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いつも否定から入る上司「MJノー」の口癖とは?

横山信弘経営コラムニスト

「MJノー」とは、「~もんじゃない」の略

以前、「会社をダメにする上司 「MKノー」の口癖とは?」というコラムで、「MKノー」という口癖を紹介しました。(3日で約240万PVを記録)

コメンテーター幹部、批判だけする上司たちの代表的な口癖「MKノー(エム・ケー・ノー)」とは、「見たこともない、聞いたこともない」の略でした。

「そんなやり方でうまくいったなんて話、聞いたこともない」

「その方法を取り入れて成功した会社なんて、見たこともない」

という風に使います。いっぽう今回紹介する「MJノー(エム・ジェイ・ノー)」とは、「~もんじゃない」の略です。誰かの意見・考えに対し、とにかく否定から入る人の口癖です。一般的には、次のように使われることでしょう。

「AKB48のニューシングルがまたミリオンセラーになった? 売れればいいってもんじゃない。あれは握手券の影響だろう」

「ミクシィの業績が好調? 業績が回復すればいいってもんじゃない。ゲームの『モンスト』がヒットしているだけだ」

「MJノー」の事例と問題点

この「MJノー」をビジネスの現場で使用すると、いつも否定ばかりする人にとって、とても便利な言葉となります。誰からどんな提案をされても、一発で否定できる魔法のフレーズ。しかも否定する論拠がなくても否定できてしまうところに特徴があります。

「このままでは、今期の目標を達成できそうにありません。新規のお客様を開拓するための戦略を考えたいと思います」

「新規のお客様? 新規のお客様を開拓すればいいってもんじゃないだろ?」

「残業を減らすために、役割分担をしっかり考えていきます」

「役割分担? 役割分担をすればいいってもんじゃないだろう?」

「ただしくコスト削減をするために数値目標を決めるべきと思います」

「数値目標? 数値目標を決めればいいってもんじゃないだろう?」

このように、「MJノー」を使えば、何でもかんでも否定できます。しかし「~すればいいってもんじゃない」というフレーズには、「基本的には賛成だ」という意味合いが隠れていることを忘れてはなりません。

「利益が多ければいいってもんじゃない」

という表現はあっても、

「利益が少なければいいってもんじゃない」

とは言いません。同じように、

「期限を守ればいいってもんじゃない」

と言う人はいても、

「期限を破ればいいってもんじゃない」

と言う人もいません。

「基本的には良いことだが、抜け漏れがある、もしくは別の問題がある。なのに放置してはいけない」という意味合いなのです。したがって、

「新規のお客様を増やすためにイベントを開催したいと思います」

「君の意見には賛成だ。しかしイベントを開催すればいいってもんじゃない。その後のフォローをしっかりしてくれないと困る。過去にイベントを3回開催したが、その後のフォローがおろそかになって、満足いく成果を上げられていないんだから」

このように言ってもらえれば、相手も「わかりました。イベント後のフォローを徹底しますので、その方法について相談させてください」と素直に答えるでしょう。ところが「MJノー」が口癖になっている上司は、

「新規のお客様を増やすためにイベントを開催したいと思います」

「イベント? イベントを開催すればいいってもんじゃないだろう」

……と、「MJノー」を言うだけで終えてしまいます。これではとても不誠実な印象を受けます。'''認めているのに否定し、その否定の論拠を省略しているためです。

否定の論拠「ファクト(事実)」を省略してはならない

'''何かが足りない、他に問題がある、というのであれば、それを省略せずに指摘すべきです。指摘できないのであれば、一緒に考えるべきでしょう。このように「MJノー」の使い手は、最も重要な部分を省略して話すため、相手は納得ができません。「何を言っても否定するじゃないか、とてもやってられない」という気持ちになるのです。

「MKノー」のコラムでも書きました。論拠は、客観的なデータに基づくファクト(事実)であるべきです。否定から入る評論家・コメンテーター上司はこの口癖を治してほしいですね。

【参考記事】

「会社をダメにする上司 「MKノー」の口癖とは?」

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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