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冬のボーナス減額で住宅ローンのボーナス返済に後悔!打ち手はある?

山本久美子住宅ジャーナリスト
冬のボーナスは大幅に減額?(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

「冬のボーナスが減る」と予想した人、公務員では過半数

2020年度の国家公務員のボーナスが引き下げられる改正給与法が成立している。この冬のボーナスは、国家公務員に準じて地方公務員も減額すると予測される。ただし、民間企業では大幅な減額となる業種も多いと見られている。

さて、株式会社MFSが、住宅ローン返済中の481名に「新型コロナウイルスによる、住宅ローンボーナス返済への影響」に関するアンケート調査を行った。

「この冬のボーナスは昨年より減る」と予想した人が最も多い業種は、法改正の影響もあってか公務員となり、過半数の56.5%に達した。次が、コロナによる経営悪化の影響か、医療・介護業(48.8%)となった。とはいえ、公務員は「減額幅を予想する声では、1割程度に留まった」という。

一方、新型コロナウイルスの影響で「冬のボーナスが昨年より6割以上減る」もしくは「ボーナス自体がなくなる」と、大幅な減額を予想した人が多い業種は、不動産業、サービス業、飲食業の順だった。対面接客が多い業種といえるだろう。

ボーナス返済を併用している人は34.7%、後悔している人は13.2%

MFSの調査結果では、「ボーナス返済を併用」している人は34.7%。ボーナス返済をしている10人中3人か4人のなかには、支給されるボーナスが大幅に減額となって返済に困るという人もいるだろう。

MFS「新型コロナウイルスによる、住宅ローンボーナス返済への影響」に関するアンケート調査より
MFS「新型コロナウイルスによる、住宅ローンボーナス返済への影響」に関するアンケート調査より

ボーナス返済を併用している人で、「ボーナス払いを選択したことを後悔している」という人は13.2%。1割強が後悔する事態となっていることがわかる。

MFS「新型コロナウイルスによる、住宅ローンボーナス返済への影響」に関するアンケート調査より
MFS「新型コロナウイルスによる、住宅ローンボーナス返済への影響」に関するアンケート調査より

ボーナス返済を併用する目的は何?

ボーナス返済とは、例えば、借入額3000万円の30%をボーナス返済に振り分ける場合、借入額の900万円を年2回のボーナス時に、2100万円を毎月、返済する方法だ。ボーナス時には、毎月の返済額とボーナス時の返済額を合わせて返済することになる。

ボーナス返済を併用する理由は、主に2つ。

(1)毎月の返済額を抑えられる

(2)ボーナスからも返済することで、返済期間を短くできる

ボーナス時に15万や20万円返済額が増えたとしても問題ないと考える人もいるだろうが、ボーナスは景気に左右されるもの。ボーナスに頼った返済プランだった場合は、ボーナスの減額で返済に困るリスクが生じる。

いまこそ、ボーナス返済の見直しをしよう

さて、ボーナス返済を選んだことを後悔しているという場合、打つ手はないのだろうか?

住宅ローンでは、ボーナス返済の割合などを変更できるのが一般的だ。

○ボーナス返済で変更できる点

・ボーナス返済を停止し、毎月返済のみとする

・ボーナス返済の割合を引き下げる

・ボーナス時の返済月を変更する

転職などでボーナスの振込月が変わってしまい、返済に不都合があるということなら、ボーナス時として指定した月を変えれば済む。が、ボーナスの支給額自体が激減した場合には、ボーナス返済の割合を10%などに引き下げたり、ボーナス返済をやめて毎月返済のみに切り替えるといったことが検討できる。ただし、その分だけ毎月の返済額が増額となる。

一方、手元に貯金などがあれば、繰り上げ返済や借り換えなども選択肢になる。

○いまの住宅ローンを繰り上げ返済して、ボーナス返済分の元金を減らす

○いまの住宅ローンを解約して、別の低金利の住宅ローンに借り換える

繰り上げ返済とはまとまった額を一気に返済してしまう方法で、元金が減った分だけ返済額を減らすこともできる。一方借り換えは、住宅ローンの解約と新規契約に伴う相当の手数料が発生する。手数料を支払ってもメリットがある借り換えかどうか、検討する必要がある。

長期に返済できるプランになっているか、早めの相談を

いずれにしても、金融機関に相談して、変更することで返済プランがどう変わるかを試算してもらい、手続き方法を確認するとよいだろう。といっても、今月中にボーナス返済があるといった場合は手続きが間に合わないだろう。すぐに変更することは難しいが、住宅ローンは長期間返済していくものなので、返済し続けられるように、いまこそしっかり見直すことが求められる。

なお、ボーナス時の返済だけでなく、毎月の返済も難しいという場合は、滞納してしまう前に、返済猶予をどこまでしてもらえるか、金融機関に相談しよう。コロナ禍という事態なので、各金融機関でも相談窓口を設けている。

迷っているうちに返済が滞ったり、選択肢が少なくなったりしてしまうと、打つ手が限られてしまう。とにかく早く相談をすることが重要だ。

○MFS【調査レポート】「新型コロナウイルスによる、住宅ローンボーナス返済への影響」に関するアンケート調査結果公開

住宅ジャーナリスト

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「東洋経済オンライン」「ビジネスジャーナル」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナー等の資格を持つ。江戸文化(歌舞伎・落語・浮世絵)をこよなく愛する。

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