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Twitterで「ブログ」のような投稿が可能に 新たな魅力になる?

山口健太ITジャーナリスト
「ブログ」を書ける新機能(Eric Farraro氏のツイートより)

6月16日ごろから、Twitterの画像をツイート本文の中に表示する新機能の展開が始まったようです。

投稿するにはTwitter Blueの契約が必要ですが、「ブログ」のような表現が可能になることで新たな可能性を感じさせるものになっています。

画像のインライン表示が可能に

Twitterのツイートには画像などのメディアを添付することができますが、これまでは本文の後に表示されるのが一般的でした。

一方、ブログやニュース記事では本文の中に画像が配置される「インライン表示」をよく見かけます。これがTwitterでも可能になるというわけです。

具体的にどのような表現ができるのかについては、Twitter社内でエンジニアリングを指揮するEric Farraro氏が実例を示しています。

TwitterのWeb版でこのツイートを開いてみると、たしかに本文の中に画像が差し込まれていることが分かります(iOSではSafariなどのブラウザーで表示した場合のみ)。

ツイートの本文に画像が差し込まれている(Eric Farraro氏のツイートより、筆者作成)
ツイートの本文に画像が差し込まれている(Eric Farraro氏のツイートより、筆者作成)

タイムライン上では従来通りコンパクトに表示されており、読みたい人だけが「さらに表示」を押して詳細表示をする仕組みです。

タイムラインでの表示(左)と詳細表示(右)(Eric Farraro氏のツイートより、筆者作成)
タイムラインでの表示(左)と詳細表示(右)(Eric Farraro氏のツイートより、筆者作成)

有料プランであるTwitter Blueを契約している人であれば、すでにWeb版の画面からこうしたツイートを投稿できるようになっています。

まずはいつも通りに画像を追加した後、画像をドラッグ&ドロップすることで、任意の位置に動かすことができます。

画像を追加した後、Twitter Blue利用者ならドラッグ&ドロップで任意の位置に動かせる(筆者作成)
画像を追加した後、Twitter Blue利用者ならドラッグ&ドロップで任意の位置に動かせる(筆者作成)

ほかにもTwitter Blueには、最大4000字の長文を投稿できる機能や、文字を「太字」や「斜体」に装飾できる機能もあり、あわせて利用することでブログのような表現が可能になるというわけです。

制限事項として、本記事の公開時点でiOS版のアプリは対応しておらず、Android版ではインライン表示ができるものの一部の表示が崩れる問題があるようです(Twitter社員のPrachi Poddar氏はこの機能についてのフィードバックを求めています)。

内部的にはどうやって実現しているのでしょうか。ツイートの本文はプレーンテキストのままですが、各画像には何文字目に差し込むかを示す情報が加わっており、これをアプリが解釈して画像の位置を決めていることがうかがえます。

ツイートの本文はプレーンテキストのまま(Eric Farraro氏のツイートより、筆者作成)
ツイートの本文はプレーンテキストのまま(Eric Farraro氏のツイートより、筆者作成)

逆にいえば、この機能に対応していないアプリで表示した場合には、これまで通り「ツイート本文の後に4つの画像」が表示されるものと考えられます。

そのため、インライン表示を前提にした文章や、真上にある画像を説明するようなキャプションを書いても、すべての人に伝わらない可能性がある点には注意を要します。

画像が最大で4枚までという制限も変わっていません。動画など他のメディアをインライン表示することもできないようです。

このことから、より多くの画像を貼りたい場合や、画像以外のメディアを含めて投稿したい場合には、これまで通り複数のツイートに分けて投稿することになりそうです。

マネタイズ機能も追い風に

Twitterは最近まで短文投稿のプラットフォームだったので、長文を書きたい場合には外部のブログやnoteのようなサービスに投稿し、そのURLをTwitterに投稿するのが一般的でした。

しかし、タイムラインから離れたくない、変なリンクを踏みたくないなどの理由から、Twitterに投稿したURLを開いてもらうのはなかなか大変というのが実情です。

その点、長文ツイートはTwitterから離れることなく読めること、また連続投稿した途中のツイートだけが拡散されて誤解が広まる恐れもないことから、Twitter上の議論をリードする機会が増えているように感じます。

とはいえ、プロの書き手やクリエイターにとっては、単に長文が書けるというだけでは不十分であり、継続的に投稿して読者とのエンゲージメントを築いていくには、安定して収益を得られるかどうかも重要になってきます。

この点については、Twitter上で収益を得られる「サブスクリプション」のようなマネタイズ機能が追い風になりそうです。他社からの参入も見込まれる短文投稿サービスの競争において、Twitterの新たな魅力につながるかどうか注目しています。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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