雑学ネタを増やさず、「雑談力」を身につける3つのポイント
人と良好な関係を築くために、表面的なコミュニケーション……いわゆる「雑談」はとても重要です。論理的なコミュニケーションばかりしていると楽しくありません。他愛もない世間話や、オチのない雑談は、お互いの関係を良好に保つ「潤滑油」のようなものだと認識したいですね。
さて、雑談力を身につけるためには、どうすればよいのでしょうか? 雑学ネタが多ければ、雑談力は身につくのでしょうか? それだけの問題ではないような気もします。英語もそうです。ボキャブラリーを豊富に知っていても、英語を話せない人はたくさんいるわけですから。
本コラムでは、話をあえて「噛み合わせない」ことで身につく「雑談力」について解説します。以下の3つのポイントを念頭に置いて話すのです。
● あさっての方向
● 早とちり
● 結論ありき
これらの要素をガンガン取り入れた会話をする、ということです。
A:「週末に小学生の息子と映画を観にいったんだけど、すごく混んでたよ」
B:「そういえば息子さんって映画俳優、目指してるんでしょ?」
A:「映画俳優? 冗談でしょ!」
B:「誰かがそんな話をしてましたよ」
A:「おいおい、はじめて聞いた。うちの息子はサッカーばかりやってるから、映画俳優だなんて、あり得ないよ」
B:「高校時代までサッカーばかりやってた少年が、すごい俳優になったって話、ありますよ」
A:「またまたァ、どうしてそうなるの!」
B:「息子さん、イケメンだから、絶対いいですよ」
A:「くどいなァ、俳優なんて、やらないって」
B:「ところで、昼のランチ、どこ行きます?」
A:「もうそんな時間か。俺は肉が食べたいな」
B:「じゃあ、焼肉でも行きますか」
こういう表面的なコミュニケーションがポンポンできるか、が重要です。話を「あさっての方向」へ強引に向けるためには、
「そういえば」
「ところで」
「ちなみに」
といった接続助詞を挿入することです。相手に気を遣いすぎると、
「息子さんって映画俳優、目指してるんでしょ?」
と、「あさっての方向」に話をそらしたり、「早とちり」だとわかっても、
「息子さん、イケメンだから、絶対いいですよ」
と、「結論ありき」で自分の考えを押し付けたりはできません。
雑談なのに、普通に話を噛み合わせようとすると、
A:「週末に小学生の息子と映画を観にいったんだけど、すごく混んでたよ」
B:「息子さんと映画ですか。いいですね。どんな映画を観にいかれたんですか?」
A:「『進撃の巨人』だよ」
B:「ああ、『進撃の巨人』ですか」
A:「ついにスタートしたからね、実写版が」
B:「ええと、どの映画館に行かれたんですか?
A:「うーん、どこだったっけ」
……このような、とても退屈な会話になります。問題解決のためのコミュニケーションならいいのですが、雑談なのに話の論点を固定して会話を続けると、話題が広がらないのです。
相手との信頼関係を構築するためにも「雑談」は大切です。雑談力は、「雑学ネタ」や「ウンチク」をたくさん持っていればいい、ということではありません。話が噛み合わない会話の「ズレ」や、空想による決めつけた言い方「ボケ」を楽しむものであり、あえて噛み合わせようとしないことも重要です。
話が噛み合っていないほうが、
「おいおい、違うって!」
「何を言ってんのォ、そうじゃないって~」
「またまた、そういう風に決めつけちゃってさァ。A子ったらー」
などと、「ツッコミ」を入れられることが多くなり、話が弾むのです。