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部下に「ChatGPT」を勧めたらとんでもない事態に! AIの普及で「上司要らず」の世界が加速する?

横山信弘経営コラムニスト
(提供:shutterstock)

「なぜ私じゃなく、ChatGPTに心を開くんだ……!」

「ChatGPTを使えと、勧めるんじゃなかった」

部下に心を開いてもらえない上司が、こう悔しがる。そんなシーンが、今後は増えていくかもしれない。

AIチャットボットの「ChatGPT」が現れたことで、これまでよりも部下たちは自分の思考や気持ちを打ち明けるのに、上司よりも「ChatGPT」を頼るようになるかもしれない。

AIに対して効果的な質問を繰り返し、自己分析をすることで、自分の役割や目標を明確にして、仕事で成果を出すようになる。

そんな「上司要らず」の世界が、もうすぐそこまで、来ているかもしれない。

それにしても上司との「1on1ミーティング」では心を開かない部下が、なぜ「ChatGPT」には積極的に心を開くのか? 

今回は、「ChatGPT」がコーチング的な役割を担ってくれる条件や、どのような質問を投げかけることでその役割を果たすことができるか? 実際の「ChatGPT」の画面を使いながら解説していく。

最後まで読むことで、「ChatGPT」の可能性や、上司が今後どういうスキルや考え方を身につけるべきかも深く理解できるようになる。ぜひ最後まで読んでいただきたい。

■実際の「ChatGPT」の画面を使いながら解説!

それでは、私自身が(架空の)部下になり切って「ChatGPT」に相談してみた。ここから細かく見ていこう。相談の仕方は簡単だ。

・自分が何を望んでいるのか?

・その望みを叶えるためにどんな質問をしてほしいのか?

それらを「ChatGPT」に伝えればいい。ポイントは、

「質問を1つずつしてください」

とお願いすることだ。そうでないと、一度にたくさんの質問をされて、質問に答える気がなくなってくる(私だけかもしれないが)。では、実際の画面を見てもらおう。

「営業目標を達成させるための効果的な質問をしてほしい」

このような、とても抽象的な質問をしてもらうことにした。すると、期待通り1つずつ質問をしてもらえたので、それに、当たり障りのない返答を続けていく。

(ChatGPTの画面より、筆者作成)
(ChatGPTの画面より、筆者作成)

最初のうち、「ChatGPT」は抽象的な質問をしてくるので、私も同様に抽象的な答えを返していた。このまま続けていると、堂々巡りを繰り返す気がしたが、かまわず続けてみた。

「ChatGPT」がいいのは、曖昧な答えを繰り返す私に、イラつくこともなく、淡々と質問を繰り返してくれることだ。

実際の上司なら、はやく期待通りの答えをしてもらいたくてティーチングのモードに入るか、誘導質問をしてくるかもしれない。

しかし、のらりくらりと曖昧な答えを繰り返していても、以下のような質問をされたら、自然にスイッチが入った。

「お客様のメリットや利益は?」

「お客様が重視するポイントは?」

核心に迫るような質問を「ChatGPT」にされた時だ。突如として、深く考えるようになったのだ。

そして深く考えることで、大きな気付きが得られ、答えも具体化されていく。ふだんは意識していない、本質的な事柄にたどり着くことができた。

※できれば質問は1つずつにして欲しかったが。

自分の具体的な考えを返すと、さらに「ChatGPT」が深掘りをはじめる。「ChatGPT」も、ここを探求すべきだと察知したのだろう。

「お客様が直面している課題は?」

「お客様の業界動向は把握しているか?」

よくある質問だが、とても重要な質問だ。すぐに答えられず、しばらく考え、苦し紛れに一般的な課題を書いてみた。業界動向は把握不足と素直に返した。

たったこれだけでも、大きな気付きが得られた。

ここが勘所だと「ChatGPT」は確信したのだろう。どんどん深掘りしてくる。お客様はどのような具体的な取り組みをし、取扱商品は、その課題解決にどう寄与するのか等、ビシバシ質問してくる。

ここまでに12個ぐらい質問されているが、それに答えるために、かなり考えさせられた。おかげで脳に汗をかいた。はたして自分の上司はここまで根気よく「当たり障りのない質問」を続けられるだろうか。

おそらく上司は、過去の経験、実績からして、答えを持っている。だから部下に対し、その答えを言ってくれるように誘導したくなるはずだ。

上司が完全ニュートラルの意識状態で、部下に質問をすることができればいいが、そこまでのレベルに達するまでには、相当なトレーニングが必要だろう。質問力はそう簡単に身につかないものだからだ。

いっぽう「ChatGPT」はストップと言うまで完全ニュートラル状態で、質問を続けてくれる。しかも「当たり障りのない質問」を、である。

このように同じような質問を、別の角度からも、ぐいぐい質問してくるようになった。その商品を導入することでどんなメリットがあるか? 具体的に説明できるか? 具体的なメリットは? 具体的なアピールポイントは? 

いろいろな視点で、当社の商品、お客様の課題を掘り下げようと質問してくるので、頭が整理され、忘れかけていたことを思い出させてくれる。

さすがに15個近くの質問に答えていると疲れてきた。なので、そろそろ終わりたいと思い、商品のアピールポイントを整理してほしいと頼んだところ、想像以上にわかりやすい商品説明の文章を作ってくれた。

ここまでに要した時間は、だいたい15分程度である。

■コーチング対象となるクライアント2つの条件

この商品説明文を使うかどうかは別にして、「ChatGPT」とのやり取りで、素直に思わされたことがある。

自分自身の目標を達成させるために足りないことは、何なのか? もっと謙虚に日ごろからお客様に関心を持ち、情報収集したり、ヒアリングしなければならない。素直にそう思わされたのである。

コーチングは「知識」と「行動」を繋ぐ架け橋、と言われている。

自分が知らないことを「ChatGPT」に質問し、答えてもらうのもいい。だが、そんな使い方よりも、自分が知っていて「ChatGPT」が知らないことを自分に質問してもらうことのほうが、はるかに価値が高い。

わかってはいるけれど、なかなか行動ができない……この状態から脱却できるからだ。

コーチング対象となるクライアントは、条件があって、

・目標達成意欲が高い

・業務遂行能力が高い

この2つである。だから意欲も能力も高く、自分を誰かにコーチングしてもらいたい、マネジメントしてほしいと思っている方は、「ChatGPT」などのAIチャットボットに頼ってみればいい。

上司の前では素直になれない。心が開けなくても、意外と「ChatGPT」の前ではオープンになることは可能だ。時と場所も選ばなくていい。それに、

「今のはなし。忘れてください」

「もう少し優しく質問してもらえませんか」

「こっちの視点からも質問してください」

などと、注文をつけることもできる。上司はもちろんのこと、有料契約しているビジネスコーチには、なかなかできないことだ。

だから、部下が心を開いてくれなかったら、その上司も「ChatGPT」に聞いてみたらいいのである。

「あなたは有能なコーチです。部下が私に心を開いてくれません。部下が心を開くために、私はどうしたらいいのか。そのアイデアを発見できるための、効果的な質問を私に1つずつしてください」

このように頼むのだ。

一回では見つからなくとも、何度でも繰り返していると、必ず発見するはずだ。なぜなら、答えは自分の中にあるのだから。「ChatGPT」の中に、答えなどない。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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