「ココイチビーフカツ流出騒動」から見えるCoCo壱番屋の高い危機管理体制

国内に1,200店舗以上構える巨大カレーチェーンの大半はフランチャイズ経営だ。

見つけたのはFC店のパート従業員だった

1月13日、カレーチェーン「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開運営する「株式会社壱番屋」は、昨年9月に異物混入した可能性のある冷凍ビーフカツ全ロットを廃棄処分したが、処理を依頼した産業廃棄物処理業者である「ダイコー株式会社」によって転売され、スーパーなどで一般流通していることを公表した(壱番屋 1/13リリース)

壱番屋によれば、CoCo壱番屋のフランチャイジー店に勤務するパート従業員が、スーパーマーケットで買い物中に発見し不審に思い、壱番屋本部に通報したのが11日のこと。その後、現物を取り寄せて調査して委託業者が転売していたことを突き止め公表したのが13日。この迅速なスピード感にまずは驚かされるが、それよりもまず注目すべき点はこの事実がFC店のパート従業員によって発見されたことである。

このパート従業員がビーフカツが転売されていることに疑問を感じ、それを即座に本社に報告したということは、店舗の運営運用ルールがパートにも理解されていたということであろうし、国内店舗数1,200軒以上を数え「ギネス世界記録」でも「最も大きいカレーレストランのチェーン」として認定された巨大組織において、一人のFC店パートの報告によって問題が本社に上がり、中一日で事実の確認と公表まで出来たということは、社内における意思伝達スキームの高さを見せつけたと言えるだろう。

高い商品管理体制と危機管理意識

今回のビーフカツが廃棄された理由は、同社愛知工場でビーフカツを製造する過程において異物混入の恐れがあったためである。最大で8mmの合成樹脂片が混入した可能性があり、廃棄されたビーフカツの枚数は全ロットの40,609 枚。全ロット廃棄に至ったのは、製造時における異物混入時点が限定されなかったため、混入の可能性がある製品の全ロットを廃棄したことによる。ここにも壱番屋の厳しい商品管理体制が見てとれる。

そしてこれら全ての理由や原因を包み隠さず、しかも素早く公表したことは「クライシスマネジメント」の意識が非常に高い会社であるということの証左でもあろう。起こった事実を認めてすべてを明らかにし今後の対応に迅速にあたる。一般消費者の不安を解消するにはそれ以外の手段はないということを、壱番屋は理解していると言えるだろう。

しかし、そんな高い商品管理体制と危機管理意識をもった壱番屋であっても、今回の事件を未然には防げなかった。一連の流れをみてもまったくといっていい程に壱番屋には落ち度がない。もし無理にでもその点を見出そうとするならば、不正を犯すような処理業者に委託したことと、転売可能な状態のままで製品を渡したことだろうか。しかし今後は廃棄処分される製品については廃棄品のスタンプを押すなり、裁断するなりの処置が取られるようになるだろう(追記=1/19のリリースで再発防止策が発表されているが「製品そのままの形での廃棄は行わず、包材から取り出して、生産副産物として発生する堆肥の原料に混ぜたりするなど」の対応を取るとのことである)。

意識の低い一部の業者によって食の安全が揺らぐ

今回の問題で明らかになったのは、壱番屋という会社の高い危機管理体制だけではなく、産廃処理業者や仲卸業者、そして小売店の認識の甘さ、さらにはグレーな食品流通ルートの実態である。言うまでもなく、壱番屋はある意味「被害者」であって、問題の原因は転売した処理業者「ダイコー」であり、それをさらに転売した製麺業者の「みのりフーズ」である。そこからいくつかの仲卸業者を介して小売店へと転売されていった。

愛知県によると、小売店ではそのままの状態で販売されたものもあるが、弁当や惣菜の材料として加工調理して販売した店もあるという(愛知県健康福祉部保健医療局 1/15リリース)。転売先からすれば、廃棄処分された製品が納入されたとは思わなかった、ということなのだろうが、廃棄処分かどうかはさておき正規ルート品ではないことは明らかなわけで、食品を扱う業者としての資質が疑われても致し方ないと思う。

その後の壱番屋からの発表によれば、問題のビーフカツ以外にも廃棄処分されたはずの製品が、同じく処理業者のダイコーによって転売されている事実が明らかになっている(壱番屋 1/15リリース)。さらにはビンチョウマグロのスライスや焼き鳥、骨付きフライドチキンなど、壱番屋以外から請け負った廃棄処分製品も不正転売していたことも明らかになるなど、常習的に廃棄処分の製品が不正に転売されていた実態が浮き彫りとなった。

幸いにして今回の問題で健康被害の報告はされていないが、異物混入された食品であったり消費期限切れの食品や不明な管理状態に置かれた食品が流通消費されたことは事実である。メーカー、卸業者、小売業者が食の安全を担保するのは当然のことではあるが、私たち消費者としてもその商品がどのような経緯で販売されているかについて考える必要がある。特に廉価販売されているものや加工食品に関しては一層の注意を払う必要があるだろう。