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侍ジャパンが5大会連続でベスト4!! 準決勝はプエルトリコかメキシコと対戦【第5回WBC】

横尾弘一野球ジャーナリスト
WBC準々決勝イタリア戦の3回裏、3ラン本塁打の岡本和真を出迎える大谷翔平。(写真:ロイター/アフロ)

 侍ジャパンがイタリアに9対3で快勝した。3月17日の未明にはチャーター機に搭乗し、決戦の地・アメリカへ向かう。

 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)はベスト8が出揃い、3月15日の準々決勝ではキューバがオーストラリアを4対3で振り切った。そして、16日には日本がイタリアと対戦。先発の大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)は、先頭のサル・フレリックを三振に打ち取ると、1球ごとに雄叫びを上げて熱投を見せる。

 打線は1回裏に無死一、二塁、2回裏も無死一塁で先制点を奪えなかったが、3回裏一死一塁から三番の大谷が意表を突くセーフティ・バントを三塁側に。これを投手のジョー・ラソーラが一塁へ悪送球して一、三塁となり、四番を任された吉田正尚(ボストン・レッドソックス)が、二塁ベース後方を守る二塁手に鋭いゴロを放ち、欲しかった先制点を挙げる。

 さらに、村上宗隆(東京ヤクルト)が四球でつなぎ、岡本和真(巨人)が2ボール2ストライクからレフトスタンドへ美しい3ランアーチを架け、一気に4対0とリードを広げる。直後の4回表には二死一、二塁と攻め込まれ、マイルズ・マストロブオニにレフトへ大きな飛球を打たれるも、吉田が背走して好捕する。

 5回表、イタリアは2死球などで二死満塁とし、ドミニク・フレッチャーが右前に運んで2点を返す。大谷は、71球でマウンドを伊藤大海(北海道日本ハム)に譲る。東京五輪も経験している伊藤は、四番のブレット・サリバンを遊飛に仕留める。そして、その裏に2四死球の無死一、二塁から、ついに村上がセンターへタイムリー二塁打を弾き返し、続く岡本は右中間への二塁打で3点を取り返す。

 その後、6回表を今永昇太(横浜DeNA)、7回表はダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)が完璧に抑え、7回裏には吉田の会心のソロ弾や源田壮亮(埼玉西武)のタイムリーで2点を追加。8回表にダルビッシュがソロアーチを許すも、9回表は大勢(巨人)が締めた。

3大会ぶりの決勝進出はなるか

 準決勝の相手は、日本時間3月18日8:00から行なわれるメキシコ×プエルトリコの勝者だ。日本は、過去の大会で両チームとも1回ずつ対戦があり、メキシコには2006年第1回大会の第2ラウンドで6対1の勝利、プエルトリコには2013年第3回大会準決勝で1対3の敗戦。大会3連覇を阻まれた試合である。メキシコは、今大会を含めてアメリカに3勝1敗と強いものの準決勝進出はなく、通算成績も10勝11敗だ。一方のプエルトリコは、2大会続けて準優勝しており、通算20勝9敗とリーグ戦の星取りも上手く、一発勝負のトーナメントでも勝負強さを発揮する。

1次ラウンド第1戦に先発し、チームを波に乗せたプエルトリコ代表のマーカス・ストローマン。
1次ラウンド第1戦に先発し、チームを波に乗せたプエルトリコ代表のマーカス・ストローマン。写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 どちらかと言えば、メキシコに勝ち上がってきてほしい。打ち気に逸る打線を、佐々木朗希(千葉ロッテ)の速球でねじ伏せたいが、プエルトリコが相手なら制球力のいい先発投手でリズムを作りたい。そう考えると、山本由伸(オリックス)にスタートを任せるのがベターか。そして、日本の打線が注意したいのもプエルトリコの投手陣だ。

 1次リーグのニカラグア戦で先陣を切ったマーカス・ストローマンは、前回はアメリカ代表で出場し、決勝に好投して優勝の原動力となり、大会MVPに輝いた右腕。今回は、母親の故郷であるプエルトリコ代表入りし、チームの命運を握る第1戦の先発として4回2/3を1失点に抑えている。準々決勝で投げてくれればいいが、最も手強い相手だろう。また、ベネズエラとの第2戦に先発したホセ・ベリオスは、2回途中までに6失点と打ち込まれた調子の波がある投手だが、ハマると厄介な存在である。

 いずれにしても、好調な打線がつながりのある攻撃で先手を取り、決勝のことは考えず、2大会続けて涙を呑んでいる準決勝を突破することに全力を尽くしてほしい。侍ジャパンの準決勝は、日本時間3月21日の8:00プレイボールだ。

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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