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「ゆるキャラ」でも、常に目標達成できる人の特徴とは?

横山信弘経営コラムニスト
強靭なメンタリティなどなくとも、「目標達成」はできるのだが……

「絶対達成」なのに「ゆるキャラ」?

私は企業の現場に入って、目標を絶対達成させることを主眼においたコンサルティングをしています。目標に焦点を合わせていない営業やマネジャーとかなり激しくやり合うことも厭わない、どちらかというと武闘派のコンサルタントです。書籍も「絶対達成する部下の育て方」「絶対達成マインドのつくり方」といった絶対達成シリーズを出版しています。その名のとおり、目標は絶対に達成させるのが当たり前で、未達成リスクをどのように回避するかを常に考えています。

このように書くと、多くの人が次のようなイメージを抱くことでしょう。

● ストイック(己に厳しい)

● ハングリー(夢に向かってガツガツしている)

● ワーカホリック(体を犠牲にして長時間働いている)

● タフガイ(強靭な精神の持ち主)

実際に、「いつ寝ているんですか?」「家族との交流はあるのですか?」「気を抜くときってないでしょ?」などと、多くの人から言われます。もしかしたら、ACミランの「10番」、本田圭佑選手のようなメンタリティを持っていると想像する人もいるかもしれません。そうでない限り「絶対達成」なんてキーワードを使えるはずがない、と。

しかしながら実際の私は、かなり「ゆるいキャラ」です。相当、面倒くさがりで、いい加減なのです。ある出版社の編集者から、「横山さんって実際はゆるキャラですね。あの激しい講演スタイルからは想像できない」と言われたことがあります。妻や部下に確認してもらえば、さらにわかるでしょう。「もうちょっとキッチリしてほしい」「物忘れが激しすぎる」「ひとりで何もできない」と思われているはずです。

完璧なのに達成できない?

職業柄、多くの「コンサルタント」と称する人たちと出会います。そういう肩書の方々と接していると、自分が恥ずかしくなるときがあります。もうちょっとしっかりしないといけないな、計画性が大事だ、もっと仕事に打ち込んだほういいような気がする……など等。

それぐらい、私はあらゆる意味で「余裕」のある生活、働き方をしています。しかしながら、事業の目標達成率はいつもかなり超過しており、売上・利益ともに年々過去最高を記録しています。どんなに「ゆるキャラ」であろうとも、圧倒的な成績を残しているので、誰も何も文句が言えない、というのが本当のところかもしれません。

世間のイメージと実際の姿が相当乖離していると私が気づきはじめたのは、つい最近のことです。そしてなぜそのようなイメージのギャップが起きるのか、考えてみたところ、多くの人がある勘違いをしていると気づいたのです。それは、

「完璧主義」と「達成主義」を混同している。

ということ。

先述したとおり、私の周囲にはいろいろな「コンサルタント」「ビジネス書作家」と呼ばれる人たちがいます。尊敬できる人ばかりで、いろいろなことを教えてくださいます。しかし、その方々の事業が常に「目標達成」しているかどうかは別次元の話。とても合理的な仕事の仕方をする研修講師がいます。ダンドリの技術ではピカイチというビジネス書作家もいます。WEBページで集客させたら凄い結果を出すというコンサルタントもいます。しかし、ご自身の事業はどうかというと、年々縮小傾向にある、という方もいらっしゃるのです。

完璧な仕事ぶりでも、事業目標を達成させられない人もいるということです。裏返せば、完璧じゃなくても最低限の目標ぐらいは常に達成できるという人もゴロゴロいるのです。(事業目標を達成できていなければ、完璧ではないじゃないかと言われそうですが、客観的に見ると、その仕事ぶりが完璧のように思えるのです)

アバウトだからこそ「絶対達成」できる!

現時点で目標達成できない人は、達成できるようになるためには、いろいろな面で相当努力しないといけない。膨大な労苦にも負けない強靭な精神力でもって、苦難の道を駆け上らなければならない……などと受け止めている人が多いでしょう。実際に私が現場に入って、「最低でも目標達成しましょう」と発言すると、クライアントの営業さんたちからはブーイングの嵐です。「そんな簡単に目標達成できるなら苦労しない」「私たちだって精一杯やってる。これ以上働かせるつもりか」と強い抵抗に遭うこともよくあります。しかし、実際には労働時間を増やさずに結果を出させることができます。

まず、考え方として目標を完璧に達成しよう、と考えないことです。目標は超えればいいのです。アバウトでいいのです。朝10時にお客様と約束があるなら、お客様のところへ10時までに行けばいいのです。到着時間が9時50分でも、9時40分でもかまわないのです。10時ピッタリに着く必要などありません。まずこの時点で「難しく考える必要はない」と受け止められるはずです。

