こんにちは、空想科学研究所の柳田理科雄です。マンガやアニメ、特撮番組などを、空想科学の視点から、楽しく考察しています。さて、今日の研究レポートは……。

『どうぶつの森』シリーズは、ほのぼの楽しいゲームだが、実は結構ワイルドなことが行われている。

筆者がヒジョ~に驚いたのは、プレイヤーが浜辺に出かけて魚釣りをすると、ジンベエザメが釣れてしまうこと!それも、普通の釣り竿一本で!

これはすごいコトですよ。ジンベエザメは地球でいちばん大きな魚類で、その体長は最大18mにも達するという。そんな巨大な魚を一本釣りですと!?

ジンベエザメは、第6作『とびだせ どうぶつの森』から釣れるようになり、最新作『あつまれ どうぶつの森』でも釣ることができる。

この恐るべき捕獲行為を考察してみよう。

◆ジンベエザメを釣る力とは?

浜辺に出かけ、釣竿を使って糸を投げる。魚が近づいてきて、針にかかると浮子の周りをぐるぐる泳ぐ。竿を上げると、プレイヤーの手元に魚がバシャッと飛んでくる。

それはアジだったりタイだったりするのだが、何度かやっているうちにジンベエザメが釣れた!

プレイヤーはジンベエザメを両手に抱えて「ん? これは…… ギョエーッ!!! でっかい」「ジンベエザメを釣り上げちゃった!」と喜ぶ。

このジンベエザメ、本当にデカい。『とびだせ どうぶつの森』では、セリフに続いて「800cm」などとサイズが出ていたし、『あつ森』でもプレイヤーの何倍もの大きさだ。

そしてどちらも、プレイヤーはジンベエザメをすぐさまズボンのポケットにしまうのだ。

800cmだとしたら、それは8mである。

そんなデカいジンベエザメを、人間の身長ほどの釣竿で釣る?

しかもズボンのポケットにしまう!?

オドロキの2連発だ。

800cmのジンベエザメは、どれほどの重さだろうか。 

実在のジンベエザメの体重をもとに計算すると、およそ6t。中型の路線バスくらいの重量になる。このプレイヤーはバスを持ち上げられる……!?

いや、6tの魚を釣り竿で持ち上げるには、6tの力では足りない。「テコの原理」が働くからだ。

体長8mのジンベエザメを釣り上げるには、最低8mの釣り竿が必要だろう。8mの竿の根元を左手で握り、50cm離れたところを右手で握る……と仮定して計算すると、プレイヤーの右手が出さねばならない力は、なんと96t!

数行前に「バスを持ち上げられる」と感心していたが、そんなモノではなかった。バスを16台も持ち上げられるのだ。もはやコワイ……。

イラスト/近藤ゆたか
イラスト/近藤ゆたか

◆なぜポケットに入れる!?

そして何よりすごいのは、釣り上げたジンベエザメをプレイヤーがポケットに入れることだ。

そもそも釣り人は、釣った魚をポケットに入れたりしないと思うし、どう考えても入るまい。

が、ここでは、プレイヤーのポケットの内部が『ドラえもん』の四次元ポケットのように特殊な空間になっていて、物理的にジンベエザメを入れることが可能……と考えよう。

それでも問題がある。サメやエイは原始的な魚類で、タンパク質を消化する過程で発生するアンモニアを処理する仕組みを持っていない。人間はそれを肝臓でやっている(無害な尿素に変える)が、サメはそれができないのだ。

このため死んでしばらくすると、猛烈なアンモニア臭を放つ。ジンベエザメをポケットの中で死なせようものなら、ポケットの中は悪臭にまみれ、アジやタイなど他の魚も食べられたものではなくなる。それどころか、ズボン自体が二度と使えなくなるかも……。

ジンベエザメは生きたまま持ち帰ろう。

そのためには、ポケットに大量の海水も入れてもらいたい。ジンベエザメは、原始的な魚類の特徴で、エラに自力で海水を送ることができない。泳ぎながら海水を吸い込まないと、窒息してしまうのだ。

体長8mのジンベエザメが自由に泳ぐには、縦20m×横20m×深さ10mほどの水槽が必要だろう。それに匹敵する海水とは4千t。50mプールの容量(2500t)を上回る。そんな大量の海水をポケットに入れようと思ったら、いったいどれほどの時間がかかることやら……。

ジンベエザメの一本釣りとは、これほど大変なことなのだ。

ほのぼのとした雰囲気が楽しい『どうぶつの森』シリーズでは、こんなビックリが平然と行われている。ぎょえーっ!!!