しつこい人をあきらめさせる! 正しい「断り方」を営業コンサルタントが教えます。

ダメなものは、ダメ……(写真:アフロ)

私は営業コンサルタントです。したがって、営業がお客様にモノやサービスを販売するスキルを身につけるお手伝いをしています。当然、お客様から断られても、営業は「ああ、そうですか」「それならしょうがないですね」などと言って、すぐに引き下がってはいけません。しつこく、執拗に、粘り強く、かといって相手の心証を害しないように気をつけながら、「狙った獲物は必ずしとめる」といった執念を持って、我慢強く接触し続けることが重要です。

ということは、つまり、営業職、販売員、セールスマン……と呼ばれる人たちは、そうでない人に比べて、圧倒的な量、「断られる経験」を持っています。あまり断られた経験のない営業は、正しい営業活動をしているとは言えないと断言できるほど、いろいろな人から、多様な断られ方で「要らない」「買いません」「もうけっこうです」などと言われているのです。

そのような営業を指導している私だからこそ、言えることがあります。それは、

このように断られたら、もう諦めるしかない

という「断り方」です。

この「断り方」をすれば、しつこい営業のみならず、ねちっこく交際を迫ってくる男性(もしくは女性)、イヤな仕事を押し付けてくる上司……などをぴしゃっと撃退することができます。

その「断り方」とは?

以下3つのポイントを気を付けるだけです。

●「理由」を言わない

●「受け言葉」を言わない

● 無関心・無表情(顔も言葉も)

最も重要なことは、断る「理由」を言わないことです。次の会話文を読んでみてください。

男:「明日の夜、ちょっと時間ないかな? 30分ぐらいでいいんだけど」

女:「え、明日の30分? うーん……」

男:「30分ぐらいならいいでしょ」

女:「でも、他に用事があるから」

男:「他に用事があるの? どんな用事?」

女:「え、どんな用事って、仕事関係の人には言えない用事で……」

男:「仕事関係の人には言えない用事なの? どうして?」

女:「え、どうしてって言われても……」

相手に「断る理由」を言うことで、その理由を説明しなければならないシチュエーションに追い込まれます。そして、その「理由」に抵触しない提案をされると、ドンドン身動きができなくなっていきます。

男:「それなら、その仕事関係の人には言えない用事がない日はいつ?」

女:「ええ……」

男:「だって、そういう用事がない日だったらいいんでしょ。来週なら何曜日がいい?」

女:「うーん……」

男:「30分だけでいいんだからさ。来週の月曜日ならどう?」

女:「……わかった。30分、だけだよ」

営業に対してお客様が断るケースでも同じです。「高い」と理由を言うと、「それならこの価格帯の商品ならいかがですか?」と応酬話法で返されます。「他の会社と取引している」と断っても、「その取引先よりも良い条件を提示しますから」と逆提案されます。

理由を言ってすぐに引き下がる相手なら、しつこい人ではありません。悩む必要はないはずです。悩ましいのは、どんな理由を言って断っても、そう簡単に諦めない相手です。

2つ目の「受け言葉を言わない」というのは、相手からの提案や誘いを聞いたとき、「ええっと」とか「そうですね」とか「30分かァ……」などと、受けて発する言葉のことです。とっさに出てきてしまうものですが、これさえも口にしないほうが良いでしょう。

つまり、上記2点を守りながら、3つ目の「無関心・無表情」でレスポンスするとどうなるか書いてみましょう。

男:「明日の夜、ちょっと時間ないかな? 30分ぐらいでいいんだけど」

女:「時間ないです」

男:「え? 何か他に用事があるの?」

女:「時間ないです」

男:「30分でいいんだから」

女:「時間ないです」

男:「来週ならどうかな? 月曜日なんかどう?」

女:「時間ないです」

男:「水曜日は? 木曜日とかはどう?」

女:「時間ないです」

男:「ひょっとして週末なら、時間がとれるとか?」

女:「時間ないです」

男:「……」

女:「……」

男:「あ、そう……。じゃあ、いいよ」

もちろん、この「断り方」は相手を不機嫌にさせます。相手の気分なんてどうでもいい。関係がない。という場合に使う「断り方」ですから、これでいいのです。

営業:「こちらの商品、いかがですか。価格もリーズナブルですし、絶対に買って良かったとご満足されますよ」

お客様:「けっこうです」

営業:「この商品を選ばれない理由は何でしょう? これでも高いですか?」

お客様:「けっこうです」

営業:「スペックの問題でしょうか? それともメーカーの知名度?」

お客様:「けっこうです」

営業:「また次回、別の商品をお持ちしましょうか?」

お客様:「けっこうです」

営業:「……」

お客様:「……」

営業:「かしこまりました。それでは、私はこれにて……」

1度や2度しか会わない相手なら、このように「つれない」態度をとっても、そう問題はないでしょう。しかしよく知っている相手なら、もちろん気を付けるべきです。ただ、気を付けるのは「日ごろの態度」であって、断るときは、このままでよいのです。

上司から頼まれて、やらなければならない仕事であるなら、イヤな顔ひとつせず、サクサクとこなす。返事もよく、いつも笑顔。何事もテキパキと動いて模範的な態度をとっている。こういう部下なら、しつこい上司の誘いもキッパリと断ることができます。

上司:「今日の夜7時からはじまる会議の議事録係になってくれないかな。残業代もつかないけど、申し訳ない」

部下:「無理です」

上司:「夜、何か用事でもあるの? 彼氏とデート?」

部下:「無理です」

上司:「ええっと、今日じゅうに議事録を仕上げなくてもいいんだ。明日でもいい」

部下:「無理です」

上司:「残業代を出したら、やってくれるのかな?」

部下:「無理です」

上司:「そっ……か」

このようにピシャリと簡潔に言うことが重要です。「どうして私が議事録係なんてやらなくちゃいけないんですか」「あんな不毛な会議に私は夜遅くまで付き合いたくもありません」などと、断る理由を、感情的に、つらつらと並べ立てると、しつこい相手は、さらに食い下がってきます。「なんだと? 俺だってやりたくやってるわけじゃないんだよ。議事録ぐらい書いてくれたっていいじゃないか。そんなに議事録を書くのが面倒なのかよ」と、ずれた論点で応酬してくるかもしれず、よけいに話がややこしくなります。

相手の話をいったん受けて、理由をアレコレ言っていると、しつこい相手は「もう少し押せば何とかなるな」と期待してしまうものです。断る側は期待させるようなことを言っているつもりはないのに、元来しつこい人は「勘違い野郎」ですから、そんなのお構いなし。相手に期待を寄せてしまうのです。ですから、隙があれば、あの手この手を使って説得しようとします。そして期待をしているわけですから断られると「逆ギレ」しやすくなります。

ぴしゃりと断ることで、かえって相手に逆ギレされそうだと思う人もいるでしょう。しかし逆なのです。もしもこのような断り方でも逆ギレする人がいるなら、きちんと受け答えして、いろいろな理由を並び立てて断ってもキレるでしょうから、結局は同じなのです。しつこい相手には、後腐れないようにしょっぱい対応が必要ですね。いわゆる「塩対応」と言われる姿勢です。