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スマホ派? 手帳派? 手帳を選ぶときの意外な盲点とは?

横山信弘経営コラムニスト
スマホでメモをとるのはいいけれど、その後の再利用が……

スマートフォンがどんなに進化しても一長一短

年末が近づき、普段から使っている手帳を買い換えようと考えている人も多いかと思います。そしてこの機会に、紙の手帳からスマートフォン等のデジタル機器でスケジュールやタスク、メモの管理に切り替えようかと考える人もいるでしょう。

スマホなのか? 紙の手帳なのか?

この話題は昔から各方面で語りつくされており、どんなにスマホのアプリが進化しようとも、手書きメモとスマホとが連携できるキングジムの「ショットノート」のような製品が出ようとも、それぞれ一長一短があり、絶対的なデバイス、ソリューションは現時点で存在しないというのが私の考えです。

今回は「メモ」の管理のみを取り上げて、スマホでメモをとったほうがいいのか、紙のメモ帳で書いたほうがいいのかについて、いつも通り行動心理学的な視点で考えてみます。

メモをとる目的が、備忘録として単に記録するだけであれば、入力スピードなどを考慮して考えればよいのです。スマホにおける入力作業にストレスがかからないのであれば、スマホでもいいでしょう。もちろん紙でも問題はありません。(スマホであれば、電源を入れてパスワードを入力し、アプリを起動するまでの時間はけっこう無視できませんが)

備忘録としてメモを残すのであれば、出力先で頭を悩ますことはないでしょう。それこそ、紙の切れ端でも何でもいいのです。しかし、そのメモを使って他データとつき合わせ、新しいアイデアを創出するというのであれば話は別です。

アイデアは既成データ同士の組み合わせ

アイデアは、ゼロから生まれません。すでに存在する情報と情報とをくっつけたり、差し引いたりして作り出されるものです。(データの上位概念、下位概念をいろいろな切り口でイメージしながら相互に突合せ、新しいデータを創造します。データを概念的に1次データ、2次データに分割し、それぞれのレイヤーに上下移動させることをチャンクアップ、チャンクダウンと呼びます)したがって、当然、何らかの情報を多く保有しておくことで、新しい発想や考え方を見つけやすくなります。創意工夫する知恵が身につくのです。

「新しいアイデア」といっても、誰もまだ開発したことのない商品や、驚くほど儲かる事業内容といった、刺激的なアイデアのみを指しているわけではありません。「日々よりよくするための改善アイデア」「お客様と会ったときに話せるちょっとした話題」なども立派なアイデアです。こういったアイデアを見つけていくためには、気になった情報を適宜蓄積しておくことは重要な「習慣」です。

スマホは「ワーキングメモリー」が必要

そういう観点からすると、私は紙のメモ帳をお勧めします。理由は、スマホの画面が狭いから、ただその一点のみです。スマホに記されたメモは、ディスプレイのサイズ以上に表示されません。それ以上のメモを目にするためにはスクロールしなければならないのです。ディスプレイから消えてしまった文字は見えなくなるため、脳のワーキングメモリー(短期記憶・作業記憶)に蓄えておかないと、新たにディスプレイに表示されたデータとの突合せができません。

新たなアイデアを考えるとき、自分の考えをまとめようとしたときは、膨大なメモを視界の中に並べ、それらを自由に配置転換させながらひとつにまとめていく。このやり方が一番ストレスなく実践できるやり方だと思います。

私たちコンサルタントがブレーンストーミングするときによく使う手法です。クライアントのメンバーたちから意見を聞きだし、その場でホワイトボードに書いたり、付箋にメモをして張り付けたりしながら可視化し、情報を統合・区分していくことで意見がまとまっていきます。

メモを並べて考えをまとめる
メモを並べて考えをまとめる

私は「ロディアNo.11」という手のひらサイズのメモ帳を使っています。ロディアにメモをした内容は後で切り取り、メモの種類によってカテゴライズし、保管します。そして定期的にまとまったメモを視界におさまる範囲で並べ、それを見ながらメモを統合させ、頭の中を整理します。

情報をデジタル化することで、便利になることは多いでしょう。しかしデジタル機器の出力画面には限界があることを忘れてはいけません。特に私のように忘れっぽい人、ワーキングメモリーが少ないのではと感じる人は、視界から消えた瞬間に思い出せず、データとデータとの突合せができなくなって新たな発想がしにくくなるのです。繰り返しますが、ただの備忘録であれば、どんな出力先でもよいでしょう。メモを再利用するときの考え方を書きました。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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