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絶対に食べておかねばならない 青森のラーメン「煮干」3軒

山路力也フードジャーナリスト
店ごとに個性が出る青森の煮干ラーメン。

煮干ラーメンは青森のソウルフードだ

青森市には多くの煮干ラーメン店が軒を連ねている。
青森市には多くの煮干ラーメン店が軒を連ねている。

 青森県は意外にもラーメン店の数が多く、古くからラーメン文化が根付いている。カップラーメンの消費量は全国でもトップクラスなうえ、津軽地域の「津軽煮干ラーメン」や、南部地域の「八戸ラーメン」など、地域ごとに古くから根付く個性的なラーメンも数多い。

 青森県の中でも個性豊かなラーメンが楽しめる街が青森市だ。青森市民は大のラーメン好きで、市内には200軒以上のラーメン店があるが、中でも人気が高いのが煮干ラーメンだ。元々津軽では煮干や焼干を出汁に使う文化があり、それがラーメンにも応用されたとも言われている。

 今回は青森市で人気を集めている煮干ラーメン店を厳選。店ごとに個性が出る青森煮干ラーメン。青森で煮干ラーメンの食べ歩きをするならば、まずはここから始めて欲しい。

濃淡煮干二刀流の先駆者『長尾中華そば』(2004年創業)

あっさりとこってりの両方を楽しめる先駆『長尾中華そば』。
あっさりとこってりの両方を楽しめる先駆『長尾中華そば』。

 津軽の煮干ラーメンにはすっきりとした淡麗なラーメンと、パンチが効いた濃厚なラーメンの2系統があるが、津軽には色々な味があることを伝えたいと、その両方をいち早くメニューに並べた草分け的存在の店が『長尾中華そば』(西バイパス本店:青森県青森市三好2-3-5)だ。2004(平成16)年に創業し、県内はもちろん県外にも店舗を展開している。

 煮干は平子煮干を中心に全国から厳選したものを独自にブレンド。あっさり系の「あっさり」と濃厚系の「こく煮干し」が二枚看板だが、その両方をブレンドした「あっこく麺」や、さらに煮干のパンチを加えた「ごぐにぼ」などのバリエーションが豊富。さらに麺も4種類から選ぶことが出来るので、自分好みの味を見つける楽しさがある。

背脂豚骨と煮干の華麗なる融合『ひらこ屋』(2005年創業)

青森市内に複数のブランドを展開する『ひらこ屋』。
青森市内に複数のブランドを展開する『ひらこ屋』。

 津軽新城でオープン前から多くの客が詰めかける人気店が、2005(平成17)年に創業した『ひらこ屋』(青森県青森市新城字山田588-16)。元々はサンマ干しを使ったラーメン店を営んでいた店主が、地元青森の煮干ラーメンの魅力に惹かれ新たに開業。現在は市内に異なる屋号とコンセプトで3店舗を展開している。

 煮干を水出ししたキレあるスープの「中華そば」も自慢だが、平子煮干をはじめ数種類の煮干と豚骨を合わせたパンチのある「とんこつ煮干しそば」が人気。さらに甘みのある国産豚背脂をたっぷりと浮かべる「背脂煮干しそば」などもリピーターを生む。口あたりが優しく食感もしっかりとした自家製麺と共に、進化した青森煮干ラーメンを楽しむことが出来る店だ。

自家製麺と無化調スープの優しい味わい『麺屋とろも』(2017年創業)

化学調味料を使わない優しい味わいの『麺屋とろも』。
化学調味料を使わない優しい味わいの『麺屋とろも』。

 青森中央インターから程近い、環状7号線沿いに2017年オープンした『麺屋とろも』(青森県青森市第二問屋町2-1-23)は、化学調味料を使わない天然スープと自家製麺で人気の店。その優しい味わいで家族連れや女性客からも支持を受けている新進気鋭店だ。

 スープは地元青森平舘海峡の鰯焼干を中心に数種類の焼干と、魚節や昆布を合わせた完全無添加で、雑味がなくすっきりとした優しい味わい。全粒粉を配合した自家製麺は手もみ麺と中細麺から選ぶことが出来る。地元青森産の豚肉を使ったチャーシューも白眉の出来なので、チャーシュー増しもオススメだ。

 まだまだ青森には美味しい煮干ラーメンの店は数多くあるが、店の数だけ味があるのがラーメンの楽しさ。青森でラーメンの食べ歩きをする時には、まずこの3軒からスタートして自分好みの味を探し、そこから新しい店を見つける旅に出て欲しい。

※写真は筆者によるものです。

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フードジャーナリスト

フードジャーナリスト/ラーメン評論家/かき氷評論家 著書『トーキョーノスタルジックラーメン』『ラーメンマップ千葉』他/連載『シティ情報Fukuoka』/テレビ『郷愁の街角ラーメン』(BS-TBS)『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)『ABEMA Prime』(ABEMA TV)他/オンラインサロン『山路力也の飲食店戦略ゼミ』(DMM.com)/音声メディア『美味しいラジオ』(Voicy)/ウェブ『トーキョーラーメン会議』『千葉拉麺通信』『福岡ラーメン通信』他/飲食店プロデュース・コンサルティング/「作り手の顔が見える料理」を愛し「その料理が美味しい理由」を考えながら様々な媒体で活動中。

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