁打2本含む3安打、筑陽学園戦でも2安打した好打者。ただし決勝では救援した奥川から三振を喫し、「あんなスライダーは初めて。甲子園でやり返したい」。

東海林航介(星稜)

夏の甲子園でも2試合に3安打。守備範囲の広いセンターで、高松商戦ではライトに一発も放っている。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は63回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて54季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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