ひねくれている人に「たとえ話」は危険!?
効果的な「たとえ話」をすることで、相手の理解度を促進することができます。次の表現を読んでみましょう。
「小麦粉に水を加えてしっかりと練り込んでいきます。しばらくして【つきたてのお餅】のように柔らかくなったら、いったん手を止めましょう」
単に「柔らかくなったら」というより、「つきたてのお餅のように柔らかくなったら」という表現を使ったほうが、より理解されやすい。そう思うからこの「たとえ」を使うのでしょう。このような「たとえ話」の種類は数えきれないほどあります。しかし相手によっては、「たとえ話」を使うと、かえって危険な場合もあるのです。たとえば、
「不祥事を起こした後の迅速な対応は、とても重要です。ジョンソン・エンド・ジョンソンがタイレノール事件で見せた、積極的な情報公開、スピーディで誠実な対応は、お見事でした。わが社も、クレーム対応をしっかりするために、今から体制を整えるべきです」
このような提案を誰かがしたとき、思考パターンが同じ人なら、
「その通りだ。当社も、クレームや不祥事を起こしたときの対応を見直さなくてならない」
と応じてくれることでしょう。しかし、思考が歪んでいる人であれば、
「いやいや、当社は製造メーカーだ。医療品の会社じゃないんだから参考にならない」
と相手の意見を否定することでしょう。「最初から否定ありき」の態度の人は、
「たとえば●●さんのように~」
「たとえば●●をするかのごとく~」
と言うと、ここぞとばかり「揚げ足取り」をすることがあります。話の論点からずれた反論をされる、ということです。
「つきたてのお餅のようにと言っても、つきたてのお餅は、どちらかというとネバネバしてますよね?」
「ディズニーランドで働くスタッフのようにと言うんだったら、ミッキーマウスを連れてきてほしいわ」
「たとえ話」は相手を見て使ったほうがよいと言えます。思考が歪んでいる、上から目線で否定を繰り返す人には、「クレームに正しく対応できる体制づくりをしましょう」「スタッフ教育を見直すべきです」とストレートに意見をぶつけたほうが反論されづらいので、覚えておきたいですね。