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「学習の4段階」とは? 組織マネジャーが理解すべき用語解説

横山信弘経営コラムニスト
(提供:shutterstock)

■どんなときに頑張らせて、どんなときに頑張らせないのか?

おそらく、部下を成長させるうえで最もマネジャーが気になるのは、どんなときに頑張らせて、どんなときに頑張らせない(力を抜かせる)か、ではないか。

肩に力が入っていると、自分のポテンシャルを活かせなくなる。緊張せず、リラックスすることで、本領発揮できるようになるものだ。

しかしその考えが通用するのは、相手がベテランのときだ。すでに実力がある人ならいいが、経験の浅い若者だったら

「頑張らなくていいから」

「自分のペースでやっていけばいいよ」

等と言っていたら、どうか。いつまで経っても成長しないだろう。成長の実感を覚えられなければ、仕事に対する熱意ややる気は削がれていく。

■「学習の4段階」とは何か? 用語解説

有名な「学習の4段階」に照らし合わせて考えてみよう。

【学習の4段階】

①無意識的無能(知らないからできない)

②意識的無能(わかっているけどできない)

③意識的有能(意識するときだけできる)

④無意識的有能(意識しなくてもできる)

一つ一つ解説していこう。

まず、「無意識的無能」とは「知らないからできない」という状態である。車の運転にたとえると、運転方法を知らないから運転できない、ということだ。

2番目の「意識的無能」は、「知っているのにできない」という状態である。車の運転にたとえると、運転方法は学んだけれども実際の運転はわからない状態のこと。

3番目の「意識的有能」とは、「意識しているときはできる」という状態を指す。トレーニングを繰り返し、身体に覚え込ませている最中のことである。教習所で何度も運転の練習をすると、意識すればなんとか運転できる状態になるだろう。

ただし「意識的有能」状態のときは肩に力が入り、常に緊張する。まだ慣れていないから、それなりのストレスがかかるものだ。この状態のときが一番大切で、しっかりと状態を見える化し、マネジメント対象とすることが大事だ。

最後に 4番目の「無意識的有能」だ。これは無意識でも、できてしまう状態のことだ。「できる」のではなく、「できてしまう」状態だ。

ストレスは一切なし。モチベーションなどまったく関係がなくできる。なぜなら、それをすることが「あたりまえ」になっているからだ。いわゆる「習慣化」した状態のことである。

この状態になれば、頑張らなくてもよくなる。なので、マネジメント対象から外す。無理をさせないようにする、ということだ。

車の運転で表現すればわかりやすいだろう。運転に慣れている人であれば、頑張らなくても運転できる。運転の細かい所作を意識しなくても、運転して目的地に到着することができる。

もう頑張る必要はない。力を抜いて運転すべきだ。

このように部下を成長させる際、真っ先にやらなければならないのが、どんな行動を「無意識的有能」の状態にするか、である。これさえハッキリさせれば、部下を成長させるマネジメントは、もう理解したようなものだ。

■頑張らせるポイントを「学習の4段階」で解説

学習の4段階で分解し、どこで頑張らせて、どこで頑張らせないか。それを観ていこう。

①無意識的無能(知らないからできない) → 頑張らせる

②意識的無能(わかっているけどできない) → 頑張らせる

③意識的有能(意識するときだけできる) → 頑張らせる

④無意識的有能(意識しなくてもできる) → 頑張らせない

「無意識的無能(知らないからできない)」のときは、しっかりと知識を習得するように「頑張らせる」べきである。

主体性に任せてはいけない。知らないことはやりようがないからだ。一度知ったとしても、忘れてしまっては意識しようがない。

覚えているかどうか。常に確認しよう。

次の意識的無能(わかっているけどできない)のときも、当然「頑張らせる」。

慣れないことをやるのはストレスがかかる。しかし、それ以上に大変なのは、その行動(トレーニング)をやり続けることだ。

意識的有能の状態になっても、まだまだ頑張らせよう。無意識的有能(習慣化)になるまでずっと「頑張る」が続くのはキツイかもしれない。しかし、この状態を抜けだせば、ストレスフリーで継続できるようになる。だからマネジャーは一緒に伴走するのだ。

もちろん、ただやり続けるだけで成長することはない。必ずそのプロセスにおいて創意工夫が必要だ。

しかしまだその行動に「慣れていない」「体が覚えていない」状態で頭を使おうとしても、うまくできないものだ。行動に意識が向いている以上、考えることに意識を向けられないからだ。

<参考記事>

【スライド11枚】成果・成長・成功に導くマネジメントの「メリハリ」(前編)8500字

<参考図解>

学習の4段階とマネジャーの役割

<参考動画>

■「絶対達成マインドのつくり方」学習の4段階をご説明

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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