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建物の寿命や身体に影響も……「住まいの結露」どうしたらいい?

山本久美子住宅ジャーナリスト
冬の朝に多い窓の結露(写真:アフロ)

寒さを感じて朝起きたときに、寝室のカーテンを開けたら窓に結露が…。「そんな時期になったんだな」と思う一方で、久しぶりに結露したわが家の窓を見たので少し驚きました。

結露はなぜ起きるのか、建物などにどんな影響を及ぼすのか、ご存じでしょうか。

■結露が発生する仕組み

冷たい水の入ったコップの表面に、水滴がつくことがあります。これも結露です。そのままにしておくと、コップの底に水たまりができます。これと同じことが、住宅にも起きます。

特に住宅で目立つのが、冬の窓ガラスやサッシの結露です。水蒸気を含んだ暖かい空気が、冷たい物の表面で急激に冷えることで、結露が発生します。住宅の壁には断熱材を入れますが、窓ガラスやサッシは直接外気に接するので、表面温度が下がりやすいのです。その結果、室内の温度との差が大きくなって結露が発生するわけです。

放置しておくと窓の下に水たまりができて、木部が腐食したりカビやダニが発生したりして、建物の寿命や居住者の健康を損なうことになりかねません。

筆者も以前は、冬の寒い朝は、家中の窓ガラスの結露をふき取るのが日課でした。雑巾だとすぐにびしょ濡れになるので、専用のワイパーを買っていたほどです。いまは、結露はめったに見られません。単層ガラス(1枚板のガラス)を「エコガラス」に、あるいは既存の窓の内側にもうひとつ窓をつくる「内窓」に、すべて改修したからです。

とはいえエコガラスでも、エアコンと同時に加湿器を“強”にして長時間つけていたら、窓ガラスに結露が起きました。結露のメカニズムを知って、対処することが必要です。

■結露が起きるのは住まいのどの部分?

結露を引き起こす「水蒸気を含んだ空気」「暖かい空気」は、住宅内のどこで発生するのでしょう?

筆者のように、暖房で乾燥するからと必要以上に加湿器を使うと、室内の湿度が高くなってしまいます。キッチンで煮炊きをしたりお湯を使って洗い物をしたりする場合も、換気扇を常にかけておかないと結露の発生源になります。入浴後の浴室から室内に出る空気も同様です。「寒暖差」と「湿気」に注意を払う必要があるのです。

冬は部屋を暖房するので、室温が高くなります。そのなかで湿気を含んだ冷たい場所に、結露は発生します。窓はその典型ですが、北側にある玄関扉の内側、風が通りにくく空気が入れ替わらない置き家具の裏側や押し入れの中などでも、結露は発生します。

■結露を抑えるためにできることは?

実は、目に見えませんが、住宅の断熱性が低いと壁の中に結露が発生して、壁を壊したら中の断熱材がカビだらけということもありえます。窓まわりの省エネ性もカギになります。まずは、建てたり買ったりする際に、住宅の断熱性を把握することが大切です。必要に応じて、筆者のように窓まわりの省エネ改修をすることも選択肢になります。

また、住宅内の「空気の流れをコントロールする」こともポイントです。暖かい空気を冷たい場所に流さないことで結露を抑えることができます。キッチンや浴室の換気をしっかりすること、北側の寒い部屋から空気を取り入れて室内に流すこと、などが考えられます。

コロナ下でもありますので、こまめな換気で湿気をため込まないようにして、部屋全体の空気の流れをつくることが効果的です。一時的に室温は下がりますが、しばらくの辛抱で済みます。換気をするときには、壁にある「換気スリーブ」を開けることもポイントです。

最近は、窓まわりの結露防止シートやテープなども市販されています。こうしたグッズを活用するのもよいでしょう。

結露を見つけたらすぐにふき取って、暖かい空気は暖かい場所で外に出すなど、住宅の中の空気の流れに関心を払って、結露対策に取り組みましょう。

住宅ジャーナリスト

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「東洋経済オンライン」「ビジネスジャーナル」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナー等の資格を持つ。江戸文化(歌舞伎・落語・浮世絵)をこよなく愛する。

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