4月27日に北朝鮮空爆? 日本人ブロガー記事を韓国メディアが名指し批判

北朝鮮の最高指導者である金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長(写真:ロイター/アフロ)

「米軍が北朝鮮を攻撃するなら(略)4月下旬の新月(月齢0)の2017年4月27日の可能性が高い」(原文ママ)ー こう記した日本人個人ブロガーの記事を、韓国のマスコミが取り上げ、「フェイクニュース」だと名指しで批判する騒ぎになっている。

スクープで名高いテレビ局が「フェイクニュース」と名指し批判

日本人ブロガーの記事を取り上げたのは、韓国大手ケーブルテレビ局JTBCだ。JTBCは韓国大手紙のひとつ「中央日報」の系列テレビ局であり、朴槿恵前大統領弾劾のきっかけである「崔順実(チェ・スンシル)事件」追及の発端となったスクープの発信源でもある。

そのJTBCは11日、「『4.27北爆説』を追跡した結果、日本人の一個人ブログから拡散したフェイクニュースだと判明した」との趣旨の報道を行った(リンク先は韓国語)。「4.27北爆説」とは、つまり今月27日にアメリカ軍が北朝鮮を空爆する可能性が高い、とする説だ。

今月に入ってから、トランプ政権によるシリア政府軍側へのミサイル攻撃などにより「近日中にアメリカ軍が北朝鮮に対して武力行使するのではないか」といった憶測が広がり、日本でも警戒されている。韓国では大統領選挙の真っ只中であり、北朝鮮問題の扱いが相対的に大きいとは言えないが、一方で上記の「4.27北爆説」のような、近いうちにアメリカ軍が北朝鮮を攻撃するとの趣旨の噂が急速に広がった。「4.27」の他にも、日付までは特定しないまでも類似の様々な噂がSNSで広がっていることから、韓国外交部(外務省に相当)の報道官が「(噂には)根拠がない」「アメリカが問題の直接的な当事者である韓国との協議なくして新たな政策や措置を採らないことを明言している」(朝鮮日報報道)と否定する事態に至っている。

そんな中で「4.27北爆説」は、実は日本人の個人ブロガーが起点だったということが話題になっているのだ。

「4.27北爆説」に言及した当該ブロガーの記事は、先月15日と27日に公開されているが、このうちより詳しく言及している27日の記事のポイントは下記の通りだ。

・3月に実施された米韓合同軍事演習で北朝鮮に対する攻撃の準備が一つ整った。

・朝鮮半島周辺には米軍兵力が過去最大級の規模で集結しつつある。

・トランプ政権は北朝鮮が核弾頭搭載ICBMの開発に成功したら100%空爆する。

・現在の空爆可能性は20~30%だが、核実験成功後は30~50%に跳ね上がる。

・THAAD(高高度防衛ミサイル)の韓国への配備は4月中旬~下旬に完了するとされる。これで米軍の北朝鮮攻撃態勢が完全に整う。

Japan-biz.com「米軍、朝鮮半島周辺に過去最高レベルの軍事力を集結。空爆の確率は20%~30%」より要約

このブロガーは、上記のような「現状分析」や推測に加え、「湾岸戦争は新月に米英軍艦船から巡航ミサイルを発射して始まった」(15日の記事より)ことを根拠に、「4月27日にアメリカは北朝鮮を空爆する可能性が高い」とする記事を公開している。

JTBCはこうした記事について、ブロガーにtwitterでサイトの趣旨を確認するとともに記事の根拠を尋ねる内容の質問を送った(当該ツイートは本記事の初稿公開後、アカウントごと削除されたようだ)。これに対して、ブロガー側は反論記事を公開し、あくまで「個人ブログ」であること、米軍・自衛隊関係者との接触はないこと、公表されている情報や「新月」という自然条件から4月27日の攻撃の可能性が高いと分析したことなどを主張した。

一方のJTBC側は11日の報道で、こうした反論や他の日台メディアの報道の紹介も交えつつ「つまりはフェイクニュースだった」と断定した。こうした状況からか、ブロガー側はその後の記事で当該記事について「一時非表示にする」と表明している。

今回やり玉に上がったブログ記事は、米韓合同軍事演習の作戦名を「キー・リゾブル」と誤記し続けている(リゾブルではなくリゾルブ ”resolve” である)ほか、THAADの「攻撃」能力に対する認識の誤りがある、更には20%・30%・100%などと根拠不明な「確率」なる数値の表現が散見される等「報道記事」や「ニュース」としての水準に達しているものとは言えない。

しかし、一個人ブロガーのブログ記事として見れば、こうした記事は全く珍しいタイプのものとは言えず、世間一般にはより事実誤認や誇張の度合いの大きな記事も多く見られるのが実態だ。

それでも、韓国大手メディアの一角を占めるJTBCがあえて日本の個人ブログをフェイクニュースの発信源だと名指しした背景には、緊張の度合いが高まる北朝鮮情勢を巡って「噂」が社会不安につながりかねないという問題意識があるようだ。