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トヨタ自動車の連覇は!? 第88回都市対抗野球大会展望

横尾弘一野球ジャーナリスト
32番目の代表に名乗りを上げたJR北海道硬式野球クラブ

6月13日にJR北海道硬式野球クラブが代表権を獲得し、第88回都市対抗野球大会の出場32チームがすべて決定。16日には組み合わせ抽選会が実施され、一回戦の対戦カードと試合順は以下の通りになった。

前年優勝のトヨタ自動車は、絶対的エースの佐竹功年が健在。藤岡裕大を筆頭にドラフト候補が並ぶ打線も破壊力を備えており、連覇の可能性は十分にある。3月の東京スポニチ大会でも優勝したが、推薦出場で予選を免除され、緊張感のある戦いから遠ざかっているのが唯一の懸念材料か。

トヨタ自動車と同じAブロックには、投打に充実して東京第一代表となったNTT東日本、若手の成長著しいHondaも入った。どれだけ失点を少なくできるかが、ベスト4へ進出するカギになるだろう。

Bブロックは、昨年準優勝の日立製作所をはじめ、JR東日本、東芝と優勝経験のある強豪、近年の躍進目覚ましい日本新薬や日本製紙石巻が4強入りを争う。日立製作所の打線は全国屈指のパワーを誇る。投手陣も2年目の鈴木康平らが成長して質、量ともに豊富なだけに、継投のタイミングが勝敗に直結しそうだ。

JR東日本は、今秋のドラフトの目玉・田嶋大樹に続く投手が安定感を高めれば、試合運びの安定感がアップする。東芝は、やはりドラフト候補と目されるエース・善 武士の復調がポイント。日本新薬と日本製紙石巻は、投手を中心とした堅実なディフェンスでロースコアの戦いに持ち込み、勝機を広げたい。

古豪か新鋭か全国制覇へのポイントになる一回戦

勢いに乗れば、頂点まで駆け上がりそうなチームが並ぶのがCブロック。昨年のベスト4で4月の静岡大会を制した東京ガス、5月の九州大会で優勝した日本通運は磐石の投手力に注目。抽選会場を最も沸かせた東京ガスと西部ガスの同業者対決も話題になるだろう。三菱重工広島と西濃運輸は、ここ一番で勝負強さを発揮する打線が心強い。全国レベルの好投手を相手に、どこまで機能するか。また、左腕・山本大貴の力投で4年ぶりに出場した三菱自動車岡崎をはじめ、各地区の第一代表のチームには予選からの好調さを生かしてもらいたい。

そして、日本生命と三菱日立パワーシステムズは2年続けて一回戦で激突する。昨年は三菱日立がシャットアウト勝ちしたのに加え、三菱重工長崎と統合されて投打にパワーアップ。大野亨輔、奥村政稔、三小田章人と実力派の先発を惜しみなく注ぎ込めるゆえ、日本生命は先制点を与えないことが勝利の絶対条件だ。しつこい攻撃で活路を見出したい。

京都大会優勝のNTT西日本、新人が頭角を現しているHonda鈴鹿もベスト8以上の総合力を持っている。セガサミーやJR西日本は、若い力が爆発すれば一気に波に乗りそうだ。

まずは、どのチームでも難しいと言われる一回戦にどう入っていくかに注目し、黒獅子旗をかけた12日間の戦いを見守りたい。

【第88回都市対抗野球大会一回戦組み合わせ】

●7月14日

18:30/豊田市 トヨタ自動車×福岡市 九州三菱自動車

●7月15日

10:30/岡崎市 三菱自動車岡崎×門真市 パナソニック

14:00/鈴鹿市 Honda鈴鹿×山形市 きらやか銀行

18:00/福岡市 西部ガス×東京都 東京ガス

●7月16日

10:30/石巻市 日本製紙石巻×大津町 Honda熊本

14:00/高松市 JR四国×狭山市 Honda

18:00/東京都 JR東日本×高岡市 伏木海陸運送

●7月17日

10:30/大阪市 日本生命×横浜市 三菱日立パワーシステムズ

14:00/大阪市 NTT西日本×広島市 JR西日本

18:00/東京都 NTT東日本×神戸市・高砂市 三菱重工神戸・高砂

●7月18日

10:30/さいたま市 日本通運×広島市 三菱重工広島

14:00/日立市 日立製作所×名古屋市 三菱重工名古屋

18:00/札幌市 JR北海道硬式野球クラブ×東海市 新日鐵住金東海REX

●7月19日

10:30/東京都 セガサミー×名古屋市 東邦ガス

14:00/川崎市 東芝×京都市 日本新薬

18:00/鹿嶋市 新日鐵住金鹿島×大垣市 西濃運輸

野球ジャーナリスト

1965年、東京生まれ。立教大学卒業後、出版社勤務を経て、99年よりフリーランスに。社会人野球情報誌『グランドスラム』で日本代表や国際大会の取材を続けるほか、数多くの野球関連媒体での執筆活動および媒体の発行に携わる。“野球とともに生きる”がモットー。著書に、『落合戦記』『四番、ピッチャー、背番号1』『都市対抗野球に明日はあるか』『第1回選択希望選手』(すべてダイヤモンド社刊)など。

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