資格試験でも同じです。65点が合格ラインなら、65点ピッタリに点数をとるのは難しいでしょう。とにかく65点を超えればいいのです。模擬試験で75点や80点ぐらいはコンスタントにとることができたら、試験日にコンディションが多少悪くても65点ぐらいは超えられるだろう、という発想です。

効率化・合理化をすることが好きで、最小限の力で最大限の成果を出そうと考える人がいます。しかし、その域に達するためには、かなり慣れてからにしたほうがいいでしょう。

先述した「朝10時にお客様のところへ行く」という話に戻します。遅刻は許されませんから、はじめて訪問するときは、ギリギリ10時に到着しようとは考えないもの。お客様とのアポイントは「絶対達成」です。未達成リスクを何としても回避しようと、余裕をもった行動をするはずです。10時に着けばいいのに、9時30分に着いてしまったりすることもあるでしょう。どの時間の電車に乗り、どの道を歩いたら、どれぐらいの時間がかかるか感覚的にわからないからです。

しかし、だんだん慣れてくると、9時50分とか、9時55分とか、9時58分とか、それこそギリギリに到着することができるようになってきます。どのような行動で、どのような成果がもたらされるのか、感覚的に理解できるようになるからです。

つまり、1度も目標を達成したことがない人は、とにかく効率化・合理化など考えず、ピッタリと完璧に達成しようとせず、大幅に超過するぐらいの発想で臨むのです。そしてまず「目標達成」がどういうものか味わいましょう。自分のやっていることが非効率でも、無駄だらけでもかまいません。過去にとらわれることなく、爆発的な行動量でとにかく達成させてしまうのです。

効率化を考えすぎると、かえって無駄が多くなる

私が現場に入ってコンサルティングすると、次の2点が必ず明るみに出ます。

● 目標達成のための行動が圧倒的に足りない

● 目標達成に関係のない行動が多すぎる

私の支援は極めてシンプルで、「目標達成のための行動」を膨大に増やし、「目標達成に関係のない行動」をできなくするのです。ほぼコレだけです。ですから労働時間の総量が増えないのです。

皮肉なことに「効率化・合理化」と言いながら、無駄なことをしている人が多すぎます。完璧にやろうとして作業を増やしている人がいるのです。私は現時点では「ゆるキャラ」かもしれませんが、最初に事業の目標を達成させるまでは、相当な遠回りをしました。当時はやはり辛かったです。かなり無理をしましたし、精神的にキツい、弱音を吐きたい、と何度も思いました。何をどれぐらいすることで結果が出るのか、サッパリわからないからです。

しかしいったん感覚を掴んでしまうと、少しずつ「やっても意味がないこと」がわかってきます。現在においても将来においても役に立たないことをしている、自己の投資にもつながらないこと、というのは存在しますので、それらを削ぎ落としていくことで「余裕」を手に入れられるようになるのです。

私の事業をさらに10倍、100倍に拡大したいと思うなら、私はもっとワーカホリックになる必要があるかもしれません。己に厳しく、強靭なメンタリティをもったほうがいいでしょう。しかしコンサルティング品質を保つためには、年に1人ぐらい雇用を増やすのが限界だと考えています。それぐらいなら、余裕で発展させられるからです。

未来に期待できるから幸せを感じる

人が幸せを感じるには神経伝達物質「ドーパミン」の分泌が必要です。ドーパミンは、将来が現時点よりも良くなっていると期待できるときに分泌します。収入が増えることによって幸福感を覚えるのは、お金があることで、過去に比べ、より良い生活ができるかもしれないと期待できるからです。いっぽうで、お金ではなくとも、過去にできなかったことができるようになる、これまでは上司に迷惑をかけてきたけれど、自分ひとりである程度のことはできるようになってきた、という事実だけでもドーパミンは分泌します。つまり幸福感を覚えるということです。

繰り返しますが、目標達成の勘所を押さえることができれば、後はラクになっていきます。しかし、その感覚を身に着けるまでは、無理を承知で頑張らないといけない時期はあるでしょう。いきなり「ラクして儲かる」「頑張らないほうが結果を出せる」ということはありません。射幸心を煽るような綺麗ごと(キラキラワード)に振り回されないようにしたいですね。永遠に「キツイ」「厳しい」が続くのではなく、いつかラクになる、というのであれば将来に期待が持てます。ドーパミンが分泌されるのです。

もっとおおらかに、大ざっぱに考え、目標達成の感覚を掴むまでは無理をしましょう。がむしゃらにやりましょう。気を付けていただきたいのは「労働時間」のみです。労働時間が増えると「目標達成には関係のない行動」を減らすことができないですから。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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累計40万部を超える著書「絶対達成シリーズ」。経営者、管理者が4万人以上購読する「メルマガ草創花伝」。6年で1000回を超える講演活動など、強い発信力を誇る「絶対達成させるコンサルタント」が、時代の潮流をとらえながら、ビジネスで結果を出す戦略と思考をお伝えします。

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