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【仕切る技術】今こそ身につけたい「ファシリテーションスキル」2つのポイント

横山信弘経営コラムニスト
生産性の高い話し合いをしたい(写真:アフロ)

■ ファシリテーションとは?

私は企業の現場に入って目標を「絶対達成」させるコンサルタントである。

クライアント企業の現場に入り、経営目標を達成させるうえで、どんなことが問題で、どんなことをやるべきか。議論するために、経営幹部、ミドルマネジャーたちとの会議を仕切ることも多い。

このとき、つまり「仕切る」ときに使われるのが「ファシリテーション」という技術だ。会議やディスカッションの場で、参加者の意見をスムーズに引き出し、正しい意思決定を促すテクニックのことだ。ただ、正直なところ、この「ファシリテーション」ができる人は、そう多くない。コンサルタントであってもそうだ。

そこで今回は、このファシリテーションについて、簡単に解説したい。

■ ファシリテーターの役割

さっそく、ファシリテーションに必要なポイントを解説していこう。ポイントは以下の2つ。

1)場の「空気」を作る

2)話を噛み合わせる

ファシリテーターは場を仕切る役割を担う。だから、「この場を仕切るのは私だ。だからまず、私の言うことを聞かなければならない」という空気を作りだすことが肝心だ。

しかし、この最も大事なポイントが、最も難しいのである。

「ちょっとみんな聞いて。Aさんが抱えてる職場の問題についてどう思う? それぞれ意見とか出し合おうよ」

友人が集まり、ワイワイガヤガヤ話をしているとき、突然このような発言があったとしよう。

そのとき、この言い出しっぺは「Aさんが職場で問題を抱えてるなら、みんなで解決策を考えてやろう」という空気にしなければならない。

そこにいる人たち全員が発言者に注目し、姿勢を正すような雰囲気にさせること。発言者の話を聞かず、スマホの画面を見続けていたりする人がいたら、「ちゃんと話を聞こうよ」と誰かが言ってくれる。そんな「締まった空気」が流れはじめることが大事だ。

ところが前述した発言をしたにもかかわらず、

「おいおい、どうした。なんで勝手に仕切ってんの!」

「私たちが解決策を出したところで、本当にAさんの職場の問題が解決するわけ?」

「お堅い話はやめて飲もうぜ! 飲めば忘れる! すみませーん、ビールもう一杯!」

こんな風に好き勝手な発言が飛び交うと、話し合いにならない。場を仕切るどころではない。これはビジネスの現場でも同じ。

「部長、もういいじゃないですか、その話は」

「ここで議論したって、妙案は浮かびませんよ」

と、参加者にナメられた発言をされるようではファシリテーターとして失格。とにもかくにも、ファシリテーションスキルには「場の空気を作る」力が不可欠。まず、これはおさえておきたい。

そのために大事なことは、絶対に照れないこと。恥ずかしがらないこと。たとえ茶化されても、反発が出ようとも、「私は真剣なんだ」という姿勢を崩さないこと。これは徹底させたい。

■ 話を噛み合わせる技術

次に必要なのは「話を噛み合わせる」技術だ。私は同名の書籍――『話を噛み合わせる技術』を出版しているぐらいだから、この分野のプロだと自認している。どういうケースだと、話が前に進まないか、話にならないか、話がややこしくなるか、熟知している。

詳しい内容は拙著を確認いただくとして、ここで紹介したいのは、話が噛み合わないパターン3つだ。

・あさっての方向

・早とちり

・否定ありき

テーマに沿ってディスカッションがはじまったにもかかわらず、話が「あさっての方向」にそれていくことがある。ファシリテーターは、それた話をうまく元の場所へと戻すよう誘導できなければならない。

「ところでAさんの職場って渋谷にあるよね。あ、そうそう。渋谷といえば、沢尻エリカだよね」

「沢尻エリカが行きつけのクラブって、渋谷のどこ」

「私は木下優樹菜のタピオカ騒動のほうが、気になる」

「あ、私も。タピオカ飲みたいね」

「タピオカどこで売ってる?」

放っておくと、このようにドンドン話がそれていく。だから「沢尻エリカのことは、私もすごく興味あるけど、その話は後でしようよ」などと言い、どこかで話題を切るようにしよう。常に話題が横道にそれないように、注意を払うことがファシリテーターの務めだ。

■「早とちり」をどう是正するか

「早とちり」は厄介である。

「Aさんの業界って、ブラック企業が多いよね。だからしょうがないと思う。業界の特性じゃないの」

「あ、わかるわかる」

このように強い先入観を持っている人の発言は「早とちり」の可能性が高い。何の根拠もない主張には、まず疑いの目を向けるべきだ。「早とちり」ははやめに是正しないと、その思い込みを覆すことができなくなる。

ちなみに「早とちり」をする人の多くは、他人の話を聞いていない。だから「さっきAさんがブラックじゃないと言ってたじゃないの。ちゃんと話を聞いてあげて」と誤解を正しく訂正する必要がある。

■「否定ありき」はどうする?

最後の「否定ありき」は、何をやってもダメ。ムダなものはムダ、という発言を繰り返す人の思考だ。

「そういう解決策だとうまくいかないと思う」

「でも、Cさんが言っていた解決策もあるでしょう」

「いや、こういう理由で無理だと思うよ」

「だからそれは違うってAさんも言ってたじゃないか」

「なら、こういう理由でダメだと思うな」

「それはBさんが違うって言ってたじゃん」

「だったら、こういう理由でやっても意味がないと思う」

「それもさっき議論したじゃないの。そういうことはないって。話聞いてた?」

「とにかく、私が言いたいのは、職場の問題ってさ、何をやっても解決しないってこと。諦めたほうがいい。無理なものは無理。ダメなものはダメ」

「否定ありき」の思考の人は、何を言っても「ダメ」「ムリ」「意味ナイ」を繰り返す。ファシリテーターとしてはこういう人を説得しようとせず、スルーする度量も必要だ。あまりに付き合っていると、場の空気が乱れてくる。議論の参加者を事前に選択できるのであれば、こういう人を参加させないことも念頭に置きたい。

繰り返すと、ファシリテーション能力を身につけるポイントは以下の2つ。

1)場の「空気」を作る

2)話を噛み合わせる

ファシリテーションは、ビジネスの現場でも、プライベートな話し合いのときでも使えるテクニック。生産性の高い話し合いをするためには不可欠なので、常に意識し、自分のものにしてもらいたい。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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