Yahoo!ニュース

なぜ「パソコンでメモ」をしていると頭が悪くなるのか?

横山信弘経営コラムニスト
(提供:イメージマート)

「どうして社長はパソコンでメモをとらないんですか?」

あるIT企業のクライアントと打合せしていたときのこと。目の前に座っている社長がA4サイズのノートにメモをとっていた。

社長の両隣にいる部長は2人ともパソコンを使ってメモをとっているにもかかわらず、である。

すると社長は、私の質問に

「よくぞ聞いてくれました」

と答えた。予想通りの反応だった。

「パソコンでメモをとっていると、本質を見抜く力がつかないからです」

両隣の部長はバツが悪そうな表情をし、同時にパソコンを閉じた。

「なぜ本質を見抜けなくなるのでしょうか?」

「パソコンでメモをすると、聞いたことすべて記録したくなります」

「ええ、そうですね」

「それだと、相手が話している内容のどこが論点なのか、それを探すことができなくなるんです」

まだ20代の社長がアナログ派で、両隣にいる40代の部長がデジタル派なのが面白い。そう思った。

「IT企業の社長仲間は多いですが、だいたい紙のノートやメモ帳を使ってますね」

「私も紙派です」

「存じ上げてます。横山さんは、いつもロディアを使ってますよね」

それからこの社長とは、どんなノートがいいか。ペンは何を使うべきかで話が弾んだ。シチュエーションによってメモをとるノートを変える話はとても興味深かった。

パソコンを使ってメモをとる人の気持ちはわかる。社長が話したとおり、パソコンでメモをとると【10】聞いて【10】メモできる。聞いたことをすべて記録できるのだ。

しかし、これが大きな落とし穴だ。

紙でメモをとると【10】聞いても【2~3】しかメモができないが、だからこそ相手が話している内容の論点、本質はどこにあるのか。頭がフル回転する。

それによって脳に負荷はかかるが、その分思考が鍛えられる。稲盛和夫氏が語ったとおり、「賢いヤツほど複雑なことを単純に考える」ものだ。

複雑なことを単純に捉える訓練のためにも、紙のノートにメモをとるほうがいい。パソコンでメモをとるよりも。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

横山塾~「絶対達成」の思考と戦略レポ~

税込330円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

累計40万部を超える著書「絶対達成シリーズ」。経営者、管理者が4万人以上購読する「メルマガ草創花伝」。6年で1000回を超える講演活動など、強い発信力を誇る「絶対達成させるコンサルタント」が、時代の潮流をとらえながら、ビジネスで結果を出す戦略と思考をお伝えします。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

横山信弘の最近の記事