新型コロナウイルス感染症患者の病床使用率など医療提供体制の最新情報を公開しているかどうかについて、主要な都道府県の公式サイトで調査した結果、首都圏の3県は開示しているのに対し、東京都などが開示していないことがわかった。これまでに4月の緊急事態宣言下でも都が発表した入院患者数が過大であった問題などが明らかになっているが、今回の調査で、他の府県と比べてみると都の医療提供体制に関する情報開示の消極姿勢が浮き彫りになった形だ。

 「重症者病床の使用率」「重症者以外の病床の使用率」「軽症者等を受け入れる宿泊療養施設(ホテル)の使用率」の3つについて、累計感染者数の多い上位10都道府県(東京、大阪、神奈川、埼玉、千葉、北海道、福岡、愛知、兵庫、京都)のサイト上でほぼ毎日更新する形で公開されているかどうかを、インファクト(InFact)が調べた。その結果は、次の通りとなった。

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 神奈川県はこの3つの指標の最新情報を特設サイトで公開している。この他に「疑い感染者」(陽性と確定していないが、症状等から感染者と疑われる患者)のための病床使用率も公開しているのは、調べた限り神奈川のみだった。

神奈川県の特設サイトより
神奈川県の特設サイトより

 埼玉県は病床使用率の推移を表すグラフを掲載別のページで宿泊療養施設の使用状況が把握できるようになっている。

 千葉県は公式サイトに「感染状況に係る千葉県の指標(再度の協力要請等の判断基準)」と題してPDFファイルで公開していた。

 福岡県も過去3日間の病床使用率を公開している

埼玉県の公式サイトより
埼玉県の公式サイトより

 大阪府は、トップページで重症者病床使用率を発表している。これまで軽症者等の病床や療養施設の使用率は発表していなかったが、吉村知事は7月25日、今後この2つのデータも発信する方針をツイッターで発表した

 他方、この医療提供体制の現況を示す指標を3つとも日々公開していないのは、東京都、北海道、愛知県、兵庫県だった。首都圏では東京都だけだった。

 東京都は、週1回程度開かれるモニタリング会議の資料で重症者病床の使用状況がわかるデータを掲載しているが、日々の最新情報を公表しているわけではない。厚労省が都の報告に基づき公表している確保病床数や療養施設受入可能室数も、不正確なデータであることが判明している。

(関連記事)【新型コロナ】東京都、軽症者用ホテル受入室数の発表も不正確 大幅縮小で一時逼迫するも改善

 新型コロナ対策では重症者・死者を最小限に抑えることが重要で、陽性者数が多い主要な府県では、住民に警戒を呼びかけるかどうか判断する際のモニタリング指標として「重症者病床使用率」などを明記しているところが多い。大阪府は5月上旬、いち早く重症者病床使用率60%を警戒基準の一つとする「大阪モデル」をスタートした。

 7月22日にはモニタリング会議に出席した専門家の一人が「国のリーダーが伝えている『東京は逼迫していない』というのは誤りだ」との指摘も出たが、そもそも都はきちんと他の府県のように分かりやすい情報開示をしていないという問題がある。筆者は都の福祉保健局感染症対策部に対し、最新の確保病床数などをサイトで情報公開するよう求めたが、実現していない。大阪府の吉村知事からも、都は重症者病床使用率をリアルタイムで公表すべきだとの指摘を受けている

 7月25日現在、首都の1都3県と大阪府の重症者病床使用率は現時点でいずれも2割を下回っている(以下の表)。一方、軽症者等の病床使用率は東京・千葉・埼玉で5割前後と、上昇傾向にある。

 今後、病床使用率や情報公開度に関するさらに詳しい情報は、インファクトで続報する予定だ。

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