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簡単にラクして「お金持ちになる方法」を検証する3つのポイント

横山信弘経営コラムニスト
簡単に「誰でも」「大金」が手に入る、というファクターで考えてみる(提供:アフロ)

「ラクして儲けるネット副業」「ラクして儲けるバイト」「ラクして儲ける情報商材」……など等、インターネット上には、各種各様の「簡単にお金持ちになる方法」「ラクして儲ける方法」が見られます。「簡単にラクしてお金持ちになる方法」を考える場合、「簡単に」「ラクして」というキーワードには注意すべきですね。コストは以下の3種類があります。

■経済的コスト

■時間的コスト

■精神的コスト

簡単に、ラクして……ということは、この「精神的コスト」をかけずに、ということだと思います。もちろん「精神的コスト」はかからないけれども、膨大にお金(経済的コスト)、ものすごい時間(時間的コスト)をかけてお金持ちになるのもイヤでしょうから、一般的な企業に勤めている会社員よりも「精神的コスト」をかえず、「時間的コスト」も「経済的コスト」も支払うことなくお金持ちになる方法があればいいな。そんな方法があったら教えてくれ、ということだと思います。

ここで「簡単にラクしてお金持ちになる」のフレーズに、足りない部分があることを見逃してはいけません。

● 「誰でも」ラクしてお金持ちになることができるのか?

● ラクして「大金」を儲けることができるのか?

の2つです。まず前者の「誰でも」を実現するためには「創意工夫しなくても」という言い方に変換することができます。教えられた方法のとおりにやれば確実にお金持ちになる、ということです。つまり「自動化」されていないと意味がありません。お客様や従業員との関係をマネジメントしなければならない場合、想定外のことが連続しておきます。創意工夫なくして、何事も成し遂げられません。この時点で、「精神的コスト」「時間的コスト」は膨大にかかる、ということが目に見えていますから、お客様を対象とした事業はすべて除外されます。

後者の「大金」なのかということも重要です。その手法を手に入れるために10万円を支払った。にもかかわらず「手に入るお金」の額が1万円では意味がありません。(実際にこういうことがあります)

「大金」と表現するからには「1億円」とか「毎年1千万円」ぐらいの数字を考えたいですね。

そこで自分の懐に「1億円」を入れるのに、通常どれぐらいかかるのか? 調べてみます。高卒男子の生涯年収は「2億4000万円」。高卒女子は「1億8000万円」。大卒男子は「2億8000万円」。大卒女子は「2億4000万円」です。(いずれも、転職をせずに同一企業で定年まで勤務した場合の数字)

(※ 統計元:独立行政法人労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計-労働統計加工指標集-2013』)

当然、尻上がりに年収が増えていくと考えますから、1億円を儲けるのに通常は20年以上はかかると計算できます。通常20年以上かかるものを、どれぐらいに短縮すれば「時間的コスト」も「精神的コスト」もかけず、「簡単にラクしてお金持ちなる」ことになるのでしょうか。10年でも長い気がしますね。5年ではいかがでしょうか。2~3年ぐらいで実現すると、確かに「簡単にラクしてお金持ちになった」と表現してもよいかもしれません。

手元資金(経済的コスト)はどれぐらいが妥当でしょうか。100万円だと多い気がしますね。お金に対する感覚は個人差が大きいため難しいですが、「簡単にラクしてお金持ちになる」という表現には当てはまらないと考えました。ですから10万円以下と設定しましょう。10万円も出したくない、という人もいるかもしれませんが、一応基準として「10万円以下」とします。

最も気を付けるべきは「精神的コスト」です。

たとえば「簡単にラクしてお金持ちになる方法」という商材を10万円ぐらいで買ったとします。段ボール箱に、200ページの資料と、DVDが10枚同梱されていて、これらのノウハウすべて頭に入れて、そこに書かれたとおりのことをすれば、あなたも2~3年で1億円以上稼げます、と言われても、ちょっと面倒くさいですよね。資料をぱらぱらっとめくったら、専門用語がたくさん書いてあると読む気がしなくなるでしょう。

実際に、このような情報商材を購入する80%以上の人が、商品を購入するだけで手法どおりに行動をスタートさせていないと言われます。また、残りの20%の人も、ほとんどがマニュアルをすべて読まずに始めてしまう(見切り発車)ため、ほぼすべての人が、うまくいくものもうまくいきません。他の人はともかく、そこまでしなくても自分なら成功できる、という思い込みーー「自信過剰バイアス」にかかっている人も多く、かなり「精神的コスト」を落とさない限り「簡単にラクしてお金持ちになる」ことは実現されません。それでは、どれぐらいの労力なら、すべての人がその手法を実現させられるでしょうか。

前述したとおり、お客様を対象とした事業はすべて除外すると書きました。どんな事業をやるにしても、多少の想定外のことは覚悟しなければなりません。ここにかける「精神的コスト」はけっこう大きなものです。サラリーマンのように事業会社に所属しているのなら、そのコストは小さなものとなりますが、事業主になる以上は、それなりのリスクは覚悟しておいたほうがよいでしょう。事業をせずに大金を手に入れたいと考えると、多くの場合は「投資」という選択肢が頭に浮かびます。

ここまでを整理すると、誰でも、簡単にお金をかけず、短い時間で、苦労もせず、大金を儲ける方法は……

手元資金が10万円以下で、2~3年以内に、1億円以上を、ほぼ何も工夫することなく、自動的に、自分の懐に入れるような投資方法のことを指すのでしょう。こういう方法があれば、「簡単にラクしてお金持ちになる方法」と言えるかもしれません。しかし、残念ながらありません。

「幸運によって他人よりも幸せに恵まれたい」と思う心理を【射幸心】と呼びます。このような射幸心を煽る手法に騙される人は、そもそもストレス耐性が低いのです。暗示性が高い、とも言えます。ストレス耐性・ストレス強度が低い人は、できる限り「精神的コスト」を支払いたくないため、「運」に頼るしかありません。「幸運」に巡り合うしかないのですが、「運」は論理的に再現性がないため「方法論」は存在しないのです。つまり結論として、「簡単にラクしてお金持ちになる方法」はないと結論づけてよいと思います。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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