40歳を過ぎても「先延ばしのクセ」が治らない人の処方箋
■「先延ばしのクセ」は虫歯と同じ
わかっちゃいるけれど、なかなかできない。すぐにやればいいのに、先延ばしにしてしまう。そんなこと、誰にでもある。仕事上においても、日常生活においても、今すぐやっておけば気持ちが楽になるのに、ついつい先延ばしにしてしまうこと……。もちろん、私にもあるし、これを読んでいるあなたもよくあるのではないか。
放置しておけば、虫歯のようにドンドン悪化してしまう厄介な悪癖だ。だから、効き目の高い処方箋を欲しがる人も多いことだろう。
世の中には、先延ばし、先送りをなくすための、いろいろなノウハウ、テクニック、ツールが存在する。タスク管理システム、TODOリスト、手帳術、ノート術、メモ術……。多種多様な方法論やツールがこれまでに開発されている。しかしどんな方法論であろうと、それだけで自動的に先延ばしのクセがなくなるわけではない。
特に40歳を超えたら、方法論やツールを変えたからといっても効き目はない。
脳の思考プログラムは、過去の体験の「インパクト×回数」でできている。過去に繰り返し繰り返し先延ばしをしてきた歴史がある場合、思考プログラムを書き換えない限りは、容易にこの悪癖を乗り越えることはできない。
だからこういう場合は「精神論」が不可欠だ。
先延ばしをしないようにしたいという「気持ち」がなければ、先延ばしのクセをなくすことはできないのだ。
■「やる気」で先延ばしはなくならない
精神論が必要なら、やはり「やる気」が必要か、と思う人も多いだろう。しかし「やる気」というのは、どうとでも受け取れる言葉だ。分解すると「やる」と「気」。つまり「やる気」とは「やる気持ち」。結局はどういう、やる「気持ち」なのかが問われてしまう。
だからハッキリと示しておきたい。これまでの経験上、私がお勧めする、やる「気持ち」は【自分に勝つ気持ち】と言えばいいか。
やらなければならない、やったほうがいいタスクが目の前にある、そのタスクの処理方法もわかっている、効果的に処理するためのツールも整備されている、その状態でもやらない、やることができない、というのであれば、完全に自分の負け。
もうすでに40歳も過ぎた。ビジネスパーソンとしては働き盛りで、周囲からの期待も大きくかけられる。モチベーションも内的動機付けも関係がない。それなのにやらないのだ。そう受け止めたら、途方もない敗北感を覚えるだろう。
■最も効果的な処方箋とは?
あとは「やるだけ」「手を動かすだけ」「足を動かすだけ」。それなのに、やることができないのであれば、「自分に負けた感」をしっかりと覚えよう。こんなことさえもできない自分なんて何の価値もない、存在する意味もないとキチンと受け止めるのだ。
逃げてはならない。
そうすれば、やるべきことをやった後は「自分に勝った感」を覚えられるはずだ。先延ばしのクセをなくし、やるべきタスクを処理するのにはゲーム感覚でやる。タスク処理ひとつひとつに「勝った/負けた」を明確につけるのである。
社会に出て20年近くも経って、「どうすれば先送りのクセが治るのか」などと悩む必要はない。もうすでに知っているはずだ。目を背けてはならない。自分に勝とうとする気持ち、それこそが、最も効き目のある処方箋なのである。