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X(Twitter)に投稿した外部リンクから「見出し」消える その狙いとは?

山口健太ITジャーナリスト
外部リンクから見出しが消えた(Xのアプリ画面より、筆者作成)

日本時間で10月5日の早朝から、X(Twitter)に投稿した外部リンクから「見出し」が消えているとの報告が相次ぎ、話題になっています。

Xのユーザーに対する見え方が変わることで、Webサイトへの流入やサムネイル画像の作り方に影響を及ぼす可能性があります。その狙いはどこにあるのか考えてみます。

外部リンクから見出しが消える

Xの投稿に外部リンクのURLを貼り付けた場合、Webサイト側が対応していればサムネイル画像や見出しをカードとして表示する仕組みがあります。

今回の変更では、大型のサムネイル画像を表示する際に「見出し」が省略されます。この仕様変更は8月ごろからテストされており、正式に導入されたようです。

具体的にどう変わったのか見比べてみましょう。まずはよく見慣れたこれまでの表示スタイルです。

本文に続く形で、サムネイル画像とドメイン名(FQDN)、見出しが一体化したカードが表示されていることが分かります。

これまでの外部リンクの表示(Xのアプリ画面より)
これまでの外部リンクの表示(Xのアプリ画面より)

新しい表示ではこれがサムネイル画像だけになり、見出しは省略されています。ドメイン名は画像に重なる形で左下に表示されています。

新しい表示では見出しがなくなり、ドメイン名は画像の左下に(Xのアプリ画面より)
新しい表示では見出しがなくなり、ドメイン名は画像の左下に(Xのアプリ画面より)

投稿が短くなったことで、画面の中により多くの投稿を表示できるようになっています。見出しは本文と重複している場合もあったことから、同じ文字を読まされることがないのも効率的な印象です。

投稿は縦方向に短くなった(Xのアプリ画面より、筆者作成)
投稿は縦方向に短くなった(Xのアプリ画面より、筆者作成)

一方、気になるのは外部リンクが単なる画像に見えてしまうことがあるという点です。左下のドメイン名を意識していないと、リンクであることに気付かないかもしれません。

Xの投稿からリンクをクリックしてくれる人の数が減ることで、Webサイトへの流入に影響が出てくる恐れがあります。Webサイトや記事の制作側では、サムネイル画像の作り方を工夫する必要があるかもしれません。

もし文字を入れるとすれば、どこにどれくらいの大きさで入れるのが良いか、筆者自身もさまざまなスタイルを作り、メリットとデメリットを検討している最中です。

サムネイル画像にさまざまな見出しを入れてみた(筆者作成)
サムネイル画像にさまざまな見出しを入れてみた(筆者作成)

なお、外部リンクの表示スタイルには種類があり、Webサイト側の設定によっては、これまで通り小さなサムネイル画像と見出し、概要が表示されます。

外部リンクを小さく表示する設定なら、従来通り見出しも表示されている(共同通信のXアカウントより)
外部リンクを小さく表示する設定なら、従来通り見出しも表示されている(共同通信のXアカウントより)

この設定はWebサイトの管理者であれば変えることができます。どうしても見出しを表示したい場合は、管理者と相談するのも1つの方法でしょう。

リンクではなく「本体」の投稿を促す目的か

ところで、Xはなぜこのような変更を加えるに至ったのでしょうか。

最近のXの考え方を踏まえると、これは妥当な変更といえます。それはXにリンクではなくコンテンツの「本体」を投稿してもらうことで、Xで過ごす時間の価値を高めるという方向性です。

Xのユーザーが外部のWebサイトに飛んでしまうと、そこで時間を費やすことになります。時間の奪い合いという点でいえば、Xと外部のWebサイトは競合しているというわけです。

ではどうしたいかというと、Xの有料プランは長文投稿の機能を備えています。記事を書くなら、外部のメディアやブログにリンクで誘導するのではなく、Xに長文で投稿してほしいということです。

つい先日、イーロン・マスク氏がXでゲーム配信をして話題になりましたが、これも同様です。Xから外部の配信サイトに誘導するのではなく、Xの機能を使ってライブ配信をしてほしいというメッセージになっています。

ただ、Xにはさまざまな外部リンクが投稿されることで、ハブのような役割を果たしていることもたしかです。また、収益化が絡んでくる場合にはそう簡単にXに移行することはできないでしょう。

そのため、これまでの機能に制限をかけることでユーザーの離脱を防ごうとする試みには、反発が起きる可能性もあります。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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