ビジネスにおいて話を噛み合わせるには、「本気度」も噛み合わせる必要がある
なかなか「話が噛み合わない」人がいます。こちらの言っていることを誤解したまま反論したり、自分の思い込みで話を進めたりする人、あなたの周りにはいませんか。雑談をしているときならともかく、何らかの悩みを相談したいときには困りますよね。特にビジネスにおいて、話が噛み合わないと、いつまで経っても話が前に進みません。
話が噛み合わないパターンは以下の3種類と私は考えています。
● あさっての方向
● 早とちり
● 結論ありき
途中から話の論点がずれていく「あさっての方向」。前提知識が足りないせいか誤解を招く「早とちり」。何を言っても否定する「結論ありき」。この3つです。
ただ、これらのパターン以外でも、話が噛み合わず、話が前に進まない、話が空回りするケースがあります。前述した「言語的な問題」ではなく「非言語的な問題」が関わるケースです。それは「本気度」。「本気度」が噛み合わないと、話もまた同様に噛み合いません。
営業部長が「開発部だけでなく、営業部も新商品のアイデアを出してもらいたい。来週火曜日までにアイデアを3つは出してくれ」と言ったとします。部下たちに話は正しく伝わりました。あとで確認しても、「来週火曜日までに新商品のアイデアを3つ出す」という部長の話を正しく理解していることが判明しています。にもかかわらず、火曜日になって部下たちを集めても、誰もアイデアを持ってきません。……このようなことは、どんな組織にもあることです。
話が噛み合う、ということは、歯車が噛み合う、と同じ意味合いですので、動力源が正しく伝わっていないと「噛み合っている」ことにはなりません。したがって、期待通りに相手が動いてくれない限り「話が噛み合っている」とは言えないのです。
このケースにおいて「しょうがないな。まぁ、君たちは日ごろから忙しいので、新商品のアイデアを考える暇はないだろうが、言ったことはちゃんとやってくれないと困る」などと、お茶を濁すような受け止め方を営業部長が示すとダメです。営業部長は本気で「新商品のアイデアを考えなければならない」と思っていなかったことを証明しているようなものだからです。その曖昧な真剣さが部下たちに伝わっているので、相手は動かないのです。
営業部長が本気で考えているのならば、「先週言っただろう! 新商品のアイデアを3つは出せって。誰もアイデアを出してこないなんて、どうなってるんだ!」と怒るはずです。「おい、田中! 今日までに新商品のアイデアを考える時間はあったはずだ。何か言い訳できるかっ! たるんでるんだよ」と言われたら、田中さんは言い返すことができません。(部長は本気で言ってたのか。いつものように軽く受け流した自分が悪かった)と反省することでしょう。
言語データだけが相手に伝われば、話が噛み合うとは限りません。「本気度」「真剣み」が噛み合わないと、相手は期待通りに動かないのです。
「開発部だけでなく、営業部も新商品のアイデアを出してもらいたい。来週火曜日までにアイデアを3つは出してくれ。俺は本気で言っているからな。もしもアイデアを1つとか2つとかしか出せない奴がいたら、会議に出席しなくていい」
これぐらい言うことで、部下たちは「これは本気で考えないとマズいぞ」と思うものです。話を噛み合わせるためには「本気度」も噛み合わせましょう。