原価無視、採算度外視のありえないラーメンとは?

この日のために作られた丼には本物の金を練り込んだ(写真:博多一双)

「豚骨カプチーノ」の人気店が創業7周年

創業7周年を迎えた『博多一双 博多駅東本店』は連日大行列の人気ぶり。泡が浮いた「豚骨カプチーノ」がファンを魅了する。
創業7周年を迎えた『博多一双 博多駅東本店』は連日大行列の人気ぶり。泡が浮いた「豚骨カプチーノ」がファンを魅了する。

 豚骨ラーメンの聖地、福岡博多で人気を集めているラーメン店『博多一双』(株式会社EVORISE/代表取締役:山田晶仁)が、11月27日に創業7周年を迎えた。2012年、博多駅東に創業以来、地に足をつけた着実な店舗展開を進め、7年間で福岡市内に3店舗を運営。どの店も連日行列を作る人気店となっている。

 古くから豚骨ラーメンが愛されてきた博多は、ただでさえ豚骨ラーメン店が多く差別化がし辛く、後発のラーメン店がシェアを取ることは非常に難しい。そんな中で『博多一双』を多くの人が支持したのはなぜか。同じく福岡博多の人気ラーメン店『博多一幸舎』で長年修業をした兄弟が二人で独立創業した、という出自で注目を集めたことも大きいが、やはり豚骨スープの上に脂泡を浮かべた「豚骨カプチーノ」と呼ばれるラーメンの個性が大きい。濃厚で豚骨臭も強いバランスながら、ベタつき感はなく後口もサッパリとした味わいも幅広い客層に受け入れられた。

厨房に立つ兄の山田晶仁さん(右)と、弟の章仁さん。
厨房に立つ兄の山田晶仁さん(右)と、弟の章仁さん。

 「開業する時に『誰が食べても美味しいラーメン』を作るのはやめようって決めました。万人受けは狙わずに好きな人にだけ食べて貰えるラーメンを作る。自分たちの食べたいラーメンを貫こうと思ってやってきました」(博多一双店主 山田晶仁さん)

 26歳の時に創業した山田さん兄弟の元には多くの同志が集まってきた。スタッフの大半は20代前半という若いメンバーが営業する店舗は、どこも威勢良く元気があってエネルギーに満ちあふれている。今、福岡で一番勢いがある元気なラーメン店が『博多一双』と言ってもいいだろう。

豚骨を封印して挑んだ「感謝の一杯」

「感謝の一杯」と題された、原価無視、採算度外視の「松茸らーめん」。
「感謝の一杯」と題された、原価無視、採算度外視の「松茸らーめん」。

 そんな『博多一双』創業7周年の日、11月27日には一日限りの7周年記念イベントが行われた。この日限りのラーメンをこの日限りの丼とレンゲを使い、この日限りのユニフォームで提供するという、遊び心にあふれた一日。平均単価が650円ほどの福岡のラーメンにおいて、一杯2,000円という高価格なラーメンであったにも関わらず、事前予約制のチケットは即日完売。高い人気振りを伺わせた。

 「一双らしく、楽しく振り切ったラーメンとイベントにしたかった」と語る店主の山田さん。イベントの仕掛けもさることながら、ラーメンは意表をついて豚骨を一切使わないものを創作。大量の松茸を刻んでミキサーにかけてペーストにして、鶏清湯スープとブレンドするという、原価無視の「松茸らーめん」を作り上げた。贅を尽くしたラーメンに合うように、丼とレンゲも本物の金を練り込んだ金色の丼とレンゲをこの日のために特注。さらにアワビを使った炊き込みご飯と、自家製のシャーベットもセットにして、振る舞い酒として日本酒も飲み放題にした。これらすべて含んで2,000円。採算度外視の破格なイベントとなった。

一日限りのユニフォームを着てお客さんを出迎える山田兄弟。8年目に向けて新たなスタートを切る。
一日限りのユニフォームを着てお客さんを出迎える山田兄弟。8年目に向けて新たなスタートを切る。

 金色の丼の中に浮かぶラーメンには、細かく刻まれた松茸がこれでもかというほど入っていて、スープを飲むたび、麺を引き上げるたびに松茸が口の中へ大量に流れ込む。特製の松茸香味油がさらに鼻腔を刺激して、松茸の香りと味が全身を完全に支配する。麺は人気製麺所『製麺屋慶史』に特注した、この日だけのオリジナル麺を使用。スープを邪魔することなく、麺としての主張もしっかりとある麺になっていた。

 豚骨一本で走り続けてきた『博多一双』の新たな可能性を垣間みた一日。しかしながら、あくまでも一双は博多ラーメン、豚骨ラーメンを極めていきたいという。今後は県外への出店も視野に入れつつ、若いチームの快進撃はこれからも続いていくことを確信した。

※写真は筆者の撮影によるものです(出典があるものを除く)。