夏だけで「ゆう活」が定着するはずがない。どうすれば長時間労働は解消されるのか?
政府が7月1日から全国約22万人の国家公務員を対象に始めた朝型勤務「ゆう活」は、働き方改革、長時間労働解消、ワークライフバランス実現、というお題目でスタートしました。夏の2ヵ月間のみ、勤務時間を1~2時間前倒し、夕方以降の時間を有効活用してもらう、というこの「ゆう活」は8月31日をもって終了。果たしてこの取組は、長時間労働解消のきっかけを作ることができたのでしょうか?
女性活躍促進の法案もそうですが、政府が何かを決め、呼びかけることで現場の意識がガラリと変わるかというと、なかなかそういうわけにはいきません。私は現場に入ってコンサルティングをしている身です。これまでの経験上、長時間労働、残業の問題は「文化」だと言い切ることができます。業務分析、業務棚卸し、ダンドリ技術など……。どんなにノウハウやテクニックを紹介し、実践してもらおうと思っても、
● 残業しても許される「空気」
● 残業したほうが頑張っていると評価される「空気」
● 残業するのが「あたりまえ」だと信じて疑わない「空気」
が組織にある限り、長時間労働、残業は減りません。残業ゼロにしたい、残業を減らしたい、とは口にしていても、実際にはその「空気」が許さない。個人個人に働きかけても、残業がなくならないのは、組織の「文化」がそうなっているせいです。個人に任せるのではなく、現場のトップダウンで執行しなければなりません。
人間には「一貫性の法則」があります。過去の言動は一貫して正当化したくなるという法則です。「無駄な仕事はないか。あるなら減らして欲しい」と投げかけても、これまでやってきた仕事を無駄だと考える人はほとんどいません。一貫して正当化したくなるものです。
繰り返しますが、長時間労働、残業は組織の「文化」です。現場の人たちは、コンビニや居酒屋のバイト感覚で働いているわけではないので、この「文化」が変わらない限り、「残業ありき」で仕事をしようという意識が変わることはありません。夏の2ヵ月間では短すぎるので、恒常的な施策を検討する必要があります。