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社内禁止用語に指定したいナンバー1フレーズ「てっきり」

横山信弘経営コラムニスト

私は現場に入って目標を絶対達成するコンサルタントです。クライアント企業の従業員の行動を変えて結果を出すことが仕事です。そのうえでつくづく思うのは、「認知」という概念がとても重要だということです。話し合いを重ねて行動計画を決めても、それが正しく「認知」されていないと、いつまで経っても計画が前に進んでいきません。次の会話文を読んでみてください。「てっきり」という言葉に着目しながら。

「先日のセッションでお伝えした管理シートの提出が、まだ手元に来ていません。どうなっていますか」

「ええっと、どうでしょうかね……、てっきりうちの課長が提出しているのだと思っていましたが」

「販促チラシはどうなっていますか。チラシを1000枚作って、各店舗に配布することになっていたと思いますが」

「あれ?てっきりそれはチラシのデザインが決まってからやるものと思っていました。まだ作っていませんよ」

このように、決まっていたはずのことが履行されておらず、その言い訳として「てっきり」というフレーズを使ってくるのです。決定事項の目的をちゃんと把握してるかどうかです。本当にそれを履行しようとしているのであれば、てっきりなどというフレーズを使う事はないはずです。

たとえば明日の朝10時にお客様の所へ行ってくださいと言って、相手が「はいわかりました」と答えたとします。ところが翌日10時なってもその人が現れません。連絡をして「どうしたんですか」と尋ねると、「ああ。てっきりそこで行くルートを教えてもらってから行くものと思っていました」このように言う人がいるでしょうか。

たとえば「あなたの銀行の口座番号を教えてください。給料を振り込みますから」と言ってもいっこうに教えてもらえず、そのことを指摘すると「ああ、てっきりその口座番号を書く紙か何かをもらってから記入すると思っていました」などと言う人がいます。いるはずがありません。

「てっきり」とは、私は誤解していましたというときに使うフレーズです。自分ではなく誰かがやってくれるものだと思っていた、誰かが何らかのお膳立てをしてからじゃないとできないと誤解していました。私の認知不足です、と悪びれることなく言い訳をするときに使うのです。しかし、これは誤解ではなく、単純にやる気がないだけでしょう。「組織が掲げる目的を達成するつもりは、さらさらない」と言ってるのと同じです。

その言葉を聞かされた人は「てっきり」やってるものだと思っていますので、裏切られた気持ちになります。「空気」で人を動かすに書いたように、「てっきり」というフレーズを使っていると組織の中の空気が悪くなってきます。社内禁止用語に指定すること私はお勧めします。

【参考図書】

「空気」で人を動かす

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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