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眞子内親王殿下も宮内庁も触れなかったこと

山下晋司皇室解説者
婚約内定会見でのお二人 2017年9月3日(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

13日(金)発表の理由

 11月13日(金)夕刻に眞子内親王殿下のお気持ちを記した文書を宮内庁が発表した。

 11日(水)~20日(金)の間に何らかの発表があると予想していたが、その期間内でも13日(金)がベストだと思っていたので、宮内庁はいい日を選択したと思う。13日(金)がベストだと思っていた理由はいくつかあるが、主なものは次のとおりである。

 宮内庁は2018年2月7日に、眞子内親王殿下のご結婚は再来年(2020年)になる見込みと発表した。その発表の際に眞子内親王殿下のお気持ちを記した文書を資料として添付したが、その文書にも『結婚とそれに関わる諸行事を(略)再来年に延期し』と記されている。

眞子内親王殿下のご結婚関係儀式等のご日程の変更について

 理由はいろいろとあるだろうが、2020年中に結婚されないなら、一昨年の発表のとおりにはならないわけなので、少なくとも『2020年中の結婚はありません』という発表を今年中にしないといけない。12月は皇后陛下と愛子内親王殿下のお誕生日もあるが、師走になってから"今年はありません"というのも好ましくないだろう。よって、11月には発表したほうがいい。

 11月8日(日)に『立皇嗣の礼』が挙行され、2019年4月30日の『退位礼正殿の儀』から始まった御代替わりに伴う国の儀式はすべて終了した。10日(火)には皇族方などの祝賀がある。発表はそれらが終了してからがいい。

 秋篠宮殿下は11月30日(月)に55歳の誕生日を迎えられるが、事前に記者会見が開かれ、宮内記者会の質問に答えられる。記者会見は22日に行われることが多いのだが、今年は22日が日曜日で、23日は勤労感謝の日で祝日である。この場合、恐らく20日(金)か24日(火)に行われることになるだろう。記者会見では当然、眞子内親王殿下のご結婚についての質問が出される。記者会見での質問は事前に提出される分もあるが、その場で初めて出される質問もある。急な質問に対しても秋篠宮殿下は丁寧にお答えになるだろうが、相当なご負担がかかるだろう。この記者会見までに何の発表もされなかった場合、昨年の記者会見で殿下ご自身が仰った「(2018年2月に気持ちを発表して2年経とうとしているので)何らかのことは発表する必要があると私は思っております」ということについての質問も含めて、すべてのことに殿下が直接対応されることになりかねない。当然、殿下は記者会見でご自身のお気持ち、お考えは仰るだろうが、事前に現在の状況が発表されていれば、それを踏まえての簡単なご回答でいい。

 主に以上のことから11月11日(水)~20日(金)の間に何らかの発表があるのではないかと思っていた。さらに言えば、殿下の記者会見まで一週間ほどあれば、週刊誌を含めて報道はひと段落するだろうから、13日(金)がベストだと思っていた。秋篠宮家が13日(金)を選ばれた理由は私の考えとは違うかもしれないが、結果的に最もいい日だったと思う。

最低限必要なことには触れなかった

 しかし、今回の発表には納得できないことがある。

 前述のとおり、宮内庁は最低でも『2020年中のご結婚はありません』と発表すべきだが、今回、宮内庁としては発表していないのである。一昨年の延期発表は宮内庁の発表文に眞子内親王殿下のお気持ち文書を"資料"として添付している。発表の主体は宮内庁で、眞子内親王殿下の文書は"資料"である。しかし、今回は眞子内親王殿下のお気持ちを記した文書だけが発表され、本文となる宮内庁の発表文がない。また、眞子内親王殿下のお気持ち文書も『今の時点で具体的なものをお知らせすることは難しい状況』と、具体的に今年の結婚はないということを記されていない。

 2020年に延期と発表していて、その2020年が終わろうとしているのに、それについて眞子内親王殿下も宮内庁も触れないというのは、明らかにおかしい。

皇室解説者

昭和31年 大阪市生まれ、関西大学卒。20数年の宮内庁勤務後、平成13年に退職。宮内庁では昭和63年~平成7年まで長官官房総務課で報道を担当。昭和天皇の崩御・大喪の礼、平成の即位の礼・大嘗祭、秋篠宮殿下の結婚、皇太子(現在の天皇陛下)の結婚などの諸行事を報道担当として経験。平成時代の天皇皇后の中国訪問、米国訪問及び皇太子(現在の天皇陛下)のモロッコ・英国訪問に報道担当として同行。宮内庁退職後は出版社役員を経たのち独立。独立後は、BSテレ東・テレビ東京「皇室の窓スペシャル」の監修のほか、週刊誌・テレビなど各メディアでの解説、記者勉強会の講師、書籍・テレビ番組の監修、執筆、講演などを行っている。

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