5月は子どもの交通事故が激増! 小学1年生の「ひとり歩きデビュー」に注意

5月は統計上、小学1~2年の子どもの死傷事故が激増。十分な注意が必要だ(写真:アフロ)

 令和になって初の「春の交通安全運動」が始まりました。

 今年は、5月11日(土)から、5月20日(月)までの10日間で、最終日の20日は、「交通事故死ゼロを目指す日」とされています。

 交通安全運動と聞くと、まず、

「違反切符を切られないように気をつけないと!」

 自分の点数を気にして、そう身構えるドライバーも多いと思います。

 もちろん、安全運転につながるのならそれも大切でしょう。

 しかし、今日もどこかで重大事故が発生し、その傾向は毎年パターン化しています。  

 交通事故がよく発生する場所、加害者になりやすい年齢層、よくある違反、時間帯、被害に遭いやすい年齢層……、そうした実態がわかっているなら、それを防ぐためにピンポイントで意識を高める努力が必要ではないでしょうか。

 こういう時期に改めてチェックし、できる限り危険を回避するよう心掛けたいものです。

 ちなみに、今年の交通安全運動の重点課題は、以下の4つです。

(1) 子供と高齢者の安全な通行の確保と高齢運転者の交通事故防止

(2) 自転車の安全利用の推進

(3) 全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底

(4) 飲酒運転の根絶

 そこで、1番目に挙げられている「子供」の交通事故について、過去の事故統計からその傾向を把握し、ドライバーとして、また子どもを持つ親として、何に気をつければよいかを考えてみたいと思います。

■新1年生は要注意! 死者は6年生の5.6倍

 警察庁が2014年~2018年に起きた交通事故を分析したところ、歩行中の小学生の死者・重傷者はこの5年間で3276人に上っています。

 下のグラフは、さらにその数を学年別に表したものです。

(警察庁のサイトより抜粋)
(警察庁のサイトより抜粋)

 これを見てもわかるとおり、最も死傷者数が多いのは小学校1年生の872人(死者28人)、次いで2年生の799人(死者20人)となっており、その数は学年が上がるにしたがって減少し、6年生になると243人(死者は5人)です。

 死傷者数で比較すると、1年生は6年生の約3.6倍で、死者数だけに絞ると5.6倍にも上っていることがわかります。

 とにかく小学1~2年生は、特に気をつけてください。

 高学年と比べて、交通事故による死傷者数が断然多くなっています。この時期は、大人が守ってあげなければなりません。

■子どもが死傷する重大事故は、5月に最も多く発生

 次に、「発生月別の死傷者数」です。

下記のグラフを見ると、5月に発生する子どもの事故件数が最も多いことがわかります。

(警察庁統計より)
(警察庁統計より)

 

 まさに今、「春の交通安全運動」真っ最中のこの時期こそ、小さな子どもたちがもっとも危険にさらされているのです。

 毎年5月に事故が増える理由について、警察庁は以下のような分析をおこなっています。

https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/anzenundou/h31hokoutyujidou.pdf

●1年生の5月は、子供だけで行動することが増える、いわば「一人歩きデビュー」の時期である

●学校に慣れ、気分がおおらかになる季節でもある

 私自身も娘が小学校に通い始めたこの時期は、特に心配でたまりませんでした。

 つい2か月前まで、車で保育園へ送り迎えをしていたわが子が、突然、車が行き交う混合交通の道路に出ていくのです。

 子どもと一緒に通学路を歩きながら道路を横断する際の注意点を教えたり、危険な場所に近所のお母さんたちと一緒に手作りの看板を建てたり、また、意識して明るく目立つ服を着せるなど、いろいろ対策していました。

 しかし、どれだけ歩行者が気をつけていても、先日の大津の事故のように、ドライバーが漫然と運転していれば、小さな子供たちがいつ事故に巻き込まれるかもしれません。

 本当に、毎日祈るような気持ちだったことを覚えています。

■事故のピークは午後3~6時、下校後は要注意

 事故が発生する時間帯にもはっきりとした特徴がみられます。

子どもの事故は15~17時台が最も多い(警察庁のサイトより抜粋)
子どもの事故は15~17時台が最も多い(警察庁のサイトより抜粋)

 

 上のグラフを見ると、15時台から17時台の時間帯に発生する事故が圧倒的に多くなっていることがわかります。

 つまり、下校時、または帰宅後に友達の家や公園、習い事に行く途中などに危険が潜んでいるのです。

 登校時は上級生と集団で歩くことができても、帰宅時はどうしても下校時間がばらつくため、低学年の子どもが単独で歩くことが多くなりがちです。

 ハンドルを握るドライバーの皆さんは、午後3時頃から日暮れまでの時間帯は、小学校に入学したての子どもが周囲にいることを想定して、細心の注意を払ってください。

 子どもは、想定外の行動をとることもあるでしょう。また、体格も小さいため、死角に入りやすいものです。それだけに、ドライバーにはそこまで想定しながら運転することが求められます。

 特に、青信号を横断中の子どもが右左折車の巻き込みによって犠牲になる事故は、子どもがいくらルールを守っていても、一方的に車が突っ込んでくるのですから防げるものではありません。

青信号で通学途中に横断歩道を横断中、左折のダンプに巻き込まれて死亡した小学生・長谷元喜くんの事故現場(東京都八王子市)に置かれたお地蔵様。元喜くんのお父さんは、『歩者分離信号」の必要性を訴えて活動されています(筆者撮影)
青信号で通学途中に横断歩道を横断中、左折のダンプに巻き込まれて死亡した小学生・長谷元喜くんの事故現場(東京都八王子市)に置かれたお地蔵様。元喜くんのお父さんは、『歩者分離信号」の必要性を訴えて活動されています(筆者撮影)

 ハンドルを握るドライバーの方々は、

『小さな子どもたちが横断歩道を渡ろうとしていないか?』『交差点の周辺を歩いていないか?』

 十分に気をつけていただきたいと思います。

 大半の事故は、交差点とその周辺で発生しています。車が十分に減速し、確認していれば防げたものばかりです。

お地蔵様には亡くなった元喜くんのメッセージが……(筆者撮影)
お地蔵様には亡くなった元喜くんのメッセージが……(筆者撮影)

 私は、これまでに数多くの交通事故を取材してきました。

 車に踏みつぶされ、無残な姿になったランドセルをご遺族から見せていただいたことは1度や2度ではありません。

 背負ってくれる子どものいなくなったランドセル、こうした遺品が残される、それが、どれほど辛く、悲しいことか……。

 統計上、子どもの事故が最も多い5月、ぜひ、我がこととして想像しながら運転していただきたいと思います。